バットマンビギンズ2今週3本の映画をハシゴして見た人の中には、
「なぜか3作品とも同じ俳優が出ていた!」
なんて人が少なからずいたのでは?

しかも、その3本は、いずれ劣らぬ話題作ばかり。

大ヒットシリーズの最新作『バットマン・ビギンズ』、
アカデミー賞主要4部門に輝いた『ミリオンダラー・ベイビー』、
そして、先週末公開されたばかりの『ダニー・ザ・ドッグ』……

単館系は一切なし、どれも今週の興行収入TOP10に
名を連ねるであろうメジャー作品だ。
これって結構、珍しいことなんじゃないかな?

「いったい、そいつは誰だ?」

お察しの通り、モーガン・フリーマンだ。


同時期に出演作が2本公開されることはよくある。

例えば、トム・クルーズが売り出し中の80年代後半では、
おそらく恣意的に主演作2本--『トップガン』と『ハスラー2』、
『レインマン』と『カクテル』--が完璧に重なって
同時期に日本公開されている。

しかし3本となると、あまり聞かないよね。
トンと過去の例も思い出せない。

いかに彼が信頼度の高い(ある意味、重宝されている?)
俳優かということの証左だろう。


モーガン・フリーマンとの出会いは、おそらく大半の人が
『ドライビング・ミス・デイジー』を挙げることだろう。
それ以前の作品は、出演歴を眺めると見た映画があるには
あるけど、彼を意識して見た映画というのが一つもない。

80年代半ば、40代で開花した時、すでに彼は老成していた。
その頃から一貫して、彼の役柄はいつも「人格者」に見える。
『ダニー・ザ・ドッグ』のジェット・リーもかなりの人格者
と聞いたことがあるけれど、役柄的にそれは見えてこない。
ジャッキー・チェンとモーガン・フリーマンだけが、
役柄とともに常に「人格者」らしさを迸らせている。

クリスチャン・スレーター主演の洪水映画『フラッド』のように、
強盗の役を演じていても「人格者」のイメージは決して崩れない
のだから、もうこれは本物としか言いようがない。
それが役柄の積み重ねによって醸成されていったものなのか、
役者自身の内面から滲み出たものなのかはよくわからんけど、
とにかく決して浮ついたところがなく、
主人公を力強くサポートする「100%頼りになるパートナー」
を演らせると、まさにハマる。ほとんど主人公はない。


例えば、『セブン』ではブラッド・ピットの先輩刑事として、
『トータル・フィアーズ』ではベン・アフレックの上司として、
『ロビン・フッド』ではケビン・コスナーの異教徒の相棒として、
『許されざる者』ではクリント・イーストウッドの旧友として、
いずれの大ヒット作でも必要不可欠な存在感を放っている。




タイトル: フラッド



もちろん、出世作の『ドライビング・ミス・デイジー』では、
老いたご主人(ジェシカ・タンディ=アカデミー主演女優賞受賞)
に長年、忠実に仕える運転手(モーガン・フリーマン)役で、
彼は初のオスカー候補(助演男優賞)となった。

映画評論家の神様、故・淀川長治さんが、
「いかにも私はオスカーを獲りますよ、的な演技で嫌なの」
というようなことを言っていたので、てっきり受賞したのか
と勘違いしていたが、実際はノミネート止まりだった。

だから『ミリオンダラー・ベイビー』での初受賞は、
「まだ受賞してなかったの?」という感じで、
誰よりも確実に当然の結果だった。


『ミリオンダラー・ベイビー』は当初、
サンドラ・ブロックにオファーされた企画だったらしい。
しかし、彼女が「監督もやりたい」とゴネて、
企画は宙に浮いてしまった。

その後、クリント・イーストウッドが監督・主演に決まり、
原作には出てこない主人公の相棒役で再び
モーガン・フリーマンを登場させたイーストウッドは、
やはり彼の存在感の魅力を熟知していたんだろう。

