7p
2005年暮れより、2本のタイ映画が全国順次公開されている。
いずれもアクション映画で、実際テイストは随分違うのだが、
邦題が似通っていて(一方の原題は邦題とまったく違う)、
製作スタッフも似たりよったりで、ややこしいので、
まず最初に整理しておこう。

タイでの公開順で言うと、日本で最も遅れて公開された
『バトル7』(原題:ヘブンズ・セブン)が、2002年で最初。
同作のプロデューサー、プラッチャー・ピンゲーオが監督した
『マッハ!』(原題:ムエタイ・ウォリアー)が、2003年公開
(日本では2004年に公開されている)で、同監督が再び製作し、
『マッハ!』のアクション監督パンナー・リットグライが監督した
『七人のマッハ!!!!!!!』(原題:ボーン・トゥ・ファイト)が
最近の2004年公開、という順番になっている。

(以下、面倒なのでタイトルの「!」マークは省略する…!)

今回は、ちょっと怒っている(ホントにちょっとだけです、笑)。

そもそもCGなし、ワイヤーなし、スタントマンなし、がウリの
アクション映画『マッハ!』は、一部評論家の絶賛でブロガーの
「年間ベスト10」にも入るぐらい評判だったらしいのだが、まず
それが信じられない。実は、この『マッハ!』は見てないので、
あんまりどうのこうのと言える立場ではないんだけれど、どうも
『七人のマッハ』が『マッハ!』をさらにパワーアップした感じ
のアクション映画であるという宣伝文句や、その『七人のマッハ』
評を見るにつけ、『マッハ!』がそれと同類のどうでもいい映画
のような気がしてならない。

基本的に、素晴らしいアクション映画というのは、物語における
必然性や緊迫感の中で、初めてスタントシーンも生きてくる。
どんなに凄いスタントシーンをつなげたところで、無味乾燥な
物語の中では、ちっとも盛り上がらないし、退屈極まりない。
『七人のマッハ』は、その典型。そんなのが見たい人はスタント
のドキュメンタリーを見ればいい。それで事足りる。そういう
アクション映画は評価したくない。決死のスタントには拍手を
贈りたいが、それをつなげただけのドキュメンタリーにした方が
まだマシ、みたいな物語を延々見せられるのは拷問に近い。

こんな映画が、そんなにいいのか???????
まったく信じられない。我が目を疑う。

実際、『七人のマッハ』の最大の見どころは、エンドロールに
流れる生身のスタント失敗シーンの数々だ。NGシーンの方が
迫力があって見応えがあるということは、そんなドキュメント
部分だけで充分、あとは寝ていても、まったく損しないレベル
ということだ。そこまで言える映画は滅多にない。総合評価★、
っていうか、眠気との戦いがメインになって判定不能だ。

ところが、いくつかのブログを見る限り、『七人のマッハ』は
「絶賛」までいかないにしても、ヘンに評価されている。前作
の『マッハ!』よりいい、とも悪い、とも書いてない。きちん
と評されているとは到底思えない。不思議でしょうがない。
これはオカしい。さらに、この邦題もオカしい。

この映画は、スタントシーンを寄せ集めたアクション映画なので、
俳優を使わず、ムエタイ、テコンドー、体操、サッカー等のプロを
主役に配して撮影されただけあって、物語や演技はどうでもいい、
ということらしいのだが、アホでも主役のプロが七人なのかどうか
数えればわかるものを、あえて「七人」(実際はもっと多い!)と
しているところに、この映画のC級以下のいい加減な作りが表れて
いると言っていい。ただし、映画のノリ自体はいい加減ではなく、
演出スタイルは結構マジだから、余計にタチが悪い。

それに比べれば、『バトル7』の方がオープニングの地雷シーン
からして相当いい加減なノリで面白い。オリジナルは1950年代に
製作された国民的物語らしく、タイに駐留する米軍憎しの感情が、
マカロニ・ウェスタンばりの娯楽アクション映画(タイ人たちは
アクション西部劇が好きなのか、そういうタイ映画が少なくない)
に結実している。何より、7人のキャラクターがきちんと立って
いる点だけでも、『セブンソード』などより遙かによくできている。

『七人のマッハ』は根本的に七人じゃないので、キャラクターの
描き分け以前の問題。話にならない。『セブンソード』の方が
人数を数え間違えてないだけ、まだマシ…(なんと低レベルな!)

もちろん、単純明快な米軍=悪者の構図やヘタウマな特撮シーンは、
無邪気なB級映画のノリなので、真剣に見るほどのアクション映画
じゃないが、米軍をやっつけてタイ国民の溜飲を下げ、続編も製作
されるほど愛され大ヒットしたというのは、わからないでもない。
(……総合評価★★★)

でも、二挺拳銃の主人公のオヤジは、なんで赤パン(赤いパンツ)
を履いているんだろう。意図がよくわからない。確かに目立つこと
は目立つけど、日本の女性には好まれそうなキャラじゃないね……
相対的に皆さん、暑苦しいタイプ。タイだから仕方ないのか(笑)。

何はともあれ、この勝負『バトル7』の圧勝です!
くれぐれもタイトルを間違えて見てしまわないように……。



ジェネオン エンタテインメント
マッハ ! プレミアム・エディション
AD

ガッツ

水野晴郎さんが倒れて重体、というニュースを見て、
急遽予定した内容を変更、「1月14日よりOK牧場ロードショー」
(チラシの宣伝文句より)されているガッツ石松主演最新作
『ガッツ伝説 愛しのピット・ブル』の話をしよう。

なぜって、この二人、実は浅からぬ因縁がある。
ガッツ石松が唯一、監督・主演・脚本を兼ねて製作した意欲作
『カンバック』(1990年)の公開当時、映画評論家として
横綱級の知名度があった水野晴郎さんに映画を酷評され、
怒ったガッツさんは、テレビ番組中に食ってかかった。
「これまでのボクシング映画は、みんな嘘っぱち。
本当のボクシングはそんなもんじゃない。それが
ボクシングの素人にわかるのか。釈明しろ!」
みたいな大人げない内容だった。水野さんも負けてはいない。
「私は映画評論家として、よくないと思うものを皆さんに
オススメするわけにはいきません」
「何を!」とガッツさん、険悪なムードで収拾がつかないまま
テレビ番組はドタバタと終了、となってしまったのである!



