2014/02/17の合同新聞朝刊13面です。こちらも素晴らしい将棋です。また、終了次第詳細をお知らせします。
第1譜(1~24)
【得意の右四間!立石君】
いよいよ準決勝。会場全体の緊張感が高まり、二人の表情にも硬さがあります。しかし、この体験こそ心の成長につながるもの。紅潮した顔にたくましさを感じました。
先手は本欄初登場の立石君。将棋との出会いは、小三の時にお母さんが買ってくれた入門用将棋セット。たちまち面白さに目覚めました。いろんな相手と指してみたいと将棋教室へ参加し、その熱心さゆえ、めきめき頭角を現してきました。得意技は本譜でも採用した右四間飛車。その破壊力は予選全勝、一位通過の成績が証明しています。
図のように増永君も得意の棒銀。大会や日頃の練習を通し、相手を知り尽くしている間柄だけに気が抜けない一戦です。
ところが!さあ、ここからという23手目▲4六銀に △7四歩。これは、丁寧な将棋を心がける増永君らしからぬ手。子ども棋士の皆さん、先手の次の手は何でしょう。
(英之介)
第1譜(棋譜)
▲7六歩 △8四歩
▲4八銀 △8五歩
▲7七角 △7二銀
▲8八銀 △8三銀
▲7八金 △8四銀
▲4六歩 △4二銀
▲4七銀 △3二金
▲5六銀 △5二金
▲4八飛 △4一玉(図)
▲5五銀 △3四歩
▲4五歩 △9四歩
▲4六銀 △7四歩
第2譜(25~65)
【辛抱の将棋!増永君】
「相手の手を読んで守ったり攻めたりする将棋が大好き」と語る増永君。将棋に対する姿勢が、とにかく真剣。各種大会での優勝や入賞実績を詰み重ねて今大会に臨んでいます。得意技は矢倉棒銀。しかし、本譜では痛恨のミスがあり、矢倉に持ち込むことができません。
それは図の△7四歩。うっかり飛車の斜め路(こびん)をあけてしまいました。立石君、ここを見逃しません。▲2二角成△同金と角交換し、狙いすました▲5五角。先手、形勢をぐいっと引き寄せる「飛・金の両取り」です。
しかし、日頃から詰将棋で鍛えている増永君。詰将棋は最善の受け方も必要とされるものです。その力をここで発揮したいところ。自分もミスをした。ならば、相手もミスをするはず。後手、辛抱の将棋が始まりました。じわじわと追い詰める先手。ぎりぎりでしのぐ後手。そして64手目の△7八とに▲5八玉。さて、子ども棋士の皆さん、この局面をどう見ますか?
(英之介)
第2譜(棋譜)
▲2二角成 △同 金
▲5五角 △8三飛
▲2二角成 △3三角
▲3二金 △5一玉
▲3三金 △同 銀
▲1一馬 △9五銀
▲9六歩 △8四銀
▲2一馬 △7五歩
▲同 歩 △同 銀
▲3二馬 △4二銀
▲5五銀 △7六金
▲3三桂 △8六歩
▲4一桂成 △6一玉
▲4二成桂 △6二金
▲4一馬 △8七歩成
▲5一馬 △7二玉
▲5二成桂 △同 金
▲6一角 △8二玉
▲8三角成 △同 玉
▲5二馬 △7八と
▲5八玉
最終譜(66~96)
【成長し合えた一局】
「王の早逃げ八手の得」という格言もあり、図の▲5八玉は慎重な手にも見えます。しかし、これは対局後に「ミスだった」と立石君自ら反省した手。辛抱を重ねた増永君は、機を逃さぬ△6九角をピシリと決めました。先手が握っていた展開に、ついにブレーキをかけたのです。
さあ、こうなると勝負は迷路に突入です。互いに「相手は強い」と認め合う仲。決勝進出をかけ、一手一手に熱い魂がこもります。観戦している筆者の手にも汗。84手目、後手は燃え上がる盤上を冷静にしのいでの入玉。ついに96手で勝利を手にしたのです。
我慢の大切さを知った増永君。一手の怖さを知った立石君。この一局で二人は大きく成長したはずです。この後、増永君は決勝で松本武大君(別府明星小4年)を破り優勝。
なお、3位は立石君と坪居史也君(大分戸次小4年)。入賞者全員が中学年、みな良きライバルです。この記の最後に、参加の皆さんへ大きな拍手を送ります。
(英之介)
最終譜(棋譜)
△6九角
▲5九玉 △4七桂
▲同 飛 △同角成
▲6一馬 △7四玉
▲7一飛 △7三桂
▲8三銀 △8五玉
▲9七桂 △8六玉
▲9八桂 △9六玉
▲8七金 △同 金
▲同 銀 △同 玉
▲4三馬 △5四銀
▲8九香 △同 と
▲5四馬 △同 歩
▲8八歩 △同 玉
▲5八金 △7九飛
▲6九銀 △4九金
まで96手で後手増永君の勝ち
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