スタンドアップ
「子供が仕事をもってきてくれる」……
不思議なんだけど、実際よくある現象なんだよねえ。

子供がいない人には実感が湧かないだろうとは思うけど、
例えば『シンデレラマン』が、そうだったでしょ?

『ハリー・ポッター』の原作者J・K・ローリングスも、
生活保護を受けながら父無し子を連れて暖房のある喫茶店で
書き上げたのが『ハリー・ポッターと賢者の石』だった……
そんな実話が口コミで話題となり、大ベストセラーになった。
さらに、なかなか出版してくれるところが見つからずに、
やっと本になったのは出版社重役の子供が「続きが読みたい!」
と言ったからとか。今やJ・K・ローリングスは大金持ちだ。

多分、子供のために稼ごうと本人が一所懸命になるから、
結果的にそういうジンクスがあるように見えるだけなのかも
しれないけど、自分も何となく同じような体験をしているから、
余計にそう思える。あるんだよね、本当にそういうこと!

きっと神様が子供のために、仕事をもって来てくれるんだ……
自分の中では絶対的に、そう信じて疑わない。
少なくとも自分の子供に感謝したい気持ちでいっぱいになる。

来年1月に日本公開される実話の映画化『スタンドアップ』
(原題:ノース・カントリー)も、そんな母親の話。
暴力夫と別れ、父親が違う二人の子供を抱えて自力で生きていこう
とする母を演じるシャーリズ・セロンが、再び次回アカデミー賞の
有力候補とまで言われているけど、それぐらい評価して当然!
の映画だったよ(総合評価★★★★)

『シンデレラマン』を見て、父親の気持ちに共感するほどの感動は
なかったという女性でも、この映画を見ればわかってくれるだろう。
基本的には同質の感動のパターンだから。泣けるよ、男でも。
一番感動的なシーンは、息子に出生の秘密を話す場面かな?

ただし、こちらの実話の内容はあまりに腹立たしい。
ボブ・ディランの音楽がピッタリのミネソタ州の小さな町。
そこで唯一、稼ぎのいい職場=鉄鋼採掘現場に就職した母親は
伝統的な男の職場で、あらゆるセクハラの嵐に遭う。
それがあまりに露骨過ぎて(日本だったらもっと陰湿だろう)、
アメリカンといえばアメリカンなんだけど、ムカついてくる。
稼ぎのいい職を失いたくない、という理由から誰も味方になって
くれず、同じ職場で働いている父親さえも冷たい。

こんな時、クリント・イーストウッドがいたら絶対、ひとこと
言ってくれるだろうなあ……とか思いつつ、悲しいかな、
実話にイーストウッドみたいな奴は絶対出てこない(笑)。

だからイーストウッドのキャラは永遠に好きなんだよねえ……

そこで一人、彼女は子供のために立ち上がるわけなんだけど、
そんなとき力になってくれるのが、オスカー受賞俳優中心の布陣、
というのが百人力!(……というか、非常にわかりやすい、笑)

フランシス・マクドーマンド、シシー・スペイセク、
ウッディ・ハレルソン、そして、いつもは悪役が多い
ショーン・ビーンまで、知った顔の俳優はたいがい協力的だから、
ひと安心……でも、一番良かったのは、父親役の人かな。
まさに、これこそが父親の感情だよね。良かった。
あんまり、よく知らない俳優さんだったから良かったのかな?
だって、もし彼がイーストウッドだったら、
あらぬ期待をしてしまうでしょ?……あり得ないけどね(笑)。
                 
タイトルからして、ボブ・ディランの「北国の少女
(ノース・カントリー・ガール)」が流れるのかな、
と思ってたけど、出てこなかったなあ。ちと、残念。

それに、なぜか全米では全然ヒットしてない。
話がシビアすぎるのかな?……弁護士のウッディ・ハレルソンが
どう見ても美しい独身妻に一切、手を出そうともしないところも
ハリウッド的な話じゃないからね。実話だからなんだろうけど、
そんなロマンス的な要素をこの女性監督は完璧にブッタ切った!