松竹
カンバック
これには見ている方が驚いた!
それ以降、ガッツさんは俳優に専念、映画を一度も製作していない。

実はそれから数年後、私はガッツさんにも、水野さんにもお会いして
話をしたことがある。もちろん、あまり深くは聞かなかった(笑)
が、二人ともタイプは違えど、とても素敵な人たちだった。

実際、その後、ウチの娘が生まれた時、あまりにガッツさんに顔が
似ていた(後で知ったのだが、生まれたばかりの赤ちゃんは、みんな
ガッツ石松さんに似ているらしい。そういう話を出産した人に何度も
聞いたことがある!)こともあり、ガッツさんには思い入れがある。

そして一昨年、ガッツさんが水野晴郎さんの『シベリア超特急5』に
出演しているのを見て、「和解したんだな」と人知れず嬉しかった。
ちょうど、ガッツさんが「OK牧場?」で再び脚光を浴び始めていた
頃だ。それから、『ガッツ伝説』が40万部のベストセラーとなった。



ポニーキャニオン
シベリア超特急5~義経の怨霊、超特急に舞う~



ガッツ石松&鈴木佑季, EXCITING編集部
最驚!ガッツ伝説



ガッツファミリー, エキサイティング編集部
最驚!ガッツ伝説2

しかし、それ以前に、ガッツさんの俳優としての実績はものすごい。
リドリー・スコットとスピルバーグ監督作品の両方に出ているのは
日本人では他にいない、というのがガッツさんの自慢だ。それで、
「人情ドラマの最高傑作」という明らかな誇大宣伝に騙されて、
最新作『愛しのピット・ブル』を見てしまった、というわけだ。

確かに人情喜劇であることは間違いない。ただ、『ガッツ伝説』と
タイトルに謳うからには、徹底的に大ボケをかましてほしかった。
これじゃ全然、笑えない。元ボクサーのしがないペット屋のシャイ
なオヤジが、シングルマザーの麻生祐未に不器用な恋をするという、
今時TVドラマでもやりそうにない、ありきたりな設定は古臭過ぎ。
舞台での実績がある野伏翔監督は、なぜ『ガッツ伝説』という本が
こんなに受けたのか、まったくわかってなかったんだろうと思う。
どうせコケるなら、せめて「OK牧場?」の台詞に失笑が起こる
ぐらいボケまくって、大暴れしてほしかったなあ……総合評価★
(ガッツさん、ゴメンね……水野さん同様、許して下さい~笑!)
新宿トーアにて、まだ公開中、と思います(汗)。

ちなみに、「OK牧場?」のネタ元、『OK牧場の決闘』(1956年)
は、水野晴郎さんの水曜ロードショーでも視聴率25%を稼いだ往年の
大ヒット作。何度も映画化されている西部開拓史上最も有名な実話を
基に、実際の決闘シーンの一人一人の動きを忠実に再現したという
ジョン・スタージェス監督の決闘三部作の一つ。フランキー・レイン
とディミトリ・ティオムキン(50~60年代の映画音楽のキング)の
『ローハイド』コンビによる有名な主題歌、バート・ランカスター、
カーク・ダグラスという二大スターの競演でも話題になった名作だ。
ジョン・スタージェス監督がワイアット・アープとドク・ホリデイの
その後を描いた続編『墓石と決闘』(1967年)も、出演者は異なるが
(ジェームズ・ガーナーのガンさばきは見事ですよ)佳作だった。
また、後者の音楽は巨匠ジェリー・ゴールドスミスの初期の傑作。
スリリングでキレのある音は、もう往年の名作とは違って今風です。
どちらも、総合評価★★★★(……今、見ると★★★ぐらいかな?)



パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
OK牧場の決斗【字幕版】



アミューズソフトエンタテインメント
墓石と決闘

ケビン・コスナーとデニス・クエイドの『ワイアット・アープ』(94)
や、カート・ラッセルとバル・キルマーの『トゥームストーン』(93)
は、『OK牧場の決闘』と『墓石と決闘』の話の前後まで描いた大作
(前者)とアクション映画(後者)で、比べて見ると面白いですよ。

ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演の名画『荒野の決闘』
(46)も同じ話だけど、詳しく違いを述べていくとキリがないので、
今日はこのへんまでにしておこう。とにかく全部見てください(笑)。
でないと、いつか話が合わなくなりますから……。

『ガッツ伝説』との対決?……まだ言わせたいんですか?(笑)
元ネタは偉大だったということです。

水野さん、意識は回復したそうですが、くれぐれも無理はなさらぬように……。
AD

青空


同じキーワードを含むタイトルの映画が同時期に公開されるという
現象は、昔からよくある。『四谷怪談』や『エンテベ』の企画等、
数え上げればキリがないだろう。主な理由として考えられるのは、

1、一方が他方の話題作を意識して誤解を招きかねない題名を
 あえて付ける場合、
2、対抗馬をつくることで話題性の相乗効果を狙う場合、
 の二通りがある。

似たような話の映画が同時期に公開されることが多いのも同様。
たいがい、おこぼれ狙いの映画の方が慌てて先んじて公開され、
本命はじっくり後からドンとくる。もちろん、

3、たまたま似ちゃった、

なんてこともあるだろうけど、それでは紛らわしくなるばかりで、
お互い迷惑な話。むしろ、話題作りのために恣意的に仕掛けられる
ケースの方が多いだろう。2005年11月公開の『トンケの蒼い空』
(全国順次公開なので、これから公開される地方劇場もある)と、
同じく12月公開の『アメノナカノ青空』(こちらも地方によっては
これからだったり、東京では渋谷シネクイントで明日まで!)も、
どちらも若手イケメン韓流スターが主演の韓国映画とあって、
極めて紛らわしいが、さて今回のケースでは、上述のどれに
当てハマるのか?

その判断は、以下を読んでからにしていただくとして、
とりあえず内容的に「どっちが面白かったか」のみ、
完全ネタバレありで話そうと思うので、未見の方はご注意を!
(……もう、公開が終了してる地域もあるので、いいよね?)

