日本の場合は55歳を超えた就業率が米国と同じぐらい高いものの、出産後の30~40歳近辺の就業率はぐっと低くなり、M字を描いています。
(日経新聞10月22日朝刊より抜粋)
30~40歳代の水準は米国やフランスと比べても目立って低い水準です。
日本は女性が働きにくい社会であると以前から言われていますが、多くの先進国でM字の就業率が消滅しつつあるなか、今でも子供を持った女性が十分に労働参加できていない実態が見えます。
また、40代後半からの就業率の回復についても欧米での就業形態とは異なり、日本の場合はパートタイムとしての復帰が中心となります。
つまり、55歳を超えた年代での就業率の数字は米国と同じぐらい高いとはいえ、その実態は米国とは異なるわけです。
就業率が低くなる理由は、本人の価値観や意識に起因するものと、取り巻く環境に起因するものの大きく2つを挙げることができます。
もし本人が、子供を産んだら専業主婦になりたいという価値観をもっており、子供が小さい間は仕事をせずに家庭を守りたいという思いで仕事を一時中断しているのであれば、何も問題ではないですし、そうした考えは尊重されるべきだと思います。
こうした考え方はアジアや中東では伝統的に見られる価値観ですし、決して悪いことではありません。
ただ最近は日本においても女性の社会進出に合わせ、女性は家庭を守るべきという考え方は、特に都心部ではだいぶ変化してきているように感じます。
近頃では一部の中学や高校の家庭科の時間に、男女平等の考えに基づき“専業主夫”というワードが出てきて、今後は専業主夫もありえると教えている授業があるほどだと聞きました。
(男女平等の考え方はいいと思いますが、誰かが家事専業で家を守るという考え方から抜けられていないあたりが学校教育らしいですね・・・)
子供を産んだ後は仕事を辞めるという価値観を持っていた女性は以前はもっと多かったと推測されますが、徐々に意識が変わってきている中で、さらに不景気で女性も家計を助けざるを得ないという事情もあいまって、女性の就業率意欲は高まっているはずです。
(実際に99年は40%だった就業人口に占める女性比率が08年では42%になっており、さらに上昇傾向です。)
そうした中、それでもM字カーブが伝統的に残ってしまっているのは、本人の価値観や意識の問題よりも、取り巻く環境の問題の方が大きいためではないかと考えます。
この続きは明日書いてみたいと思います。