「イーストウッドの映画なら脚本を見なくても出る」と
豪語していた通り、モーガン・フリーマンは即決で出演を快諾。

慌てたサンドラ・ブロックは「監督しなくていいから出たい」
と前言を翻したが、時すでに遅くヒロイン役は決定していた。

もちろん、この意外な組み合わせも見てみたかったけど、
サンドラ・ブロックで主演女優賞が獲れたかどうかは、
大いに????……だよね。


『バットマン・ビギンズ』では、モーガン・フリーマンの役を
「おいしいとこ取り」なんて書いてる人もいたけど、
それこそ彼の実力が成せる業。
もし説得力のないオタク的イメージの俳優が演じていたら、
バットマン・スーツは今回もオモチャに見えたかもしれない。
いつ買収されて裏切られるかとヒヤヒヤしながら
最新作を見るハメになったかもしれない。

マイケル・ケインとモーガン・フリーマンに両脇を支えられたら、
こんなに心強いことはない。信頼度100%、最強の両腕だ。

こんな両腕がいたら、ホント幸せだよね。バットマン君!


ちなみに、『ミリオンダラー・ベイビー』については、
井筒監督をはじめ、ほとんどの人が大絶賛している時点で、
もうお腹いっぱい……

イーストウッドの古くからのファンとしては、語り始めると
もう他のことが書けなくなってしまいそうなので、
また別の機会にゆっくりお話しましょう。






タイトル: トータル・フィアーズ




タイトル: ドライビングMissデイジー
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宇宙戦争『ラスト・サムライ』製作準備中のトム・クルーズに、
スピルバーグ監督が3本の企画を持ちかけた。
「今度一緒にやるなら、どれがいい?」

そして、トム・クルーズが選んだのが、
元祖SF小説家=H.G.ウェルズの古典『宇宙戦争』だった。

6月29日の全世界同時公開に先駆け、
空前の厳戒態勢のなかプレミア上映されたが、
あまりにも有名な原作のラストのオチが今回もそのままかどうか
(知らない方のために黙っておきますが、100年以上前の古典の
その受動的なオチに今では呆れる反応の人もいるようです)
が、知ってる人には最も気になるところでしょう。

イギリスの作家H.G.ウェルズを有名にした『タイムマシン』をはじめ、
『透明人間』『ドクター・モローの島』『宇宙戦争』『月世界旅行』
といった一連の古典はすべて1895年から1900年の間に書かれている。
純粋な原作の映画化ばかりでなく、原作の影響を受けた映画の数も
含めれば、数えきれないほど映画化されている。
(下記作品リストのリンク参照)

なかでも、1940年代に『宇宙戦争』をドキュメント風に
ラジオドラマ化したオーソン・ウェルズの『火星人襲来』で、
全米が本当のニュースと誤解してパニックに陥ったという話は
有名すぎるほど有名。

そんな『宇宙戦争』が映画化されたのは1953年。
アカデミー特撮効果賞を受賞した斬新なUFOや宇宙人のデザイン
(その後、一般化した頭デッカチのタコみたいな火星人)と映像で、
SF映画の名作として評価されている。

しかし、それから50年の間に、人間は有人宇宙飛行を可能にし、
月着陸を実現、火星から木星、土星へと探査ロケットを飛ばして
生物の有無を調べるデータまで取れるようになり、
今や『火星人襲来』のリアリティはまったくない。

人間ドラマや歴史劇、西部劇などの名作は、
確かに「今見ても名作は名作」と言えるものも多いが、
こと特撮技術に重きを置いたSF映画などについては、
今見ると……ギャグ以外の何ものでもない。

昔、見た時は怖い映画のはずだったのに……どこも怖くない。
『エイリアン』や『スター・ウォーズ』などの映像世界をすでに
腐るほど見慣れている現代人がいきなりアレを見たら、
あまりのチャチさに笑ってしまうんじゃないだろうか……
(もちろん、そういう楽しみ方をしたいならオスメメ!!)

登場人物の行動や演出にも緊迫感など微塵も感じられない。
ウルトラセブンのワイドショットを拡散したような光線に、
人間や戦車が次々消滅させられていく場面も笑える……
酒飲みながら、数人でワイワイ見たら面白いかもしれない。

「無差別攻撃の恐怖を描いてるんだな」
と頭では理解できても、いかんせん映像がプラモデルみたい
なセットで……普遍的なドラマ性も決してあるとは思えない。
自分のようなクラシック映画ファン以外は、「これが名作?」
と頭を抱えてしまうに違いない。

歴史的価値はさておき、それがSFや特撮映画の宿命だ。
残念ながら、今の時代における総合評価は★★!