多分、オスカー候補になれば、また盛り返すだろうから、
今の興行成績はあんまり関係ないのかもしれないけど……。

シャーリズ・セロンに関しては、アカデミー賞候補になったら
(なりそうなので)、その時点でまた新年に書きますね。
『モンスター』に続いて2度目の主演女優賞受賞だって、
決してあり得ない話じゃないと思いますヨ。



松竹
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harry potter実は先週から、ウチの幼い娘が二人とも発熱・嘔吐で
仕事も手につかず、今週に入っても食べたらすぐ吐く、
いずれ吐く、という状態がなかなか良くならない。

にも関わらず、医者は同じクスリしかくれないし、
ちっともそのクスリが効かない。
最悪の場合、髄膜炎かもしれないと思い、
検査を要求したが、簡単な検査で違うとの診断。
こうなると、もう親は無力だ。
ただの心配性の鬼と化す。

しかし、とりあえず一週間吐いてばかりで、
まともに食事も摂ってないはずだから、
と今日は仕事を休んで医者に点滴をお願いしたのに、
たまたま今日は吐かなかったこともあって、
「脱水症状になってないから大丈夫」と軽く済まされ、
ついにこっちの方が病気みたいに体調が悪くなってしまった。

このまま娘が快方に向かえば、特に言うことはないが……。

そんなわけで、とてもブログのことまで頭が回りませんでした。

とはいえ、しっかり話題のシリーズ最新作
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は見てる。

一体どの程度の心配だったのか、と反論を食らいそうだけど
……それはそれ、これはこれ……ということで(笑)。


それにしても、この最新作、全米では11月18日に公開され、
わずか3日間で、1億ドルを突破してしまった。

久々にトンでもなく突出した興行成績で、
今年でいえば『エピソート3』以来のスピード。
『宇宙戦争』でさえ1億ドルを突破したのは2週目だった
ということからも、その凄さが尋常でないとわかるだろう。

ちなみに、『エピソード3』は、8日間で2億ドル突破の最速記録
を塗り替えたが、果たして『ハリー・ポッター』の最新作は、
それを超えるのか??……または、どこまで近づけるのか??

……いずれにしても、とっても楽しみだ。
多分、過去のシリーズの中でも最高のオープニング記録
ではなかろうか。

まあ、とにかく、しょっぱなからスゴイ映像をこれでもか、
これでもか、と見せてくれるからねえ。
そんな映像の派手さで言えば、確かに今回が一番、派手。

詳しくは、また今度。大丈夫、今度はそんなに待たせない。
『シンデレラマン』は詳報まで5カ月かかったからねえ(笑)。

一応、さっきも言った通り、体調が思わしくないので(笑)、
シャワーを浴びて、頭が冴えたら、またすぐに続きを書くかも
しれませんが、では、乞ご期待!!……ということで。

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シンデレラマンレニー

速報で「見ました、良かった…」とお伝えしてから、早5ヵ月。
「詳しくは後日」などと書いておきながら、メチャメチャ詳報が
遅くなってしまった『シンデレラマン』と、8月公開後こちらも
紹介のタイミングを逸してしまっていた『コーチ・カーター』の
「スポーツ系感動実話対決」企画、第1弾!
(第2弾は未定です……汗)

言い訳だけど、どちらの映画も個人的には揺るぎない印象があり、
日にちが経ってもその評価は変わらないという自信があったので、
満を持してのオススメということで、今更なんて言わないで……
どちらも素晴らしい作品です。ビデオで見ても泣けるでしょう。

『シンデレラマン』に関しては、「物足りない」といった評判も
目にしました。確かに1930年代の実在のボクサーの話で、複雑な
現代社会に置き換えて見た場合、あまりに「ストレートすぎる」
感動実話かもしれません。真実はボクシングの試合に勝った後、
飲んだくれたり、女遊びにハマッたり……したのかもしれない。
……けど、そんな余計なことを描いてない、直球の話なんです。

それでも『ロッキー』のような典型的スポ根ドラマとはまったく
異なるアメリカンドリーム実現へのモチベーションが、
この感動実話の根幹を成しているという点において、
『ロッキー』などより遙かに『シンデレラマン』の方が好き!

