スタンドアップ
「子供が仕事をもってきてくれる」……
不思議なんだけど、実際よくある現象なんだよねえ。

子供がいない人には実感が湧かないだろうとは思うけど、
例えば『シンデレラマン』が、そうだったでしょ?

『ハリー・ポッター』の原作者J・K・ローリングスも、
生活保護を受けながら父無し子を連れて暖房のある喫茶店で
書き上げたのが『ハリー・ポッターと賢者の石』だった……
そんな実話が口コミで話題となり、大ベストセラーになった。
さらに、なかなか出版してくれるところが見つからずに、
やっと本になったのは出版社重役の子供が「続きが読みたい!」
と言ったからとか。今やJ・K・ローリングスは大金持ちだ。

多分、子供のために稼ごうと本人が一所懸命になるから、
結果的にそういうジンクスがあるように見えるだけなのかも
しれないけど、自分も何となく同じような体験をしているから、
余計にそう思える。あるんだよね、本当にそういうこと!

きっと神様が子供のために、仕事をもって来てくれるんだ……
自分の中では絶対的に、そう信じて疑わない。
少なくとも自分の子供に感謝したい気持ちでいっぱいになる。

来年1月に日本公開される実話の映画化『スタンドアップ』
(原題:ノース・カントリー)も、そんな母親の話。
暴力夫と別れ、父親が違う二人の子供を抱えて自力で生きていこう
とする母を演じるシャーリズ・セロンが、再び次回アカデミー賞の
有力候補とまで言われているけど、それぐらい評価して当然!
の映画だったよ(総合評価★★★★)

『シンデレラマン』を見て、父親の気持ちに共感するほどの感動は
なかったという女性でも、この映画を見ればわかってくれるだろう。
基本的には同質の感動のパターンだから。泣けるよ、男でも。
一番感動的なシーンは、息子に出生の秘密を話す場面かな?

ただし、こちらの実話の内容はあまりに腹立たしい。
ボブ・ディランの音楽がピッタリのミネソタ州の小さな町。
そこで唯一、稼ぎのいい職場=鉄鋼採掘現場に就職した母親は
伝統的な男の職場で、あらゆるセクハラの嵐に遭う。
それがあまりに露骨過ぎて(日本だったらもっと陰湿だろう)、
アメリカンといえばアメリカンなんだけど、ムカついてくる。
稼ぎのいい職を失いたくない、という理由から誰も味方になって
くれず、同じ職場で働いている父親さえも冷たい。

こんな時、クリント・イーストウッドがいたら絶対、ひとこと
言ってくれるだろうなあ……とか思いつつ、悲しいかな、
実話にイーストウッドみたいな奴は絶対出てこない(笑)。

だからイーストウッドのキャラは永遠に好きなんだよねえ……

そこで一人、彼女は子供のために立ち上がるわけなんだけど、
そんなとき力になってくれるのが、オスカー受賞俳優中心の布陣、
というのが百人力!(……というか、非常にわかりやすい、笑)

フランシス・マクドーマンド、シシー・スペイセク、
ウッディ・ハレルソン、そして、いつもは悪役が多い
ショーン・ビーンまで、知った顔の俳優はたいがい協力的だから、
ひと安心……でも、一番良かったのは、父親役の人かな。
まさに、これこそが父親の感情だよね。良かった。
あんまり、よく知らない俳優さんだったから良かったのかな?
だって、もし彼がイーストウッドだったら、
あらぬ期待をしてしまうでしょ?……あり得ないけどね(笑)。
                 
タイトルからして、ボブ・ディランの「北国の少女
(ノース・カントリー・ガール)」が流れるのかな、
と思ってたけど、出てこなかったなあ。ちと、残念。

それに、なぜか全米では全然ヒットしてない。
話がシビアすぎるのかな?……弁護士のウッディ・ハレルソンが
どう見ても美しい独身妻に一切、手を出そうともしないところも
ハリウッド的な話じゃないからね。実話だからなんだろうけど、
そんなロマンス的な要素をこの女性監督は完璧にブッタ切った!

多分、オスカー候補になれば、また盛り返すだろうから、
今の興行成績はあんまり関係ないのかもしれないけど……。

シャーリズ・セロンに関しては、アカデミー賞候補になったら
(なりそうなので)、その時点でまた新年に書きますね。
『モンスター』に続いて2度目の主演女優賞受賞だって、
決してあり得ない話じゃないと思いますヨ。



松竹
モンスター プレミアム・エディション
AD

コメント(20)