H.G.ウェルズ作品リスト





タイトル: 宇宙戦争


ハッキリ言って、映像は「ウルトラセブン」並み、
むしろ「ウルトラセブン」の方が「宇宙愛」といったメッセージ性も
あったように思う。「ウルトラセブン」こそ、名作だ!!

ちなみに、旧作『宇宙戦争』のプロデューサーと監督、
ジョージ・パルとバイロン・ハスキンのコンビでいえば、
1954年の『黒い絨毯』の方が絶対怖い、という印象がある。
これは南米の牧場主(チャールトン・ヘストン主演!!)と、
人食いアリの大群の戦いを描いた群生系動物パニック映画の元祖!!
とも呼べる作品(総合評価★★★)。
ずっと前にビデオ化されていたような記憶があるんだけど……
検索しても見つからない。こっちの方がまた見てみたい。


さて、新しい『宇宙戦争』は当然、火星人の襲来ではないだろう。
旧作では科学者(ジーン・バリー)が主人公で、
彼のファンみたいな女性(アン・ロビンソン)が最初から色目使って、
「どうせ、くっつくんだろうな」みたいなお決まりのパターンだった
が、新作の『宇宙戦争』では、主人公がごく一般的なダメなお父さん。
娘のダコタ・ファニングを守っていく家族愛の話になってるようだ。
予告映像を見る限り、迫力満点!!
バックライトに顔のアップといった、いつものスピルバーグ的映像が
今回は久々に戻って来たようだ。期待できるんじゃないかな。
旧作のヒロイン、アン・ロビンソンもカメオ出演している
らしい……それに、ティム・ロビンスの顔も見えるね!
やっぱり、これは劇場で見たいよね。



タイトル: DVD ウルトラセブン Vol.1




タイトル: DVD ウルトラセブン Vol.9
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バットマン・ビキンズ・ポスター『宇宙戦争』公開間近のトム・クルーズが、
公開直後の『バットマン・ビギンズ』のヒロイン、
ケイティ・ホームズと「婚約した」とのニュースを聴いて、
「また、うまい時期にうまい宣伝を考えたもんだ……」
などと思ってたら、ホントにエッフェル塔でプロポーズされたらしい。

言われてみれば、『バットマン・ビギンズ』の主役クリスチャン・ベイルも、
見る角度によってはトム・クルーズに似てる!(ところもある……けど、
無精ヒゲを生やしている時などは、どちらかというと『ダイ・ハード』で
ブルース・ウィリスの知り合いのフリして交渉役を買って出て、嘘がバレて
スネイプ教授にブッ殺される奴のイメージに近い……要は好みでない)。

ちなみに、ケイティは自宅の部屋にトム・クルーズのポスターを貼って、
「大人になったら結婚したいと願ってた」というからビックリ!

二人は今年の4月から交際してたとか。

トム・クルーズは世界のスーパースター、しかし
ケイティ・ホームズは知らない人もいるだろう。
『バットマン』シリーズの過去4作品のヒロインと比べても、
その知名度はダントツで低い。

バットマン役のクリスチャン・ベイルも同様。
かろうじて『サラマンダー』で主役だったのを憶えている程度で、
スピルバーグ監督の『太陽の帝国』で主人公の少年としてデビューした、
と聞いても、「へえー、あの少年だったの?」ってなもん。
30歳そこそこでも芸歴だけは長いから出演作も相当あるんだけど、
ニコラス・ケイジの『コレリー大尉のマンドリン』とか、
ウィノナ・ライダーの『若草物語』とか、「どこに出てたっけ?」
と、まるで印象にない(もう一回、見ないと絶対わからんだろうな…)。

二人とも、ある意味では大抜擢と言えるキャスティングだった。

ただ、ケイティ・ホームズの方がむしろ全米人気テレビシリーズ
「ドーソンズ・クリーク」などで顔は知られていたように思う。
この番組は5年以上続いたが、その間の映画出演はたいがい脇役。
ケイト・ブランシェット主演の『ギフト』では早々に死んでしまうし、
そこそこ評判の良かった『フォーン・ブース』や『ワンダー・ボーイズ』
でもヒロインといえるような役で目立っていたと思うんだけど、
ほとんど彼女のことを気にかけた評論など見られなかった。