特に自分の子供を育てたこと(もしくは子育て中)のある人で、
一度でも自分の稼ぎが少なくて生活していけない、育てられない、
またはリストラ(クビ)に遭ったらどうしようという危機感の
感覚的体験がある親にとっては、これがどれほど泣ける話か……
想像してみてください。

「子供に貧乏させたくない未満」の次元にまで追い詰められたら、
子供と一緒に生活し幸せに育てたい、ひもじい思いをさせたくない、
そのためなら、どんなことでもしよう……と、親は必死に思うもの
なんです。たまたま『シンデレラマン』の場合、その仕事がボクサー
だったというだけ。そうした仕事に対する彼のモチベーションこそが
不況の中で庶民のアメリカンドリームという形になって結実した、
そんな話なんですね。だから、ボクサーで稼いだお金で家を買い、
充分に生活できるようになった『シンデレラマン』は、その後、
あっさり引退しちゃう。彼の中ではボクシングなど、不況の中で
子供を幸せに育てるための道具にしか過ぎなかったワケ。

近年のボクサーのモチベーションとは当然、異なるでしょう。
そのことで甘い話に感じられるという人は、幸せ者ですね。
おそらく金持ちで生活の心配などしたことがないような人か、
独身を謳歌している人のどちらかじゃないでしょうか…?

だから、結末はわかっているのに、マジになって応援しちゃった。
こんなに映画の中の試合でマジに応援したことなど一度もない!
っていうぐらい……だから、試合に迫力があるのは当然なんです。
断言します。今年、一番泣ける映画?……間違いありません。
……総合評価★★★★!

満点でないのは、その甘さ、そのストレーストさ……ともに
ロン・ハーワド監督の長所でもあり、短所でもあるのだけれど、
ビデオでもう一度見たら満点に変わるかもしれない……(笑)。



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さて、逆に一筋縄ではいかないのが『コーチ・カーター』です!
現代の高校バスケットボール部コーチの実話なので、状況は複雑、
『シンデレラマン』のようにストレートな話にならないのは当然…。

その状況とは、貧しい黒人が多い同校の卒業生は将来、大半が刑務所
行きか殺されるという現実。そんな状況下、校長先生までもが彼らに
「高校時代ぐらい好きにやらせてスポーツで一花咲かせてあげたい」
と大目に見る指導をしている。生徒も父兄も皆がその方針に甘んじ、
肯定している。こんなでは「いつまでたっても黒人は不幸のままだ」
と、授業にも出ず落第点を取ったらバスケをやらせないという条件で
コーチを引き受ける、かつての花形バスケ選手。そんなガンコ一徹な
信念の人を演じるサミュエル・L・ジャクソンが、まさにハマリ役!

案の定、生徒は契約を破り落第。コーチは優勝争いの試合を棄権し、
生徒が居残り補習で単位が取れるまで体育館を閉鎖する強行手段に。
父兄や先生方からは「たかがコーチのくせに」と非難轟々、それでも
生徒が将来幸せになるために、と信念を貫くコーチ。ついに共鳴した
生徒たちが進んで勉強を始め、ラストでは彼らが将来、どんな仕事に
就いたかまで紹介される。これは、そんな社会ドラマで、間違っても
スポ根ドラマじゃない!(誤解されてる方もいるようなので……)。

