フライトプラン
1月28日、日本公開初登場1位。3週間で、興行収入23億円。
すでに3年前の主演作『パニック・ルーム』の興収20億円を
超える大ヒットとなったジョディ・フォスターの最新主演作
『フライトプラン』は、予告編のオモシロさと本編が同程度
の出来という、標準的なハリウッド娯楽映画だ。宣伝費も、
それ相応。テレビCMは、随分長いことやってた。

飛行機の中にいる母娘。「数時間、眠ってしまえば、
起きた時にはニューヨークに着いてるから大丈夫」
みたいなことを娘に話して、眠るように諭す母。
窓にフーッと息を吹きかけ、指でハートを描く娘……。
ところが、母役のジョディ・フォスターが目覚めると娘がいない。
高度1万mを飛行中の乗客425名の機内で、目撃者は誰もいない。
娘を探しまくる母親の騒ぎで、機内が混乱状態に陥ったため、
捜索は乗員に任せ、席に着いて落ち着くように諭す機長。

しかし、機長役が今まで何度も悪役を演じているショーン・ビーン
だから信用できない(それが狙い??……笑)。
そして、この機長は客室乗務員から「娘が離陸前に死亡している」
と報告を受け、最初から子供など乗っていない、と母親に告げる。
夫が自殺したばかりで、一人娘までも失い、我を見失う母親。
心理カウンセラーに付き添われ、本当に自分がおかしくなっている
のかもしれない、と思った瞬間、窓に浮き出たハートを見つける!
やっぱり自分は狂ってない、娘は絶対、機内にいる……
そう確信した母は単独、実力行使に出る。

そんな予告編だけで、見たくなってしまうストーリーは、
もともとショーン・ペンのために書かれた脚本だった。が、
ジョディ・フォスター演じる母親に主人公が変わったことで、
より興行的な成功が確実なものになったのは間違いない。

(以下、真犯人は明かしませんが、それ以外はネタバレ注意!)

とはいえ、主人公がこの飛行機の設計者という設定は、いかにも
ご都合主義的。そうしないと、普通の母親では機内で実力行使など
簡単にできない、というリアリティ上の都合が最大の要因だろう。
さらに、彼女をハイジャック犯人に仕立てて現金を要求するという
手の込んだ筋書きを達成させるために、あえて飛行機の設計者を
選んで仕掛けられた罠だったという一見、合理的な説明もされる
ので、物語としての違和感は確かにない。けどねえ……後半、
そうした整合性のための種あかしの説明をされればされるほど、
見ているほうはシラけてくる。ご都合の説明を延々と受けてる
感じになっちゃうんだよねぇ…(笑)。

実際、その後の強いジョディ・フォスターの活躍を見るにつけ、
飛行機の設計者を犯人に仕立てるメリットより、デメリットの方が
はるかにデカいような気もしてくる。特に、犯人がわかった後の
展開は誰の目にも明らかで、急速に話への興味が冷めてしまう。
そこへ追い打ちをかけるような、ご都合の説明の嵐で万事休す。

最後は、爆発する飛行機から娘を抱えて歩いてくる母親の姿など、
ハリウッドの典型的ヒーローもの以外の何ものでもない。だから、
ヒットしたんだろうけど……全米では『パニック・ルーム』と同じ
9000万ドル前後のヒット。まるで、ありがちなアクション・スター
ばりの映画が2本も続くとは、ジョディ・フォスターらしくない。
間にチョイ役で、フランス映画に出ているところが彼女らしいけど
……単純にハリウッドスターとしての期待しか彼女にはしていない
ということなら充分楽しめるだろう。総合評価は及第点の★★★

『パニック・ルーム』公開のとき以来、3年ぶり6度目の来日
となったジョディ・フォスターは、映画で見るよりずっと若く、
子供との生活が本当に充実しているらしかった。それだけに、
監督作の予定は当面なく、依頼が来た映画に時々出演するだけ
というスタンスがしばらくの間は続くようだ。

それでも毎回、1億ドル近いヒットを飛ばせるのはスターは、
そんなにいないことを考えると、大したもんだなんだけどね…。
でも、それでいいの?……同じく危険に晒される母娘を描いた
パニック・サスペンス娯楽映画『パニック・ルーム』の方が、
もうちょっと盛り上がったような、そんな記憶があるけど……
こちらも総合評価は及第点★★★ぐらいだったかな。



ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
パニック・ルーム
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