ケイティを最初に見た映画は、『鬼教師ミセス・ティングル』だ。
主人公の優等生役。しかし、怖いオバハン教師に目をつけられる。
というか、いわゆる「えこひいき教師」で、ケイティが気に入らない。
でも、まあ、教師も大人なんだし、次第に和解の方向に、
……などと思ってたら、とんでもない。「そんなバカな」っていうぐらい、
最後は殺し合いに近いドタバタの展開になってくる。
結構、笑える学園サスペンスものだった(総合評価★★★)。





タイトル: 鬼教師ミセス・ティングル[DTS]



しかし、代表作となると、思い当たらない。
最近の主演作2本『ホワイト・レディ』と『エイプリルの七面鳥』を
見てないからかもしれないが、いずれもそんなに話題にはなってない
(ただし、評判はいいようです……いずれ見てみたいね)。
というわけで、『バットマン』シリーズでは珍しく「知的」なヒロインは、
まさに彼女のハマリ役で、これが彼女の決定打といえる代表作になるだろう。

『バットマン・ビキンズ』の彼女のセリフで、一つ好きなものがある。
「人間は中身じゃない。その行動で決まるのよ……」

やるねえ、子供の時からの願いなんて滅多に叶うもんじゃない!

しかもだよ、ニコールも、ペネロペも、トム・クルーズと
くっついたあたりから急に有名になっていった。

そんな「アゲチン」=トムをモノにしてしまった
「知的でかわいい」ケイティ、
もうトップ女優の座は約束されたようなのもの……?

世の女性たちの反感を買わなきゃいいが。それだけが心配……
どうか、お幸せに!!





タイトル: エイプリルの七面鳥
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渡辺謙日米ほぼ同時公開のシリーズ最新作『バットマン・ビギンズ』が
全米で初登場1位を記録、2週目には1億ドル突破確実の大ヒット
となっている。

『バットマン』シリーズの過去4作品のユーザー評価をアマゾンで
見ていると結構面白い。評価がバラバラなのだ。

ティム・バートン監督の最初の2作品を推す人、
2作目が最高という人、3作目が一番面白いという人、
4作目だって捨てたもんじゃないという人、
それぞれに「つまらない」という人もいて、
あれを見ただけじゃ、どれを信じていいのかまったくわからない。

自分は4本すべて劇場で見ている。
しかし、どれ一つとして満足できる出来のものはなかった。
要は、どの作品もオコチャマ向けの劇画の範疇なのだ。
バットマン・スーツも、バットマン・カーも、
あんなもん、オモチャにしか見えなかった。
オモチャ箱をひっくり返して、
「今日はジョーカー対バットマン」、
「次はキャットウーマン対バットマン」
「明日はトゥー・フェイスと対決させようかな」
と、遊んでる子供の夢の中に迷い込んだ大人が、
「ついていけない……」
と、嘆いて劇場を出る。正直、そんな4本だ。
真剣に喜んでいるアメリカの大人の程度が知れると思ったほどだ。
実際、アメリカだけでは爆発的にヒットしたが、
日本や欧州ではどんどん興行収入が落ちて、
シュワちゃんを登場させても、この流れはどうにも止められなかった。






タイトル: バットマン フォーエバー




タイトル: バットマン リターンズ




タイトル: バットマン&ロビン~Mr.フリーズの逆襲!!~


そこで、ワーナーは作品の質を根本的に変えるべく、
5作目では悪役ダークナイト(DARK KNIGHT)に
御大クリント・イーストウッドを登場させ、
ジョン・トラボルタと共演させるという企画まで登場した。
ワーナーとイースウッドの30年以上に渡る蜜月関係を思えば、
「本当に実現するのでは?」と思ったほどだ。

イーストウッドの悪役は、正直、とても見たかった。
しかし、やっぱりオコチャマ向けの劇画に出るほど、
イーストウッドは甘くなかった。
彼の反骨精神は成熟した大人になってもガンコそのものだ。

企画は空中分解し、5作目が登場するまで8年もの歳月が流れた。
今回の『バットマン・ビキンズ』は、
これまでの4作のオコチャマ向け劇画とはまったく違う。
なぜ過去4作が面白くないかは、以前ここで書いた。

(一番下の関連記事リンク参照)