実は最初、『セイブ・ザ・ラストダンス』でミュージックビデオを
つなげただけのようなアオっちい駄作(総合評価★★)を作り上げた
トーマス・カーターが監督で、製作も同じMTVだと知って、
とても嫌な予感がした。また音楽PR主体の青春ものか、と。



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ところが、『コーチ・カーター』は音楽よりもドラマに比重を置いた
非常に良質の仕上がりで、全米でのナンバー1ヒットもすぐに納得!
日本でも単館系で予想外のヒットとなったのは嬉しい大誤算でした!
また、高校在学中に妊娠する役で、映画初出演に音楽抜きで専念した
トップアイドル歌手、アシャンティに好感がもてたのも嬉しい大誤算!
最新の音楽あり、スポーツありで、問題提起もあり、と感覚的にも
現代社会をバランスよく捉えた素晴らしい映画。是非、この実話を
ビデオでご覧になっていただきたい……総合評価★★★★!

対決の判定?……もちろん、ジャッジするのはアナタです(笑)。
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ショックホラー映画ベスト50

テーマ:
house of wax
ちいっと『蝋人形の館』の名シーン(殺人鬼から逃げる主人公=
エリシャ・カスバートが映画館の蝋人形でできた観客の中に紛れ
隠れている)の絵が秀逸なので、載せたくなってしまいました。


ま、そのついでと言ってはなんですが、先月、米国TOTAL FILM 誌が
歴代の「ショックホラー映画ベスト50」を発表したので、
興味ある結果をトクとご覧アレ。誰が勝手に決めたのか、
この雑誌がどれほどの権威があるのか、私には知る由もない。
が、今アメリカで評価の高いホラー映画と見られているのが何か
ということの参考にはなるだろう。
個人的には結構、駄作が多く並んでいる(笑)……という印象が強い。

1位からして、『悪魔のいけにえ』とは……ドキュメンタリーっぽい
乾いた映像が昔のアメリカン・ポルノを見ているようなんだよねえ。

最近リメイクされてヒットした『ザ・フォッグ』は入ってなくて、
『ハロウィン』が2位……どっちもどっち、って気がするけど。

『サスペリア』『ゾンビ』の3位と4位も意外(イタリア映画だから)
だったけど、『サスペリア2』の方が圧倒的に怖いってこと、
知ってた?……こっちのほうが最初に作られたんだけど、あまりに
残酷かつショッキングだったので公開が後先になったんだよね……

それに、『エイリアン』ってホラーなの?……とか、
いろいろ文句は絶えない。

下位の方は見てない映画も結構あったので省略したけど、ちなみに
24位に『エルム街の悪夢』、41位に『スクリーム』が入っている。

あなたは、何本見てますか?

1位 THE TEXAS CHAIN SAW MASSACRE 1974



ビデオメーカー
悪魔のいけにえ ドキュメンタリーパック「ファミリー・ポートレイト」&「ショッキング・トゥルース」

2位 HALLOWEEN 1978



ハピネット・ピクチャーズ
ハロウィン オリジナル劇場公開版

3位 SUSPIRIA 1977



ハピネット・ピクチャーズ
サスペリア



ハピネット・ピクチャーズ
サスペリア2 完全版

4位 DAWN OF THE DEAD 1978



ハピネット・ピクチャーズ
ゾンビ ― ドーン・オブ・ザ・デッド

5位 THE SHINING 1980

6位 PSYCHO 1960

7位 THE WICKER MAN 1973

8位 ROSEMARY’S BABY 1968

9位 DON’T LOOK NOW 1973「赤い影」

10位 CANNIBAL HOLOCAUST 1980「食人族」

11位 THE THING 1982「遊星からの物体X」

12位 CARRIE 1976

13位 THE EXORCIST 1973

14位 THE BLAIR WITCH PROJECT 1999

15位 WITCHFINDER GENERAL 1968(未公開作品)

16位 THE HAUNTING 1963「たたり」

17位 THE EVIL DEAD 1981「死霊のはらわた」

18位 PEEPING TOM 1960「血を吸うカメラ」

19位 ALIEN 1979

20位 BRIDE OF FRANKENSTEIN 1935

21位 NIGHT OF THE LIVING DEAD 1968

『蝋人形の館』の紹介記事はコチラから
p.hilton
お待たせしました!

