ジャック・ポイ Film

                


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【昨年、健さんが亡くなった時に書いたもの。1周忌を機に今更ながらアップします】


今映画を観る場合、大抵はシネコンに足を
運ぶ時代のはなし。辛うじて“映画館”が残
っている時代のはなし…

1903年に日本初の映画館が誕生した東
京・浅草。その劇場の発祥地へ、仕事場
の先輩に連れて行ってもらった事がある。

なんでも、シネコンでは観れない過去の
名作をスクリーンで再見出来るらしく、楽
しみにしていた。

ターミネーターやタイタニック等ハリウッド
大作を観ているだけで映画通ぶっていた
(恥ずかしい!)私は、どんな超弩級の娯
楽作が観れるのかと、期待した。

しかし先輩との集合場所は何やらジャー
ジやスウェット、白シャツ姿のジイ様達が
たむろする場所だった。

丸め込んだ新聞紙を腰に差し込みカーッ
ペッ!と唾飛ばす、そんなROCKなジイ様
が吸い込まれて行く場所は「浅草名画座」
と看板が掲げられた映画館。

映画を2本だて、3本だてで安く観られる劇
場を名画座と言う。入れ替えなしで一日中
入り浸れる。
さすが発祥地、映画のオアシスだ。しかし、
その客層と場末の香りに、入場を躊躇する。


そんな気持ちも知らずに、券売機でチケットを
買った先輩は、サッサと魔窟へと降りていく。




霧(紫煙)立ち込めるアングラムードの地下
進む。すると、こざっぱりとした小さな売
見えて来た。売り子は、鋭い鷹の眼をした
チパーマのおばちゃんが鎮座。

それは一瞬の出来事だった。そのまま通り過
ぎ様とすると、おばちゃんが突如降りかかって
きた。

それは、読み上げられたカルタの如しスピー
で私のチケットを奪いもぎった瞬間だった。




帰りたい気持ちを抑えつつ、ヤクザ映画のポス
ター貼られた暗いロビーで開場を待つ。
…今週の翔のオススメ翔品はアイスモナカ!



眺めていると、幕間関係無しにバタンバタ
出入りするジイ様達。中には女性用トイレへ
突撃していく人もいる。「男性のご利用お
の注意書きも、ここでは効果がない
女性客もいない…。


↑バケツは痰ツバ入れ

さあ入ろうと先輩に促され、重い扉をバタンと
けた。突如、人の臭いがムッと鼻を突きさした!
そしてモノクロの光源に溢れた劇場は若き頃の
高倉や鶴田浩二、長門裕之などの名優がドス
を片手に暴れ回っていた。

そそくさと“自由席”に着く。今では珍しい。同時
客席の所々で赤い小さなネオンサインがホタ
ように明滅している…何だろう、キレイだな
と思うのも束の間、スパァ~と広がる紫煙。


そうか、ここは全館喫煙可能なのか~と思
スクリーン目前に堂々と書かれた「禁煙」の文字。
ここではルールが壁のラクガキ。

ROCKで自由なジイ様達に囲まれて落ち着か
かったのも、眺めている内に慣れてきた。

映画に集中する。作品内の高倉健や鶴田浩
いつも人情深く、弱者の為に命を張る。様々な
作・任侠映画をここで観せてもらったが、結末
体似ていて、自らの幸せを投げ出し、最期は人の
ために散ってゆく。


その自己犠牲と、狭気(おとこぎ)、哀愁の
に、私の心は任侠世界へどっぷり浸かり熱くな
る。不器用ですから…の優しい健さんではない、
刺青を彫り込んだ小器用に暴れまわる別の
の健さんに惚れていた!

すると劇中の暴力的で迫真のセリフが、とつぜん
客席からも聞こえて来た。座席がボフン
と振動する!何事か!と思いきや、お客同志
乱痴気騒ぎが始まったのだ。

「オラぁ。俺の席だっつってんだろお!」
「おぅおぅおぅ」

胸ぐらを掴み合うジイ様達。

トイレの間に自分の席へ座られたのか?自由
席にありがちなやつだ!頑固なジイ様達が、大
人しく譲り合う訳がない。


丁度スクリーンでも任侠映画の見せ場組の
争シーン。映画内の出来事が客席にも飛び
出して、大立ち回りが始まった!

スクリーン目前で人のシルエットがもみくちゃ
になる。小刻みに振動する座席。

「健さんが見えねぇよ、オラ!」

と別のお客が合いの手を打つ。

平然とする他のお客。日常の光景なのか!
見ていると、スクリーンに藤純子(女優
人)がご登場!
ピタリとケンカが止んだのは、ジイ様達。おとな
しく席に着く。スクリーンに藤純子が登場する事
劇場にいる2人の仲裁へ入る事になった。





…これが浅草名画座の初体験。
時に足元をネズミが走り、座席にべっちょり染
た痰ツバの洗礼を受ける事もあった。浅草
4DX、卒倒しそうな体験から3年ほど通い、取り
壊しが決定、無くなってしまった今でも夢のよう
体験だった。

かつての名作を、戦後の生き残りみたいな映
画館で観ることで、作品の面白さは何倍
膨れ上がった。
映画と現実の境界が曖昧になり、地上の光を
びるまで現実に戻れない、唯一無二の強烈
な映画館だった。


同じ作品を小綺麗なシネコンで観ても、家で
DVD鑑賞したとしても、この感動は、絶対味
えない。(したくないか)






残念ながら、2012年に映画館の発祥地・浅草
に30館以上あった映画館は109年の時を経て
全てなくなったそうだ。

健さんと言えば浅草4DX劇場を思い出す。20
14年にくなり、今更ながらご冥福をお祈
ます。

そう言えば、健さんが亡くなった時、また高倉
の映画を映画館で観たい!とお客さんが
ンへ殺到したそうな。

しかし、デジタル化を終えたシネコンでは、旧作
フィルムを掛けられる劇場がなく、それも一部の
劇場でしか出来なかった。

なんとも皮肉な現代のおとぎ話。でもフィルム
もデジタル素材も掛けられる“映画館”がかろ
じて残っている事。

“映画館”でしか出来ない映体験がある
も忘れてはならないと、健さん浅草名画座
には教わった。






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