大分県子ども将棋ネット「だから将棋を子ども達に」

思考力、集中力、決断力。そして人との交流。将棋は一生の友達です。大分県で将棋を学びたい小中学生のために立ち上げたブログです。
このブログは大分県将棋連合会公式ブログ「棋楽庵の九州将棋ふまわり日記」様の協力を得て運営されています。


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少年院の面接委員、退任届けを今日提出してきました。

 

9年間、務めさせていただきました。

でも、さすがに中津までの道のりは遠く、運転に自信がなくなりつつあり、退任を決意したんです。

 

個人面接、運動会や卒業式、成人式などの集団イベント、200名以上の子ども達と接することができました。

 

小さな面接室で、子ども達と、いろんな話ができました。

子ども達は、僕に、たくさんの手紙をくれました。

 

それを読み、大いに子育て観、人生観が変わりました。

激変です。

 

先日、面接した子は、こう言いました。

 

「先生、自分のこの経験を、先生の教え子さんたちに話してやってください」

 

「うん」

 

もちろん僕には辞めた今でも守秘義務があります。だから詳しいこと具体的なことは言えません。でも、その子の思いを、少しずつ伝えていかなければなりません。今、僕の目の前にいる子ども達に。

 

そうやって、必ず、僕はその子との約束を果たしたいです。

最後になりましたが、僕が面接委員の会報に書かせてもらったエッセイです。

 

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『メダカ2匹』

世は偏見に満ちている。僕は、その筆頭でもあった。昭和35年生まれの僕は、いわゆる漫画世代、多くの男の子がそうであったように『あしたのジョー』に魅了され、友と回し読みする少年時代を送ってきた。そのジョーに「少年院」が描かれている。そこは社会から隔絶され、どこまでも暗く、暴力と恐怖が支配する世界だった。

【さわやかな風】
だから、当院を初めて訪れた時、目を疑った。中津市の郊外、スーパーやレストランに近いここは、漫画に描写されたものとは真逆の施設だった。誤解を恐れずに書かせてもらうならば、明るく開放的、さわやかな風が吹くのである。職員さんはニコニコしている。院長さんも笑顔で所内を案内してくれる。子ども達はパソコンや陶芸、園芸などを学びもするという。ふと思い出す。ジョーは壊れかけた小屋で糞尿まみれの豚の世話をしていたはずだ。偏見と現実の断層、そして翌月からの面接が決まった。

【無力なメダカ】
そもそも僕は無力である。小学校教員と将棋講師の経験があるとはいえ実績はない。教育系新聞社の「子育て川柳コーナー」を担当してはいたが、面接に役立つとは思えない。たまたま講演会に来てくれていた方の紹介で委員をさせてもらうことになったのだが、安請け合いを後悔した。面接の初日、その思いを、新しく赴任された院長さんに告白すると「いや、先生(僕はこう呼ばれた)のような謙虚なお気持ちの方こそ適任です。どうぞ、よろしくお願いします」と頷かれた。謙虚じゃなくて不安なんですがという言葉を飲み込み、僕は「まな板の鯉」、いやメダカになった。メダカは開き直る。ためになる話はできっこない。そうだ、漫画やスポーツ、音楽、そんな雑談をしよう。考えれば、デジタルが大手を振る現代、雑談こそ失われつつある日常の潤滑油だと勝手に大義名分を立てた。

【手紙のメダカ】
面接の後に、子ども達が手紙を書いてくれる。当院独自の取り組みだ。もちろん、文にする以上、正真正銘の感情とは別なものもあるだろう。だが、僕は不覚にも涙する。雑談の中で、その生い立ちや人生の断片を語ってくれた彼らを思うと、こんなメダカにありがとうと叫びたくなる。きっと彼らも僕に合わせてメダカになってくれたのだ。僕は学んだ。彼らは逃げ損なってここに来たのではない。嵐の中、ここへ逃げてきたのだ。ここは人生の一時避難場所だ。明日は晴れる。きっと、だからなのだ。だから施設にはさわやかな風が吹く。それを追い風に、来月も2匹のメダカがまな板に上がる。
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