ホラー専門プロダクションのダークキャッスル作品第5弾
『蝋人形の館』が先月末より劇場公開されている。
ダークキャッスルの前作『ゴシカ』は豪華キャストだったが、
今回は若手成長株中心のフレッシュな配役。

これまでのダークキャッスル作品は、こちらを参照。

なかでも先頃、セレブの集まるパーティで「おもらし」して、
「トイレに順番待ちで並んだことなどなかったので……」
というイイワケまでがゴシップネタになっていたご令嬢、
パリス・ヒルトン(=写真)の本格的映画デビュー作
(といっても主役は彼女じゃないけど……)としても話題だ。

もともとダークキャッスル作品は過去のホラー映画に対する
思い入れいっぱいの「ホラーファンタジー」的要素が大きく、
その半分までがリメイク作品。『蝋人形の館』も30年代、
50年代(『肉の蝋人形』)と、過去に2回映画化されている。
そんなホラー作品へのオマージュと風情が
今作でも大きな魅力の一つとなっている。


ワーナー・ホーム・ビデオ
肉の蝋人形 コレクターズ・エディション
だから、怖いかどうかは必ずしも最重要ではないんだけど、
ハッキリ言って、これまでのダークキャッスル作品で
一番怖くない映画だったヨ。

というわけで、以下、完全ネタバレガイドとなるので、ご了承を!

まずは犯人像の過去がフラッシュバックされるオープニング。
そこから、しばらく6人の若者がスポーツ観戦に行くとか
行かないとか、どうでもいいシーンが延々と続く。これが長い。
まるでホラーとしての前触れ的な盛り上がりがない。
「こりゃ、ダメかもしれない」と、不安になってきた。

後半、『蝋人形の館』が登場してからはやっと盛り上がって
溜飲が下がるけど、いかんせん、そこまでが長過ぎるヨ~。

その後、お色気をふりまいて殺される若者の間抜けぶりは
スプラッター系によくあるパターンだけど、それにしても
パリス・ヒルトンと黒人青年の二人は間抜け過ぎ。
事をいたそうと二人だけになってテントでイチャイチャ始めるが、
カットバックされても一向に進展がなく、結局セックスできずに
二人とも殺されてしまう(笑)。顔面貫通死のパリスは特に悲惨。

昔、「ホラーに出るようになったら女優は終わり」なんて言われた
時代もあったそうだけど、こんな役でホントに良かったのかな?
将来が思いやられる。

主人公は、TVシリーズ『24』のエリシャ・カスバートと、
『フォーチュン・クッキー』でリンジー・ローハンと共演した
チャド・マイケル・マーレイの「双子」の兄妹。

これが全然、似てない。

おそらく、犯人のシャムの双生児との対比による対決という
クライマックスへもっていくための設定だったと思うのだが、
似てない二人を無理して双子に仕立てなければならないほど、
そのへんの盛り上がりがちっともドラマに生かされていない。
別に主人公が双子である必要があったのかな?って思えるほど。

まあ、いい。最も期待の観客全員が蝋人形の映画館のシーンが
期待通りだったから。ロバート・アルドリッチ監督の往年の名作
『何がジェーンに起こったか?』の上映付きで楽しめる。
それにしても、蝋人形の館自体が蝋で作られていて、
街の全員が蝋人形なんて、スゴイ街だよね。
これぞ、まさにダークキャッスルのホラーファンタジー世界。

しかも、そのための街全体をセットでこしらえたというんだから、
是非、行ってみたいよね!