今回は、その4作が「なぜ、よくなかったか」と指摘した点を
見事にクリアした話になっている。間違いなくシリーズ最高傑作だ。

バットマン・カーの迫力など、これまでの比ではない。
まるで戦車のよう。初めて、この車に興奮した。
バットマン・スーツの「生い立ち」についても語られている。
初めて、あのコスプレに親近感がもてた。

それもこれも、ものすごい顔ぶれの名優が顔を揃えているからだ。
つまり、説得力が違う。これが名優の条件。
こうしたキャスティングも前4作とは趣向が違う。
これまでは、ジャック・ニコルソン、キム・ベイシンガー、
ミッシェル・ファイファー、トミー・リージョーンズ、
ジム・キャリー、シュワ(以下、省略)……といった
トップスターたちを集める豪華な布陣をウリにしていたが、
今回は主人公の忠実な執事にマイケル・ケイン!
バットマン・カーやスーツの産みの親に、モーガン・フリーマン!
いつも悪役ばかりのゲーリー・オールドマンが唯一の善良な警官に!
そして、悪役はクワイ・ガン・ジン!
それに渡辺謙!!

ただね、渡辺謙の出演場面の少なさには大ショックだったよ。
悪役がフィーチャーされてきたシリーズで、この扱いはヒドイ。
もっとストーリーに絡んでくると思ってた。期待がデカ過ぎだ。
出てきて、10分で消える(死んだのか、どうかは不明)。
日本人がこれで喜ぶと思ってんのか?

しかし、それもこれも含めて、今までのシリーズとは違う。
悪役がフィーチャーされず、バットマンがあくまでメイン。
決してオコチャマ向けのオモチャ箱にはなってない。
そもそも同じシリーズとして入れるべきなのか、どうかも疑問。
同じワーナーではあるけど、『キャットウーマン』がシリーズに
カウントされていないのと同様、これもまったく違う映画になってる。
しかも、『バットマン』では、バットマンの両親はジョーカーが殺したことに
なってたはず。ここでは、わけのわからんチンピラに殺される。
まるで、前4作との話の整合性を気にしていない。
もともと『スター・ウォーズ』と違い、話はつながってない。
一話完結の新たなシリーズが始まったと考えるべきだろう。

すでに続編も企画進行中で、ゲーリー・オールドマン他のキャストも
出演を了解しているらしい。モーガン・フリーマンとマイケル・ケインが
オーケーを出せば、次の成功も約束されたようなもの。
「僕を見捨てないよね」と主人公が聞くと、必ずマイケル・ケインが
「ネバー」と答える。頼むよ、マイケル・ケイン。
というわけで、大復活の『バットマン・ビギンズ』総合評価★★★★!

バットマン過去4作の関連記事
「高校のアメリカン・フットボール・チームの実話」という
同じ題材なら、『プライド 栄光への絆』の100倍オススメ
したいのが、昨年公開された『僕はラジオ』。
もうレンタルされてるので、是非見てほしい……
『シンデレラマン』も良かったけど、
これは本当に良かった!

フットボールに興味をもち練習場をうろつく知的障害者の黒人、
それを『ザ・エージェント』でアカデミー助演男優賞に輝いた
キューバ・グッディング・Jr.が演じているんだけど、
これが実にうまい! 

そして、彼の生き方を「人にはそれぞれ居るべき場所が必要なんだ」
という信念のもと、選手と同様に彼のことを常に考え、
サポートしていくコーチ役にエド・ハリス。
これがまた、なんて素晴らしい人!

最後に本物の二人の写真が出てきて、
二人のその後が語られる(二人ともまだ生きている)
頃には、もう涙なしには見られない。
二人は「師匠と弟子」というより、
「ギブ&ギブ」によってお互いが支え合っているような
実に「いいコンビ」の如く対等に付き合い、
ともに人生を歩んでいることがわかる。


私の祖母が長年住んでいた借家を引き払い、
叔父の新しいキレイな家に引っ越した途端、
アルツハイマーになってしまったのを思い出し、
涙が止まらなかった。

「人にはそれぞれ居るべき場所が必要」……祖母にとって、
それは戦後の食料難の時代に子供4人を育てあげた、
長年住み慣れた狭い借家がそうだったんだねぇ…(涙)。

総合評価★★★★





タイトル: 僕はラジオ
プライド日本では今年5月に公開され、全米のマスコミなどから
「2004年のベストムービー10」に選ばれるほど
大絶賛されたという『プライド 栄光への絆』。
実在の高校アメリカン・フットボール・チームの
1988年のシーズンを克明に描いた実話だ。
コーチ役でビリー・ボブ・ソーントンが熱演している。

