タバコは子どもへの愛情を測るものさし
十三夜は以前、子どもの喫煙防止ということで学校や地域などから依頼を受け、
禁煙教育を行なっていたことがあります。
しかし、いくら子どもに対してタバコは体に良くないと教えても、周囲の大人たち
が無理やり子どもに煙草の煙を吸わせてしまっては効果が無くなってしまいます。
【 喫煙の有無と子どもへの愛情の関係 】
一般的には喫煙者は子どもへの愛情が薄くなる傾向が強いようです。
というよりも、子どもへの愛情が薄いから喫煙をする、という言い方の方が正しい
でしょうか。
もちろん、煙草を吸わない人全員がそれだけで子どもへの愛情が強いということに
なるわけではありませんが、子どもに煙草の煙を吸わせないというのは親としての
最低限の義務であるとは言えるでしょう。
それではまず、自宅で喫煙する場合、家族へのリスクにはどんなものがあるのか
見てみます。
・ 受動喫煙による癌・呼吸器系疾患・心疾患・動脈硬化など健康への害
・ 幼児の吸殻の誤飲(誤飲調査開始以来29年連続第1位)
・ 火災(火気使用認識の強いコンロ等と違って死亡率が高い)
・ 火傷(限定された空間のため火との距離が自然と近くなる)
・ 学力への影響(以前喫煙と知能の関係について述べた通りです)
【 室内で吸わなければ害は無い? 】
これまでの研究から、建物内での喫煙は換気扇や空気清浄機を使用しても除害効果は
殆ど無いことが分かっています。
それでは、喫煙をするときに子どもから離れれば害は無くなるのでしょうか。
夜、庭やベランダなどで赤く灯った煙草の火、いわゆるホタル族と呼ばれる
外で喫煙する人も多いと思います。
この方法も、全く効果が無いわけではありません。
が、その効果は極めて限定的なものでしかありません。
なぜなら、喫煙した後の呼気にはまだかなりたくさんの有害物質が残っており、
喫煙者が呼吸をする度にその有害物質が室内に充満していくからです。
呼気から有害物質が排出されなくなるまでは最後に喫煙してから数時間を要します。
現代の建物は機密性に優れている為、窓を開けるなどの換気をしたとしても、
喫煙後の有害成分が含まれたままの呼気が滞留したままになっています。
外で喫煙した後に部屋に戻ったときの煙草煙濃度の測定結果から、非常に高い
粉塵濃度が検出されることが明らかになりました。
また、この呼気が含まれる空間で過ごしている子どもの尿からは煙草煙にしか
含まれていないはずの有害物質(ニコチンの代謝物質)が検出されています。
加えて、衣類の繊維や毛髪等にも相当の有害物質が付着したままになっています。
こうしたことが原因となり、家族に喫煙者がいる家庭の子どもの気管支喘息
発症率は非喫煙家庭に比べておよそ3倍にもなります。
皮肉なことに、喫煙する親が子どもと接する時間を長く、子どもとの距離を
近づけるほど、子どもへの影響は大きくなります。
【 思いやりの心を育てる 】
ホタル族の喫煙方法には更に別な部分で重大な欠点があります。
ベランダなど外で喫煙するということは、燐家・隣室に窓から煙が流れ込んだり
燐家の洗濯物等にも有害物質を付着させたりするということです。
親のこうした「自分(の家族)さえ良ければ他人に迷惑をかけても構わない」という
発想から取られた行為を常に目にしている子どもも、道徳心が欠如してしまい
思いやりの心を育むことができないまま大人になってしまいます。
自動車内から煙草を持った手や灰、煙、吸殻だけを窓から出しているような、
車内の灰皿を汚さない主義の方も最近目立ちますが、同じことが言えます。
自分の子どもにすら思いやりを持てない親が、子どもには思いやりの心を持たせ
たいと考えるのは難しいのではないでしょうか。
もっとも、他人に対しての思いやりは必要無い、という確固たる教育方針を持って
いる方については改善の見込みは乏しいですが、そうでなければ、親の背中を
見せることも大切だと思います。
子どもの思いやりの心を育てるのに親が反面教師になってしまうのは、とても
淋しい気がします。
【 子どもへの愛情に「無縁」より「無煙」を 】
喫煙をする親は、内心では子どもの健康に悪いと分かっていながら吸い続けるの
ですから、我が子への愛情を疑われても仕方がありません。
しかも、自分は煙草を吸っても我が子には将来煙草を吸うようになって欲しくない
と考える親も多くいます。
吸って欲しくないと思うことは、親自身は害の自覚まではできているからでしょう。
しかし子どもは一番の近親者がそばで煙草を吸っている姿を見ているので、煙草に
対しての抵抗感が無くなってしまいます。
そのため、親が喫煙者である子どもが喫煙者になる確立は高くなり、喫煙開始年齢も
早くなります。
子どもへの愛情がまだ少しでも残っているならば、喫煙についてもう一度よく考えて
みるのも良いかもしれません。






1 ■無題
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