最後に続編ができそうな設定で余韻を残した終わり方をするのも
近年のスプラッター系の常道。特に目新しさはないのだけれど、
激しいカット割りで何が映ってるのかわからない的な演出はなく、
きちっと見られるのは最近では珍しくいい。

そんな文句を言いながら楽しむのが、この映画の正しい見方(笑)。

というわけで、全体を通して見れば及第点の総合評価★★★
って、ところでしょう。だって、
東京タワーの蝋人形館、また行ってみたくなったでしょ?

カエラ


奥田民生とのコラボで歌手として人気上昇中の21歳、
木村カエラ主演『カスタムメイド10.30』は、
昨年10月30日に開催された奥田民生のワンマンライブ
「ひとり股@広島市民球場」を記念し、
その模様をクライマックスに据えた企画ものの映画。

騒音問題等から広島市民球場でライブ演奏が行われることは、
これまでなかったらしく、広島出身&広島カープのファン
という奥田民生だからこそ許可された特別のライブを
「ただビデオに収めただけじゃもったいない」
と考えたのか、木村カエラを球場の客席に登場させて撮影、
そこにドラマ部分をくっつけたような映画にデッチ上げた。

そもそも、そんな行き当たりばったりの企画で映画をこしらえよう
という発想(に感じられる)自体、映画の神様をナメている。

しかも、監督はANIKI……って一体、誰だ?
もちろん、阪神タイガースの金本選手じゃないよね?

木村カエラのファンが彼女の高校制服姿を見たい、
というなら我慢もできるのかもしれないが、彼女のことを
ボーダフォンや資生堂のCMぐらいでしか知らないという人には、
むしろ奥田民生のライブをそのままドキュメントで収めた方が
いい映画になったんじゃないかと思えるほどの出来ばえだ。

新幹線の高架脇にある共同アパートの屋上で、
木村カエラがギターの練習をしているオープニングは
どことなく風情があって、いい感じ。
その後の展開を多少なりとも期待したのが大間違いだった。

一人暮らしの高校生(その設定も安易)の木村カエラの家に、
イギリスで父(安斉肇=空耳アワーの人=が思ったより上手い)と
暮らしていたバタ臭い顔の妹(モデル出身の西門えりか、母親役が
川崎麻世夫人のカイヤなので、一応納得させられる……)が突然、
帰って来て繰り広げられるリアリティのないドタバタ系ドラマは、
フワフワした雰囲気がビートルズのそれを彷彿とさせるものの、
何かを心に訴えかけるような代物じゃない。


ちなみに奥田民夫のビートルズ好きは、彼の音楽にも顕著で、
パフィのデビュー曲「アジアの純真」(これは傑作!)
が、まるでELOの楽曲に聴こえたのも、
奥田民生とのコラボだったからなんだよね。

ん?…ちょっと、わかりにくい?
つまり、ELOはビートルズの大ファンを自認するバンド。
ビートルズが好きで研究しているアーティストは
コード進行がみんな似てくるわけ。

パフィの「これが私の生きる道」に至っては、
アレンジまで初期のビートルズの音そのもので、笑ったよね。

そんなわけで、この映画の話もフワフワしたビートルズ関連
映像のテイストを狙ったもの、とも理解できる。けどね……。

奥田民夫の歌はカラオケで歌ったこともあるぐらい、
けっこう好きな方なんだけど、だからといって、
それと映画の出来とは別物。それだけは、
どんなに歌がよくても、いかんともしがたい。

彼の歌は、クライマックスの広島球場ライブシーンで
「息子」「ラーメン食べたい」など、ほとんどフルコーラスで
堪能できるが、奥田民生が好きでない人にとっては問題外!!
(総合評価★)……だろう。とはいえ、奥田民生のことを
嫌いな人が見に行くとは思えないので、彼のファンなら
総合評価★★……ぐらいかな。大目に見てネ(笑)。
ヘイフラワーとキルトシューひゃ~!!
時が経つのは早いもので、アッという間にもう11月。
10月中旬に公開された映画を大慌てで紹介しなくちゃ…。

単館系なので、まだ公開中だと思うんだけど、
見てない方は是非、『ヘイフラワーとキルトシュー』を
ご覧になってください。こんな素敵な田舎なら住んでみたい!
と思わずにいられない、「森と湖とサンタとムーミンの国」
=フィンランドの美しい風景と生活が満喫できるホームドラマ
で、とっても幸せな気分になれること、請け合いですよ!