ただし、ちっとも面白くなかった。
こんな映画を大絶賛することは絶対できない。

そもそもアメリカン・フットボールぼど、
アメリカ国民に異常に愛され、他の国には
イマイチ普及してないスポーツも珍しい。
「アメリカの田舎町では、それしか楽しみがない」というのは、
十分にアメフトの魅力を伝えきれないイイワケにしか聞こえない。
それをアメリカ人たちは誤解しているフシがある。
自分たちと同じように、みんなも熱狂するはずだ、と。

とはいえ、この映画が全米でヒットしたわけでもない。
何がそんなにマスコミに絶賛されたのか、不思議だ。
確かに、試合シーンの映像は迫力がある。
「ドスーン」と肉体がぶつかりあう地響きのような音。
ルールなんか知らなくたって、その迫力は伝わる。
でも、この物語を通じて何が言いたかったの?
と聞きたくなる。

こんなに一生懸命、高校生たちがスポーツに
青春を賭けてガンバってる、ってこと?
そんなの、どこにでもある話。
それだけじゃ物足りない。
結局、彼らは一人としてプロスポーツ選手になれず、
別の職業に就いていることが最後に紹介される。
それがアメリカ社会の現実だ、って話?
そんなの、当たり前すぎる。みんな、そうだ。

観客はそんな話をスポーツの感動実話に求めていない。
例えば、雲の上の有名選手も自分と同じ人間らしい苦悩や
普通さがあって、そこから思いもよらぬ展開で成功する、
そこに一緒になって応援したくなる要素が生まれる……
『シンデレラマン』みたいに。
これが感動スポーツ実話の必勝定型パターンだ。

実話だから、真実だから、それでいい、それこそが重要……
なんてことは絶対ない。

映画はそもそも作りごとだ。実話もその視点に左右される。
ドキュメンタリーでさえ、作り手の視点によって
その出来は雲泥の差が出る。

現実のアメリカ社会を個で描いた作品という点でいえば、
現在も日本で公開中のドキュメンタリー映画
『チャレンジ・キッズ』(まさに実話!総合評価★★★★)
の視点の面白さとスリリングな真実の迫力の前では
『プライド』の迫力など足元にも及ばない。
(そのうち、これも詳しく紹介したいなあ…)。

別にアメリカン・フットボール自体は嫌いじゃない。
これまでにもたくさんのフットボール映画を見てきた。
野球よりもはるかに、その本数は圧倒的に多いだろう。
面白い映画もたくさんあった(それは今度また紹介するとして……)
が、ただ『プライド』にはアメリカ特有の悪しきクセ、
つまり「自分の国で起きていることがすべてだ」的な、
明らかに誤ったグローバル・スタンダード意識というか、
そうした妙な「プライド」が作り手のバックボーンに、
無意識のうちに見え隠れしている点が最も鼻持ちならない。

総合評価★★!

ちなみに、「ユナイテッド・シネマとしまえん」他で現在も
公開しているようなので、興味があれば……。もしかしたら、
全米のマスコミの絶賛評価の方に賛同する人もいるだろうし…
実際、見てみなきゃ、わかんないヨ。他人の評価は。

シンデレラマン

映画みたいな話だ。

先週アメリカのメジャーリーグで、
ナ・リーグ東地区の首位を走る新興チーム=
ワシントン・ナショナルズの大家投手が先発し、
試合の中盤、交代を告げにやって来た監督に背を向けて
ボールを渡さなかったことから監督が激怒。

大家投手を翌日、代走に起用(投手の代走起用は極めて異例)
したうえ、次の先発予定試合の開始6時間前にトレードを通告(!)
するという極めて酷い仕打ちで、下位に低迷する中部地区の
ミルウォーキー・ブリュワーズに放出した。

