ザスーラ
今年の年末(正月)映画には、一つの大きな流れの特徴がある。
日本語吹替版によるテレビCM比率が一気に増えたことだ。

近年の洋画公開時のテレビCMでは、その映画のシーンは
字幕のついた画面にオリジナル版の言語(ほとんど英語)
で流される、というパターンが大半だった。確かに、
その方がオシャレに見える。最先端に見える。
けど、それが何を意味しているのか?

マーケティングにおけるメインターゲットが子供のいる家族向けに
日本でも完全にシフトしてきた、ということだ。

アメリカでは90年代から、そうした傾向が強まっていた。
要は、家族で見に行ける映画が安定したヒットを記録する
ようになっていたのだ。

日本でもシネコンが次々にオープンし、40年もの長い間、
毎年着実に減り続けていた映画館数が4~5年前から再び
増加に転じた。以降、2003年、2004年、と連続して
年間総興行収入の最高記録を日米ともに更新する
という好況ぶりを堅持している。

その最も大きな要因となったのが、駐車場完備で完全入替制の
シネコンに押しかける子連れ家族層だったというわけだ。

事実、『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』といった
宮崎アニメのスーパーヒット作は、その大半がシネコンで
動員された数字という。これらは、明らかに子連れ家族が
メインターゲットの作品で、『ファインディング・ニモ』
『ミスター・インクレディブル』といったディズニーアニメ
が最近、軒並み大ヒットしていることとも無関係ではない。
12月23日公開の『チキン・リトル』も、内容的にはともあれ
大ヒットする可能性が高いと予測できる。

この層は、団塊世代ジュニアと呼ばれる日本で最も人口分布の
多い年代(30代)とも合致しているため、この傾向は今後数年
にわたり続くはずだ。ということは、10年後にはティーン向け
と中年向けのマーケティングに二極分化されていくのかな?

日本語吹替版のテレビCMがやたら目立つようになったのは、
そうしたマーケティングがついにメインストリームになった、
ということの顕れだったんだよね。

12月10日公開のSFコメディ『ザスーラ』も、まさにそれ。
内容的にも家族向け、というより子供向けといったレベル。
宇宙が舞台のボードゲームの中身が現実のものとなって主人公
兄弟の身にふりかかる冒険ファンタジーなんだけど、そもそも
子供向けコメディなので、危機感はコレっぽっちもない。

原作が『ジュマンジ』と同じC・V・オールズバーグなので、
どうせまたうまく元に戻るんだろう的な察しは誰でも容易につく?

……待てよ。っていうことは、『ポーラー・エクスプレス』の
原作者と同じ人じゃないか!……なんてこった!

とはいえ、『ジュマンジ』(1995年)は面白かった。
実際、どうなるのか、結末が見えない緊張感もあった。
脚本にオールズバーグ自身が加わっていたせいもあるだろう。

こちらも物置にあった古いボードゲームを主人公兄妹が始めた途端、
家の中がジャングルと化し、危険な猛獣たちが次々と襲ってくる、
というブッ飛び体験的SFファンタジー映画で笑えたが、
『ザスーラ』はその設定がジャングルから宇宙に変わっただけで
何の変哲も工夫も見られない。両方に共通する父親の存在(今回は
ティム・ロビンス、『ジュマンジ』はロビン・ウィリアムズ)も、
前作の方が遙かに深くストーリーと関わっていた。
つまるところ、『ジュマンジ』の焼き直し……
いや、内容的にはそれ以下……なんたる手抜きだッ!

映像的には確かに『ジュマンジ』の動物たちの動きより数倍、
CG技術が進歩していることがわかる。でも、それだけ。

『ジュマンジ』では主人公兄妹の女の子の方が子役時代の
キルスティン・ダンスト!っていう見どころもある。



ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ジュマンジ コレクターズ・エディション

『ジュマンジ』には総合評価★★★★をあげてもいいが、
『ザスーラ』は総合評価★★!

子供が見ても『ジュマンジ』の方が怖くて楽しめるはずだ。

大人の視点で同じSFコメディを見るなら、
今年9月に公開された『銀河ヒッチハイク・ガイド』の方が
遙かにイマジネーションを刺激する。
実は紹介のタイミングを逸してしまった1本なんだけど、
そろそろビデオ化されているはずなので、
次回にコッソリ……(汗)

次回の『銀河ヒッチハイク・ガイド』は、コチラから!!
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