ダニー・ザ・ドッグ

モーガン・フリーマンが関わっている映画で、
現在公開中の作品は、なんと4本あった!

実は『宇宙戦争』のナレーションも、モーガン・フリーマンだった。

スゴイね!!

さすがだね。

『ディープ・インパクト』で黒人初の米国大統領役に選ばれた
だけのことはある。やっぱり「人格者」に見えるんだよね。

リュック・ベッソン脚本の最新作『ダニー・ザ・ドッグ』では、
モーガン・フリーマンは盲目の調律師を演じている。
その存在感は、完全に主演のジェット・リーの単独登場シーンを
サブ的なものに追いやってしまうほどのインパクトがある。
実際、彼が出てきた瞬間から、その優しさ、温かさに、
ずーっと涙が止まらなかった。

『ダニー・ザ・ドッグ』は、アクション映画としては
「ジェット・リーありき」で企画されたような、
いかにもB級映画的な設定だ。

最近のリュック・ベッソンらしい、といえば、らしい。

物語のB級映画的な設定を感動的なドラマに見せてしまうのは、
「役者の力」だ。そう思って、やまない。この映画の場合は、
モーガン・フリーマンのキャリアと年輪に裏打ちされた
役者としての実力(説得力)に他ならない……と思う。
それほどアクション・シーンの印象は残っていない。
思い出すのは料理のシーン、買い物のシーン、
アイスクリームのシーン……などなど、
すべてモーガン・フリーマン親子との触れ合いの場面ばかりだ。

主人公の生い立ちは確かに悲しい。
けれど、そういうことでは自分は泣けない。
悲しいだけでは、もらい泣きさえ起こらない。
むしろ、しらける。泣けるのは、そこじゃない。

あくまで、調律師の家庭の温かさ、彼の眼差しの優しさ
(実際にはサングラスをしていて見えないのだけれど)
……それなしに、この映画の良さは語れないと思っている。
ハッキリ言って、ジェット・リーの数々のアクション映像は、
『ダニー・ザ・ドッグ』に関して言えばオツマミ程度の存在
でしかない。そこだけを見ていたら、危うく出来の悪い
B級アクション映画になるとこだった。

ジェット・リーは好きだよ。
彼の出演作は何本も見てるけど、最近では
特に『英雄~HERO~』が良かった(総合評価★★★★)。
ワイヤーアクションが必要不可欠だったかどうかは疑問だけど。
和太鼓の迫力や、原色の色遣いや、紀元前の中国の風景……
印象に残っている場面は多い。



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『グリーン・デスティニー』なんて、比較にならないほど好き!
(ジェット・リーは出てないけどね、ここ数年アメリカで
大ヒットした中国映画の両巨頭という意味での比較です)

だいたい、なんで彼らはあんなヒラヒラ飛んでるわけ?
ワイヤーアクション、違和感あり過ぎ!!
現実味のかけらもない。あんなもん、好きなのは
エキゾチック好きの西洋人ぐらいでしょ?
アン・リー監督作なら、もっといいのがいっぱいある。
あの程度では、まったく泣けないね。


もちろん「泣けるから、いい映画」ってほど話は短絡的じゃない。
「泣けないからダメな映画」って評価が作品によってはまったく
当てはまらないということも重々承知している。
ただし、泣けることが悪い評価につながるってことは絶対ない。
つまり、泣けることが自分にとって一番好きな映画
になるとは必ずしも言えないっていうだけ。

「泣ける」ことは作品の絶対評価の一部分でしかない。
そんなことで評価してたら、半分近くの映画に★★★★★
をつけなければならなくなってしまう。これじゃ何がいいのか、
ちっともわからないでしょ?

少しでも泣けたら、たいがい及第点の★★★は、あげてると思う。
それほど映画では泣けるのに、自身のことだと泣けない
自分は冷血動物かもしれない、と思うことがある。
今、親が死んでも、泣ける自信はない。
ただ、子を想う親の気持ちに置き換えて、
泣けることはあるかもしれない。
これについては、「多くの人と感性が違うのでは……」
と思うこともしょっちゅうある。


実は最近、一番泣けたのは今年のアカデミー賞授賞式だ。
それは同じ映画人同士がお互いを尊敬しあっていることが
コメントの端々、ショウの全編を通じて
--司会のクリス・ロックやみんながイーストウッドに対して、
片やイーストウッドはマーティン・スコセッシのフィルム保存
活動や大ベテランのシドニー・ルメット監督に対して--
とてもよく伝わってきたからだ。
ほとんど最初から、ずーっと泣けた。
(授賞式を録画してくれたmocha、サンキュー!)
こんなにも温かい感性に包まれたオスカー授賞式は、
ここ数年なかったんじゃないだろうか。


脚本リュック・ベッソンとのコンビで非常に評判が高い
前作『キス・オブ・ザ・ドラゴン』と比較されて、
『ダニー・ザ・ドッグ』が散々に酷評されているのを時々
見かける。それは多分、泣ける感性がみなさんとは
少し異なっているからなんじゃないかな、と思う。
もしかしたら、今年一番泣けた映画かもしれない。
総合評価は★★★です。

ん?…低すぎますか?




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キス・オブ・ザ・ドラゴン




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レオン 完全版


B級映画には、B級なりの楽しみ方ってものがある。
かつての偉大な影響を受けた作品へのオマージュとかね。
つまり、ある種のマニアを大喜びさせる部分。
タランティーノ作品が好きなのは、その部分によるところが大きい。
リュック・ベッソン監督作の『レオン』にも、それがあった。
『ダニー・ザ・ドッグ』は感動的なB級映画だと思ってる。
だから、惜しい。愛すべき点が、もう一つ、二つ、欲しかった。
ジェット・リーのファンに聞いてみたらいい。
これで本当に満足できたかどうか、と。

つまり、モーガン・フリーマンのシーンばかりが感動的で、
それだけが目立っちゃいけない映画だったんだよね。
そのバランスを取るのが監督の役目。
それを興行面からチェックするのがプロデューサーの役目。
ヒットすれば、プロデューサー的にはOKなんだろうけど、
監督の仕事としては、今一歩だったね、ってとこ。

言うは易し、行うは……水野晴郎さんの映画を見れば、わかる。
(ゴメンなさい、水野さん!!)