まず、先に公開された『トンケの蒼い空』は、『友へ チング』が
韓国映画史上最高のヒットとなったクァク・キョンテク監督作で、
注目は昨秋評判になった『私の頭の中の消しゴム』で人気上昇中の
若手実力派韓流スター、チョン・ウソン主演最新作として相次いで
公開された点。そんな彼が初の汚れ役に挑戦した珠玉の青春映画、
というのがこの映画のウリ(宣伝文句)なのだが、「珠玉」って
部分を除けば、確かに主人公は小汚く、アオ臭い話だった!(笑)

原題は『MUTT BOY』で、「蒼い空」は単なるイメージ?
……それより何より彼が劇中ズーッと壊れたクビ振り人形みたい
にフニャフニャ喋っているのが、気になって、気になって……
まるで、昔の田原俊彦と『太陽にほえろ!』のボン刑事を足して
2で割った感じ。チョン・ウソンの映画を見るのは、実はこれが
最初だったので、それが演技だとは思いつつも、いい年齢こいて
父親と二人暮らしで目的もなくフラフラしてるボンボンが偉そう
に首を横振り運動させながら喋る姿は、どうしても好きになれず
……とってもバカに見えた……純真にも見えたけど。それはいい
としても問題は、そんな馬鹿キャラに最後まで成長が見られない
こと。少年時代から因縁のあった地元のワルに1対1で殴り勝ち、
メデタシ、メデタシという、何ともマッチョな結論なのだ……!
これにて大人として父親に認められた、とでも言わんばかり。

ただ、この父親がとってもいいんだな。優秀なジモティ刑事で、
常にバカ息子を愛情深く見守っている。そんな父親の愛情が、
やっとラストでバカ息子に伝わる、というのが話の唯一の救い。
まあ、ちょっとは成長があったってことか(笑)……総合評価★★


対する『アメノナカノ青空』は、2003年に韓国で話題となり、
一部のファンが待ちに待って「お蔵入り」寸前から復活公開を
果たした感動作。原題は「…ing」で、こちらも「青空」とは
何ら関係ない。どちらも日本人的なイメージってことだろうか。

ポスト「微笑みの貴公子」的な爽やかさが魅力の韓流スター、
キム・レウォンが昨年末に来日した時は、さすがに3年前の映画
撮影時より精悍になっていたが、爽やかなスマイルはおんなじ。
彼が学生カメラマンに扮し、内気で病弱な主人公ミナ(『箪笥』
でブレイクしたイム・スジョン)をナンパする出会いのシーンは
爽やかなテンポながら「わざとらしく」もあり、「どうなの?」
って思ってたら、わざと「わざとらしく」していたことが後半、
わかってくる。それは、ミナの母親が自分自身と、いつ死ぬかも
知れない娘のために、最初で最後の恋の楽しい思い出とその写真
を撮っておこうと、学生カメラマンを雇っていたからだったのだ!
しかし、そんな内情まで知らされてなかったキム・レウォンは、
本気でミナのことが好きになってしまい……もう、その後の展開には
観念して号泣するしかない(笑)。

基本的には、シャーリーズ・セロンが自分の短い残りの人生を
思い出のあるものに、と行動する『スウィート・ノベンバー』
(これもエンヤの主題歌「オンリータイム」と相まってゲロ泣き
の映画でした……総合評価★★★★)と同じ清々しい感動が残る
ハートウォーミングなドラマなのだが、この映画は母親の気持ち
(ここでもなぜか『トンケの蒼い空』と同じく親子二人暮らし)
が物語を動かしている、という二重構造によって難病もののラブ
ストーリーにありがちだったアオ臭さが完全に消し飛んでいる!
見事な脚本、演出だ。この監督は『子猫をお願い』の女性脚本家
イ・オニで、これが監督デビュー作。しかも、撮影当時まだ28歳
だったというから、なんともコシャクで老練な監督だ。拍手!!
……総合評価★★★★

というわけで、「似てる題名新作対決1」の勝負は、
もう言うまでもないね(笑)。



ワーナー・ホーム・ビデオ
スウィート・ノベンバー 特別版
AD
ザ・コーポレーション堀江社長絶命 (某夕刊紙一面の大見出し)
……ビックリしたなあ、もう!
知らない人が見たらホリエモンが死んだのかと思っちゃうよね?
(ホリエモンは年下なので、あえて、そう呼ばさせていただく)

ホリエモン逮捕のニュースは、他の重要なニュースをすべて
ブッ飛ばしてしまった。これには別の意味があるかもしれない。
それは後述するとして、個人的には誰かが逮捕されたニュースを見て、
こんなに「かわいそうだ」と思ったことはない。

物事には常に「表と裏」の二面性がある。
見方によって二種類の考え方が常にできる、ということだ。

表面的には、ホリエモン逮捕は最近流行の株買収により会社を大きく
していく手法に警鐘を鳴らしている、というホリエモンを完全に犯罪
者として扱うマスコミの論調。特に、ホリエモンがプロ野球球団買収
に名乗りを挙げて以来、彼のことを目の敵にしている某新聞社系列の
テレビ局などは「それ見たことか」と、嬉々としてホリエモン非難の
報道を繰り返し、誠に見苦しい。特に「これが報道でござい」って顔
して、端っからホリエモンを問題児扱いするような質問ばかりしてた
オバサン・キャスターと、得意気なヒゲづらの怪しい記者の二人は、
某独裁オーナーの傀儡だったのか、と疑ってしまいたくなるほどだ。

一方、その裏には多くの人が抱く「出る杭は打たれる」の格言通り、
企業買収を繰り返す会社拡大手法に対する「見せしめ」ではないか、
という感覚的感情論もある。それが事実かどうかは別として、意外と
そうした国民の直感は、遠からず的を射ていることが多い。

実際、政財官の思惑が一致した人たちによる好ましくない力が強力に
作用していたであろうことは、容易に想像できる。ここからは私見。

このスピード逮捕劇は、誰の誰に対する「見せしめ」だったのか、
またはこのニュースによって誰が一番得をするのか、それを考えれば
大筋のシナリオは読めてくる。普通に考えると、財界の一部の経営者
たちによる、企業買収を繰り返す新興経営者やフィクサー的ファンド
運営者たちへの警告と見せしめ、ということになるが、それだけでは
メリットが少ない。しかし、そこにホリエモン擁立の小泉責任を問う
声が加わってくると、胡散臭くなってくる。抵抗勢力と呼ばれた小泉
憎しのジイサマたちの顔が思い浮かんでくるからだ。しかも、彼らが
最も癒着していた国土交通省と金づるだった土建屋たちが、今まさに
マンション建築偽装問題で追い詰められようとしていた。そうなると
いつ、彼らの口から責任所在の火の粉が自分のところまで飛んでくる
かもしれない、という瀬戸際でヒヤヒヤしていた政治家や官僚もいた
だろう。つまり、ホリエモン逮捕を今、仕掛けることで最も得をした
のは、国民や野党の目がそちらに向かわせることで、マンション偽装
問題追及のムードに水を差してウヤムヤにしたい政官の大物、と見る
こともできる。そんなカラクリさえ、ホリエモン逮捕の影に見える。