2002年にフィンランドで製作された小品(上映時間72分)ながら、
同国における歴代興行記録を塗り替える大ヒットを記録した
こと自体、信じられない安上がりな内容のホンワカ系映画だ。

主人公は、しっかりものの姉=ヘイフラワー(7歳)と
姉に何でもやらせるワガママ三昧の妹=キルトシュー。
父親は自宅でジャガイモの研究を生業としているらしく、
ジャガイモに関しては哲学的でうるさいぐらい熱心だが、
それ以外のことは放ったらかし。遊んでくれない父親と、
家事にまったく興味がなく「外で働きたい」とそればかり
考えている母親に反発して、二人姉妹は近所の家へ勝手に
引っ越したり、自分の主張ばかりしている両親と妹についに
いいコだった姉がキレて、一切口をきかなくなったり……
とはいえ、これっぽっちもシリアスな雰囲気はない。

夏が舞台のせいか、ほのぼのとした田舎の家の風景が
とってもキレイで、近所の人々がまた暖かくポップで、
まるでビートルズの「ペニー・レイン」に住む人々みたい。
差し詰め、フィンランド版「サザエさん」といった風情だ。

ある意味、こんなたわいもない話が大ヒットするフィンランド
という国のことを間違いなく大好きになってしまうだろう。

フィンランドといえば、最近は携帯電話メーカーの「ノキア」
が有名だが、もともと東郷元帥の顔がトレードマークの
ビールを発売しているぐらい、親日的な国。

日本のことが嫌いな韓国や中国と比べ、ついフィンランドの
肩を持って評価が甘くなってしまうのは仕方ないことなのだ
(関係ないか?)……総合評価★★★★!(笑)

ただし、実際のフィンランドは、サンタクロース誕生の地
と言われるぐらい、過酷な冬の寒さとキリスト教の国。
冬のフィンランド映画はあまり見たことがないけれど
(フィンランド映画自体、ほとんど見た記憶がない)、
ジム・ジャームッシュ監督の不思議な魅力に溢れた名作
『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91年)の最後の章で、
『ヘイフラワーとキルトシュー』の世界とはまったく異なる
極寒の夜のヘルシンキ(フィンランドの首都)が舞台として
描かれていた。この映画のフィンランドは、まるで地球の
「最果ての地」の如く、寂しいところだった。
そんな両極端のイメージがフィンランドには存在する。

ちなみに、『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、
ティム・バートン監督の『シザーハンズ』に続いて出演した
若い頃のウィノナ・ライダーの最も印象的だった映画。
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ
の5都市で同じ夜(同じ時間帯)に起きた話なのだが、
時差があるので、最初の章のロサンゼルスでは夕方、
最後の章のヘルシンキは夜中という感じでつながっている。
そういう面白い見方で、地球という星で同時に起こっている
ストーリーを描いて見せた。今、見ても新鮮な切り口だろう。

(ローマ編では『ライフ・イズ・ビューティフル』のベニーニも出てくる!!)

ジム・ジャームッシュ監督は、いつもそんな宇宙的な
俯瞰の視点で人間の物語を見せてくれるような気がする。
それが、なんとも知れん無常観に溢れた作風になって
いるんだよねぇ……総合評価★★★★

今度はまた違うフィンランド映画も見てみたいね。



ビクターエンタテインメント
ナイト・オン・ザ・プラネット




ヘイフラワーとキルトシュー