マンション偽装問題の根は、拝金主義の経済性論理に他ならない。
そんな企業の経済性論理が世の中(特に米国)を支配していることに
疑問を呈し、数々の実例を挙げて糾弾しているのが、現在公開中の
カナダ製長編ドキュメンタリー映画『ザ・コーポレーション』だ。
経営学の神様、ピーター・ドラッカー氏をはじめ、『華氏911』の
マイケル・ムーア監督他、多くの著名批評家たちも出演していること
で話題となり、アメリカでも単館系でロングランのヒットを記録した
『ザ・コーポレーション』は、問題意識のない人には2時間を超える
上映時間が辛いかもしれないが、興味深い事実を次々提示している。

例えば、カナダや欧州各国では、米国産の牛乳の輸入を一切禁止して
いるらしい。米国の畜産業者たちが生産性(経済性)を上げるため、
牛に成長促進剤を投与し、その結果、有害物質が米国産牛乳から検出
されたからだという。日本も米国の経済性論理の前に屈して牛肉輸入
を再開した直後、経済性とは対極にある問題で再び輸入を禁止した。
いまだ米国政府は、業者の経済性を優先させる態度を翻していない。

ホリエモン逮捕の影響でフッ飛んでしまった重大なニュースの数々を
この映画を見て、もう一度思い返してほしい(……総合評価★★★)

先日、米国では拉致被害者の横田めぐみさんのドキュメンタリー映画
が上映され、「初めて知った」という人から大反響があったらしい。
しかし、なんで日本人がこれを作らなかったのか、大いに不満だが、
こうした硬派のドキュメンタリー映画が一般的に注目されるキッカケ
つくったマイケル・ムーア監督にも、とりあえず拍手を贈りたい。
なぜ、世界中で米国だけ銃による殺傷事件数がケタ違いに多いのか、
それを突撃アポなし取材で全米ライフル協会元会長のチャールトン・
ヘストンまで引っ張り出して問題提起した『ボーリング・フォー・コ
ロンバイン』(2003年)の功績は、映画の枠を超え社会的意義にまで
及ぶものだ。ドキュメンタリーを一般大衆レベルの話題にまで広げた
という意味でも、まさに価値ある名作だった(……総合評価★★★★)



ジェネオン エンタテインメント
ボウリング・フォー・コロンバイン



ジェネオン エンタテインメント
ボウリング・フォー・コロンバイン マイケル・ムーア アポなしBOX



ジェネオン エンタテインメント
華氏 911 コレクターズ・エディション



ジェネオン エンタテインメント
マイケル・ムーア ツインパック 「華氏 911」×「ボーリング・フォー・コロバイン」 (初回限定生産)
東京ゾンビポスター東京のど真ん中、処分に困った粗大ゴミや死体、産業廃棄物で
できたゴミの山が黒く高くそびえ立っている。「黒富士」
と呼ばれる、現代の日本の「終末的無倫理感」の象徴だ。

その発想と映像だけで、半端でチープなB級ホラーじゃない
とわかる『東京ゾンビ』(2005年12月13日より全国順次公開
なので、まだギリギリ公開中の劇場も少なくないだろう)は、
とんでもないブラックコメディだけど、ある意味では日本初の
正統派ゾンビ映画とも言える、快(怪?)作。

実際、この映画に出てくるゾンビは、1、動きが極端に遅く、
2、生きてる人より遥かに大人数で、3、生きた人のみ襲い、
4、ゾンビに嚙まれた人はゾンビになって増殖し続ける、

などの点において、本家ジョージ・A・ロメロ監督が創造した
ゾンビ(生きる屍)そのものの終末的世界感と暗黙のルール、
そして、全く同様のメイクと動きがきちんと踏襲されている。



ハピネット・ピクチャーズ
ゾンビ ― ドーン・オブ・ザ・デッド



ハピネット・ピクチャーズ
ドーン・オブ・ザ・デッド~ゾンビ:ディレクターズ・カット・エディション~

これを単なるパロディ映画として片づけたくないのは、
本家ゾンビ映画と同様のテーマ性と世界観、そして、
本家以上とも思える訴求力と面白さがあるからだ。

とはいえ、この手の映画を2005年公開日本映画ベスト5の4位(!)
に入れてしまうことになろうとは、夢にも思わなかった……。他に
これより面白いと思える映画が少なかったってことなんだけど、
見た映画の半数以上が及第点にも達しないというレベルの日本映画
において、これぐらい面白ければ及第点を付けられると断言できる
「なかなかよくできた娯楽映画」だと思う(……総合評価★★★、
本当はもっと評価してあげてもいいかもしれない……)

その日も仕事時間中、柔術の練習に励んでいた主人公の二人
(浅野忠信、哀川翔)が、勢いで殺してしまった上司の死体を
「仕方ねえなあ」と何の迷いもなく、「黒富士」に捨てに来る
と、同じような輩が結構、いるわ、いるわ、そこら中で殺人
(なかには姑を生き埋めに来た若妻も……)やら死体処理が
普通に行われている、倫理観もへったくれもない世界観。

決して、良い子の皆さんに見せてはいけません!
精神年齢が子供の大人にも見せてはいけません!

案の定、「黒富士」からは何の脈絡もなく死体が蘇り、
生きてる人間を次々に襲っていく。というより、ほとんど
主人公たち以外は、すでにゾンビ化している、という状況。

ついに柔術の師匠、ハゲ頭の哀川翔もオバさんゾンビに嚙まれ、
自ら河に飛び込む。カナヅチの相棒、浅野忠信は救いにいけない
……というトボけた二人の初共演が、また実にいいコンビなのだ。

「本当に強くなりたいならロシアに行って武者修行を積むんだ」
という哀川翔に、「どうせ行くならアメリカがいいんだけど…」
と、ボケる浅野忠信。「バカ!」と、一喝する哀川翔。
「本当に強い奴はロシアにゴロゴロいるんだ!」…… みたいな、
冗談とも真実とも取れない会話が延々続く、そのセンス。

この脚本を書いたのは、これが監督デビュー作となる佐藤佐吉
という人。なんと、大好きなテレビ番組『オー!マイキー』
(テレビ東京系、会話のみで動かないマネキン人形しか出てこない
ホームドラマの傑作!……よくわからない、ですか?)の脚本家
だった!……それで、納得。道理で「病み付き」になるわけだ。
しかも、『キル・ビル』やら『ローレライ』やら、相当の映画に
出演もしている(!)という、変わった経歴の人らしい。

この人を日本インターネット映画大賞の監督賞と新人賞に入れようか
と迷ったぐらい。結果的には両方とも『隣人13号』の井上靖雄監督に
入れてしまったんだけど(ゴメンなさい!)、もう忘れませんよ、
この名前。要注目の監督さんになるでしょう!

ふーっ、やっと紹介できました、この映画……(笑)。
まだ年末から1月にかけて公開された映画で、見たのに紹介してない
作品が何本かあるんですよねえ。また書く時間がなくてオクラ入り
なんてことになると申し訳ないので、今月中に書きたいと思っている
作品一覧として事前に「総合評価」だけ、忘れないうちに書き留めて
おきます……このうち、何本書けることやら……(笑)。

『ザ・コーポレーション』★★★(カナダのドキュメンタリー大作)
『非日常的な彼女』★★★(ベタベタ韓流感動コメディ)
『アメノナカノ青空』★★★★(韓流爽やか系感動ドラマ)
『あぶない奴ら』★★★★(ベタベタ韓流アクションコメディ)
『七人のマッハ!!!!!!!』★(タイ式アクション)
『バトル7』★★★(同上……以上、12月公開)
『るにん』★★★(松坂慶子主演の時代もの)
『ガッツ伝説 愛しのピット・ブル』★(コメディ?)
『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』★★★(シカゴの現代劇)
『プライドと偏見』★★★(英国式文芸メロドラマ)
『ギミー・ヘブン』★★(江口洋介、松田龍平主演の現代劇)
『スパイモンキー』(眠っちゃったので、よくわからない)
『スパングリッシュ』★★★★(カリフォルニアの現代劇)
『ブラックキス』★★★(予測不能のサイコサスペンス)
『ミラーマン』★★(TVヒーローもののリメイク)
『フライトプラン』★★★(サスペンスアクション)
『白バラの祈り』★★★(ドイツの感動実話……以上、1月中公開)

ひえ~っ、これじゃ一日一本ずつ書いてっても無理!
どっから手をつけましょうか……?
ご希望があれば、是非コメントください!

東京ゾンビ


前回の日本インターネット映画大賞「外国映画編」に続いて、
今回は2005年に上映された日本映画の「お気に入りベスト5」
です(以下、投票内容)。

------ここから----------------------------------------------

『日本インターネット映画大賞 投票フォーマット 』

 投票部門 どちらかお選び下さい (日本映画)

 [作品賞投票ルール]
 ・選出作品は5本以上10本まで
 ・持ち点合計は30点
 ・1作品に投票できる最大は10点まで

【作品賞】(5本以上10本まで)
  「隣人13号       」  10 点
  「自由戀愛       」  9 点
  「あした元気にな~れ! 」  8 点
  「東京ゾンビ      」  2 点
  「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」  1 点

【コメント】
外国映画をベスト5としたので、日本映画も5本で投票しています。
とはいえ、外国映画と比べ、見ている本数が半分以下なので、まあ、
ちょうどいいというか、肝心な映画を見ていないかもしれませんが、
何卒ご了承のほど…。
-----------------------------------------------------------------

【監督賞】              作品名
   [井上靖雄       ] (「隣人13号    」)
【コメント】
コミックの映画化は数々ありましたが、実写へ移行する際の
映像センスとまとめ方は、これが断トツだったと思います。

【主演男優賞】
   [哀川 翔       ] (「東京ゾンビ   」)
【コメント】
あのハゲ頭、サマになってたねえ……大ボケかましの思い込み
ゾンビ演技には、すっかりダマされました(笑)。

【主演女優賞】
   [木村佳乃       ] (「自由戀愛    」)
【コメント】
原作とは逆の結末になる設定で、新たなキャラクターづくりが
必要だったはず。にも関わらず、原作通りの逆の設定など考え
られないほど、このキャラクターにハマっていた!

【助演男優賞】
   [豊川悦司       ] (「自由戀愛    」)
【コメント】
助演とは言えないかな?……けれど、母親を思う気持ちなどの
抑えた表現は、脇に回って生きた。特にこの人の煙草の吸い方
のキレイさには感動!……大正文化人の香りが漂ってきます。


【助演女優賞】
   [吉村由美       ] (「隣人13号    」)
【コメント】
まんま、と言えば、まんまかもしれないけど、違和感がない、
という意味では完璧でしょ?……感情の抑揚さえ、違和感なく
見られた。実はこの人、とてもうまいんじゃないかな。

【新人賞】
   [井上靖雄       ] (「隣人13号    」)
【コメント】
劇場公開映画の初監督作と侮れない、見事な語り口でした。



ハピネット・ピクチャーズ
自由戀愛



アニプレックス
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版)

poler express

以下、日本インターネット映画大賞からのご要望で投票したもの
です。こうしたベスト10投票などは、昨年末に公開された映画を
入れないで投票するのが普通とは思いますが、一応、同サイトの
対象映画リストに入っている中から選択することにしました。

『日本インターネット映画大賞 投票フォーマット 』

 投票部門 どちらかお選び下さい (外国映画)

 [作品賞投票ルール]
 ・選出作品は5本以上10本まで
 ・持ち点合計は30点
 ・1作品に投票できる最大は10点まで

【作品賞】(5本以上10本まで)
  「ミリオンダラー・ベイビー」 10  点
  「ポーラー・エクスプレス」  9  点
  「ターミナル      」  8  点
  「シンデレラマン    」  2  点
  「フェーンチャン 僕の恋人」 1  点
  
【コメント】ベスト10にするとキリがなくなりそうなので5本にしました。
昨年末に公開されたものも2本含まれていますが、2004年度の
結果を見ると、まだ皆さん見てなかったのか、それらは数点入ってる
だけなので、今年に入れてくる人もいるだろうと敢えて加えました。
ただし、リバイバル上映作品は個人的に選考対象から除いています。
-----------------------------------------------------------------

【監督賞】              作品名
   [クリント・イーストウッド] (「ミリオンダラー・ベイビー」)
【コメント】
ファンとしては嬉しい限り。彼の監督作の中でも最も胸に突き刺さる
映画でした。本当は主演男優賞で入れたかったんですが、今回は
あまりにすごい強敵がいるので、こちらに入れるしかありませんでした(笑)。

【主演男優賞】
   [ジェイミー・フォックス] (「レイ」)
【コメント】
これは、どの年にノミネートされてもアカデミー賞を獲得するでしょ
うね。「真実を」という生前のレイ・チャールズの魂が乗り移ったか
のような演技を映像に焼き付けてくれました。驚嘆に値します。

【主演女優賞】
   [チャン・ツィイー] (「SAYURI」)
【コメント】
完璧に日本人の物腰でした。期待に充分応えてくれた、という意味で
の努力賞です。日本の女優さんへの奮起と期待も込めて。

【助演男優賞】
   [モーガン・フリーマン] (「ダニー・ザ・ドッグ」)
【コメント】
「バットマン・ビギンズ」でも、当然「ミリオンダラー・ベイビー」でも
良かったんだけど、主役を完全に食っていた「ダニー」で一票。

【助演女優賞】
   [フォーカス・ジラクン] (「フェーンチャン ぼくの恋人」)
【コメント】
かわいかった(笑)。演技とは関係ないかもしれないんだけど、彼女
を見ているだけで涙が溢れてきた。女優にとって、それ以上の賛辞
って、あるでしょうか?(その後、本人にお会いしちゃいましたヨ!)

【新人賞】
   [ウィッタヤー・トーンユーン] (「フェーンチャン ぼくの恋人」)
【コメント】
脚本に協力した仲間6人で分担し監督したという「フェーンチャン」
の新人監督を代表して、そもそもの原作をインターネットに書き込み
した彼に…。


cars
ディズニーの最新作『チキン・リトル』をはじめとした
フルCG長編アニメ映画の歴史は、そんなに古くない。

ディズニーとピクサーの共作『トイ・ストーリー』(1995年)が
おそらく世界初のフルCG長編映画だから、まだ10年そこそこ。
しかし、これが最初から興行的に大成功を収めたことで、わずか
10年の間に全米歴代映画興収トップ100(2005年末現在)のうち、
なんと10本もフルCGアニメが占めるまでに至っている!

それに比べて、従来の2Dアニメで歴代トップ100に入っている
のは、『ライオン・キング』『アラジン』『白雪姫』の3本だけ。
いずれも10年以上前のディズニー作品だ(『白雪姫』に至っては、
なんと70年近く前の貨幣価値での実績だから、現在の物価で価値
換算すると、おそらく『風と共に去りぬ』と歴代1位、2位を争う
ことになるはず。観客動員数なら間違いなく歴代1位だろう!)



ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
白雪姫 デラックス版

つまり、ここ10年で普通のアニメはフルCG作品にトリプルスコア
の大差をつけられ、その差は開く一方!……心境としては複雑だが、
観客の求めるものがそちらにシフトしてるんだから仕方がない。

以下が「フルCG長編アニメ映画」の歴代全米興収トップ10だ。

順位(実写を含む総合順位)『題名』(公開年/興収:百万ドル)

1(3位) 『シュレック2』     (2004年/441M$)
2(13位)※『ファインディング・ニモ』(2003年/339M$)
3(28位) 『シュレック』      (2001年/267M$)
4(30位)※『Mr.インクレディブル』(2004年/261M$)
5(33位)※『モンスターズ・インク』 (2001年/255M$)
6(38位)※『トイ・ストーリー2』  (1999年/245M$)
7(70位) 『マダガスカル』     (2005年/193M$)
8(71位)※『トイ・ストーリー』   (1995年/191M$)
9(94位) 『アイス・エイジ』    (2002年/176M$)
10(100 位)『ポーラー・エクスプレス』(2004年/173M$)

次点(116 位)※『バグズ・ライフ』(1998年/162M$)

※印は、ディズニー映画。次点を含めれば、一応、半数以上を
かろうじて占めているが、すべてピクサーとの共同作品だ。

ディズニー単独のフルCG作品『チキン・リトル』『ダイナソー』
の2本は、どちらも1億ドルは超えているものの、13位以下……
対するライバル会社=ドリームワークスは、ベスト10内に3本。
しかも1位、3位、7位(これだけ未見)と軒並み上位。情勢判断
は微妙だ……(12位はドリームワークスの『シャーク・テイル』)

こうしたスーパーヒット作は、どれも「キャラクターがいいから」
なんてことは言うまでもない。が、何と言ってもその流れを作った
『トイ・ストーリー』の功績は、計り知れないぐらい大きい。
キャラクター設定、ストーリー、テーマ性、etc.……
どれを取っても優れている。それぞれの作品が描いているのは、
『トイ・ストーリー』『トイ・ストーリー2』がオモチャの世界、
『バグズ・ライフ』『アンツ』が虫の世界、
『モンスターズ・インク』が夜のモンスターの世界、
『ファインディング・ニモ』『シャーク・テイル』が魚の世界、
『シュレック』『シュレック2』が童話の世界、
(『Mr.インクレディブル』だけ、ちょっと違う……)だが、
その内容に目を向けて見ると、やはり『トイ・ストーリー』の話が
最もエグい。主人公のオモチャ(ウッディ)が持ち主の最愛の座を
新品のオモチャ(バズ・ライトイヤー)に奪われ、妬み、嫉妬し、
最愛の座を奪い返すためにライバルを陥れようとする!という、
ディズニーの主人公にあるまじきブラックさ(まるで悪役!)。
ただし、他のオモチャからの非難轟々で反省し、改心したことを
ライバルを救うという行動によって示す……素晴らしい物語だよネ
……総合評価★★★★!



ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
トイ・ストーリー スペシャル・エディション
さらに、『トイ・ストーリー2』も安易な続編ではない。
続編のテーマは「オモチャにとって最高の幸せとは?」……
古くなったオモチャが、自分にプレミアム価値があると知って
有頂天になる。そして、大切にケースに保存され飾られることが、
オモチャにとって究極の幸せなのかどうか、っていう話だ。
特に主人公ウッディとペアのカウガール(ジェシー)が大好きな
持ち主の少女に忘れられ、ベッドの下で何年も待った挙げ句、
やっと取り出してもらえた(また一緒に遊んでもらえる)と大喜び
したら、まとめて粗大ゴミとして捨てられてしまうシーンと音楽は
涙なしには座ってられない。子供と一緒に見ている時はトイレへ!
……総合評価★★★★!(こっちの方が、前作より好きかも……)



ブエナ・ビスタ・ホームエンターテイメント
トイ・ストーリー2

それに比べれば、『モンスターズ・インク』は大した話じゃない。
この映画は日本で褒められすぎ。仕掛けられた口コミに乗せられた
としか思えないような絶賛の嵐で、幼児のプーに最後は泣かされる
が、子供が出てくる話では、そんなの当たり前。よくあることだ。
劇場では眠たくなったので、ビデオでもう一回見たけど、やっぱり
上記トップ10内のディズニー×ピクサー作品5本の中では一番退屈
で格下ランクの平均的作品。断言します!……(総合評価★★★)



ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
モンスターズ・インク ― スペシャル・エディション

ディズニー最大のヒット作『ファインディング・ニモ』は、確かに
金字塔といえる出来。最高水準の技術と話術の結晶で、ディズニー
に初のアカデミー「アニメ部門」作品賞をもたらした名作だね……
(総合評価★★★★……参考記事は以前書いたのでコチラへ

2年連続でアカデミー賞受賞となった『Mr.インクレディブル』
は、こんなマッチョなヒーローものの絵が日本でウケるのかなあ、
と最初は思ったけど、やっぱり見てみると面白い。DVDも昨年の
日本での売上が『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に次ぐ
大ヒットで、日本人の趣味も変わってきたなあ、と……
(総合評価★★★★……でもねえ、これがオスカー受賞作?)



ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
Mr.インクレディブル

ディズニーとピクサーの最新作『カーズ』が、今年公開される。
これは車の世界の話。ズタボロの中古車とスポーツカーが会話する
なんていうキャラクター設定は『トイ・ストーリー』的な路線に
戻っていそうな感じで、大いに期待そうだね!
チキンリトル3D
さようなら、酉年。ハロー、戌年……

どうにも相性の悪い映画というものが、たまにある。
メガネをかけた可愛らしいニワトリの子供(ひよこ)が主人公の
フルCGアニメ『チキン・リトル』がまさに、そうだった。

「ディズニー映画史上最もツイてないキャラクター」という
触れ込みで、ディズニー・アニメの王道をいく設定とキャラクター
の『チキン・リトル』は、日本でも昨年末(23日)に公開されて
以来、『キング・コング』を上回る大ヒットを記録し、現在も
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』に次ぐ観客動員を維持
している。けど、どこまで続くかな……っていうのが正直な感想。

実際、全米でも『ライオン・キング』に次ぐディズニー・アニメ史上
2位となるオープニング興行成績を11月に記録、1億3000万ドル超の
大ヒットとなってはいるものの、年末を前にほとんど伸びがなくなり、
近年のディズニー×ピクサーによるフルCGアニメ大ヒット作5本
と比べると、間違いなく下回る数字になることが確実だ。

これが、実は自分にとっても踏んだり蹴ったりの相性の悪い映画で、
まずは英語版の試写会で見て、眠ってしまった…(笑)ってこと。

疲れている時に映画を見ると、そういうことが起こりがちなんだけど、
前から4列目ぐらいで見た『エピソート3』は徹夜明けの早朝試写
だったにも関わらず、一睡もしなかった(できなかった?)し、
いくら眠くても映画によっては眠気などフッ飛んでしまうことを
考えれば、イマイチな映画だったんだろうな、と思うしかない。

実は『アイランド』も不眠不休で無理して夜、時間をつくって見に
行ったのに、真ん中がドカーン!と抜けてて(前半で眠ってしまい、
起きたらエンドクレジット寸前というパターンがなぜか多い…笑)、
そのせいで作品紹介など、まったくできなくなってしまった。
時間もお金も無駄だよねえ……とは思いつつ、しかし!
一家でディズニーフリークの私(間もなくディズニー・シーにできる
最新アトラクション「タワー・オブ・テラー」も7年前にフロリダで
乗っています=自慢)の状況としては、家族との時間を潰して一人で
見て、「寝ちゃったから、わからん」なんて話が許されるはずもなく
(ホントは浮気してて見てないんでしょ、なんて思われても困る)、
再度、満を持して『チキン・リトル』鑑賞に挑んだ、というわけ。
挑むほどの映画じゃないのは、わかってるんだけどねえ…(笑)

多分、前回は主人公の英語の声が、意地悪な大人っぽいのが嫌で、
英語で連発されるギャグがスーッと入って来ずに乗り遅れたことも
眠ってしまった原因だろうという反省のもと、今度は日本語吹替版。
しかも唯一、3D(立体)上映しているイクスピアリのシネコンで
雰囲気も盛り上げ、前夜はきちんと睡眠もとった。オープニングの
映画的ギャグも今回は日本語でスーッと入って来て、んー、完璧!
と途中までは思っていたのだが……あり得ない、と思わせてしまう
野球のシーンぐらいからかな、だんだん、また嫌な兆候が……。

結論から言うと、また眠ってしまったのだ!(以下、言い訳です=笑)

たまに思うのだが、どうもディズニー(特にピクサー)のCGアニメ映画は
明るいシーンの色調が落ち着いていて暗い。これは2Dの、いわゆる
普通のディズニーアニメの多くがビビッドな色調であるのに比べて、
明らかに目に優しく、そして眠くなる。『ファインディング・ニモ』など
では、ほとんど感じなかったけど、『モンスターズ・インク』の時は
その暗いトーンが気になって気になって、途中からは眠気との戦いに
なってしまった。今回は、それに立体映画のメガネも加わり、余計に
暗く感じられ、逆に立体映画のメリットや驚きはほとんど感じられず、
またしてもヤマ場を見逃してしまった、というのが話の全容……笑。

そんな状況で評価を下してしまうのは、製作した方々に大変失礼!
とは思うものの、2度までも寝かせていただいたことには、それ相応
の出来という要因もあるはずで、総合評価は★★!……残念ッ!

何が面白くなかったのかは、今回はコメントを差し控えます……
(そんなこと言える立場ではないので、当然?…笑)。それでも、
ホントに醜いアヒルの子のアビー(ジョーン・キューザックが
『トイ・ストーリー2』のジェシー役に続いて声を担当)や、
いつも水槽状態のヘルメットを被り「ゴボゴボ」としか喋れない
フィッシュなど、相変わらず脇を固める新しいキャラクターたちは
素晴らしく個性的で面白い。子供には楽しめる映画だろうとは思う
(ウチの娘は見もせずに嫌いだ!と決めつけているけど……)が、
最近のディズニー・アニメ映画の中では、これが最も低い評価点。
他の作品がみんな及第点以上の面白さだから仕方ない。もちろん、
実写のディズニー映画では、もっとヒドいのもあるから、
たまにはそういうのがあってもいいんじゃない?

underworld新年早々、怖い顔のオジサンの写真でゴメンナサイ。
コレ、『アンダーワールド』(2003年)で吸血鬼族最強の長老
ビクターを演じたビル・ナイ(=ここ最近、個人的に超お気に入りの俳優)さん
……年末の締めくくりに彼の記事を書くつもりが、
日本インターネット映画大賞からのご要望で、
2005年の上映作品ベスト10を考えているうちにハマってしまい……
まずは2005年に劇場と試写会で見た映画のリストアップから始めて
外国映画+日本映画の新作で110 本ほど見ていることが判明した
(うち2004年末公開のものも含まれているので実質100 本ちょい)
が、そこから先が進まず、記事を更新できなくなってしまった……
というわけ(言い訳=笑)で、やっとビル・ナイのお話!

年末に書いた『銀河ヒッチハイク・ガイド』では、
地球設計エンジニアとして登場した英国のオッサン!
決して主役というわけではない、って言うか、
彼の主役の映画をまだ見たことがないんだよねェ……
なんだけど、存在感で主役を食って早5年。

というのも、ビル・ナイとの出会いとなった
『スティル・クレイジー』は1998年のイギリス映画なんだけど、
日本公開が2000年の3月だったから。
当時は『フル・モンティ』のロック版という触れ込みだったけど、
冗談じゃない、こっちの方が遙かに面白い(個人的にツボ!……
というわけで、総合評価★★★★!)



ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
スティル・クレイジー
借金返済に困った奴、過去の栄光を取り戻したい奴、いろんな理由
から中年オヤジが70年代にバカ騒ぎしたロックバンド仲間を集めて
復活させるという話で、監督は『ティナ』のブライアン・ギブソン、
主役は『クライング・ゲーム』でも主演だったスティーヴン・レイ
(キーボード奏者役)なんだけど、なんといっても最高に笑えるのは
ビル・ナイさん(…タイトルの序列では4番目ぐらいだったけど)、
間違いなく一番目立っていました!
バンドの復活に否定的だったメンバーの中で、唯一(だったかな?)
それを密かに待ち望み、スター気取りの生活を続けている老いた
ボーカリスト役で、既にカリスマ性など微塵もないのに一人だけ
キラびやかな70年代的オールドファッションに身を包み、
成長してない。ところが、いざバンドが練習に入ると、
楽器を持たない彼は一人、カヤの外。ステージに立てば、
老いたことをすっかり忘れて突然声を張り上げ、暴発!
当時のアクションそのままに暴れてヘマばかり……
という失笑を誘う中心的キャラクターだった。

そんなボーカリストの孤独とナルシストぶりがホントよく出ていて
良かったねえ、ビル・ナイ!
最後は笑えて感動もできる……というわけで、
強烈な印象を残した彼が再びボケまくりのロックスターとして
登場した『ラブ・アクチュアリー』(2003年)は、
それだけで拍手喝采ものだったね! 

しかも、この映画では『フォー・ウェディング』(1994年、同作の
製作者が『ラブ・アクチュアリー』の監督)の主題歌としてカバー
された“WET WET WET”の大ヒット曲『愛にすべてを』
をクリスマスの替え歌にしてリバイバルヒットさせようと企てるが、
歌詞を間違えてばかりでレコーディングが進まず、周囲をヤキモキ
させるビル・ナイさん。この映画のアンサンブルキャストの中では、
英国首相役のヒュー・グラントと小説家役のコリン・ファースの
『ブリジット・ジョーンズの日記』コンビや、クワイ=ガン・ジン
(リーアム・ニーソン)の父親役に注目が集まっていたようだった
が、実は最後に場をカッさらったのはビル・ナイさんなのでした!

なぜって、この映画では男女のさまざまな愛の形がクリスマスに
成就するというパターンで進行していくのに、ビル・ナイだけは
クリスマスの夜、大ヒットした曲を祝ってくれる相手もなく、
いつものように自宅で中年男のマネージャーと二人きり。
そして、二人で寂しく祝杯をあげるんだよねえ……
バックに流れるのは自分のヒット曲。それを聞きながら
主人公たち、みんなが空港でハッピーエンドになる。
心に染みる名場面だったのは、彼のオカゲなのだ!

スネイプ教授(アラン・リックマン)の珍しく善良な役柄や、
それに絡むMr.ビーン(ローワン・アトキンソン)の登場等、
イギリス映画的なお楽しみも満載だったけど、それ以外にも
独身OL=ローラ・リニーの自宅シークエンス、
キーラ・ナイトレイのアップ、といった名シーンの数々、
そして、こんなにもハッピーになれるエンディングはない!
と断言したいラストで流れるビートルズのカバー「愛こそすべて」
(この曲がこんなにもマッチする映画はない!ほど素晴らしい……
♪ラーヴ、ラーヴ、ラーヴ……なぜか、カバーされてもテンポが
いつもズレて聞こえるのは私だけ?……というわけで、
ズレたついでに総合評価★★★★★!)

もう一つ、ついでに、セックスシーンの体だけ専門の吹き替え俳優
同志が恋に落ちる話を演じていたマーティン・フリーマンは、
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の主人公でもあるんだよねぇ
……知ってた?(失礼しました!)



ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ラブ・アクチュアリー



サントラ, ガールズ・アラウド, シュガーベイブス, ケリー・クラークソン, ダイド, ビリー・マック, ノラ・ジョーンズ
ラブ・アクチュアリー オリジナル・サウンドトラック

大事なこと、一つ書き忘れてた。
ビル・ナイの次回作は今夏公開予定の大ヒット作の続編、
『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』なのだ!!

っていうことは、もしかしてビル・ナイは、ローリング・ストーンズの
キース・リチャーズがオファーを受けていた役をやるのかも !?
大変なことになってきた!! だってキースの後釜でやれる役者なんて
ビル・ナイ以外考えられないよね!! 絶対、そうに決まってる……
誰か知ってる人がいたら教えてくださ~い!!