この監督はメジャーリーグ機構の元規律委員長を務めていた人。
たまたま礼儀には特別うるさい人だったとはいえ、
大家投手は一昨年まで2年連続二桁勝利を挙げていたチームの勝ち頭。
エース級の存在だった。それを態度一つで豹変して、
切り捨ててしまったのだ。日本じゃ考えられない。

大家投手はすぐに新チームに合流し、昨日のデビルレイズ戦に先発。
そして、なんと、その試合で自身メジャー初となる完封勝利(!)
を収めたのである。やったね!……その瞬間、
マウンド上の大家投手から何とも言えない笑みがこぼれた。
新チームメイトから歓迎のハイタッチが続いた。

ところが翌日、今度は相手のデビルレイズ先発・野茂投手が、
そのブリュワーズ相手に日米通算200勝(メジャー11年目で
122勝)という初の偉業を達成してくれた!!!!

最近、球速の衰えが誰の目にも明らかな野茂投手だっただけに、
たまにはそんな嬉しいニュースに心から一喜一憂したい。


野茂投手については誰もがよく知ってる存在だから説明不要
だけど、大家投手のニュースはそんなに大きく扱われない。
あまりよく知らない人もいるかもしれないので、少し紹介を……。

彼は横浜ベイスターズ在籍時、大半を2軍で過ごし、
4年間で1勝3敗という成績しか残せなかった。
そこで98年に米国行きを直訴、マイナー契約で渡米。
その後、マイナーリーグで完全試合を達成するなどの活躍で、
メジャーに昇格。徐々に頭角を現していった。

現在、母子家庭に育った大家投手は、
日本の片親しかいない子供たちを自費で
毎年何人も自分の登板試合(アメリカ)に招待し、
一人一人との対話の場も設けている。

そんな彼の地道なボランティア活動を知っている人には、
今回の突然の放出、完封劇は感動すら覚えるものだった。


その点、イチローの1000本安打は、タダの通過点。
当たり前の展開で、感動まではいかない(失礼ですネ)。
なぜなら、イチローにはもっと上のレベルを
みんな期待しているからだ。

例えば、1940年代以降、ウィリー・メイズを最後に
誰一人として達成した者がいない「4割打者」。
日本では誰も達成していない前人未到の記録だ。
イチロー以外の打者には、誰も期待していない。
彼一人だけが、そういうレベルにいるのだ。
いずれは彼の映画も作られることだろう。


スポーツの記録や勝負などにおける感動の物語は、
まさに「事実は小説よりも奇なり」で、
つくり話では考えられないような展開をする。
それゆえ実話を基にしたスポーツ映画は数多く存在し、
エライ昔の伝説的逸話などが映画化されたりもする。

1910年代から何度も4割打者に輝いた生涯通算打率の記録
保持者『タイ・カップ』(トミー・リー・ジョーンズ主演)や、
かつてすべてのホームラン記録保持者だったベーブ・ルースの
『夢に生きた男~ザ・ベーブ~』(ジョン・グッドマン主演)
……もちろん、野球ばかりではない。

『炎のランナー』もそうだし、『レイジング・ブル』もそう。
ともに何十年も昔の実話を基に描いた名作だ。





タイトル: 炎のランナー




タイトル: レイジング・ブル



現在、全米公開中で早くも来年のオスカー候補筆頭と
大評判のロン・ハワード監督最新作『シンデレラマン』
(ラッセル・クロウ、レニー・ゼルウィガー主演)も、
1930年代の伝説のボクサー、J・ブラドックの物語だ。

興行的にも先週頃までは『マダガスカル』『ロンゲストヤード』
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』のビッグ3に
次ぐ順位まで食い込むスマッシュヒットとなっていた。

コレ、とっても良かったよ(実は、もう見たんだーッ!!)、
『レイジング・ブル』よりも。甘チャンかもしれないけど
……詳細は、そのうちね。日本公開は9月らしいので。
ベルリン実は先週末まで約1週間、有楽町マリオンで
ひっそり「ドイツ映画祭」が開催されていた。

すでに日本でも昨年公開された『飛ぶ教室』や
『グッバイ、レーニン!』といったヒット作、
日本未公開作が何本も上映されていたのだが、
やはり最近見たドイツ映画で最も印象に残っているのは、
4月末に単館系で公開されてロングランヒット中の
『ベルリン、僕らの革命』だ。

昨年のカンヌ映画祭でドイツ映画としては11年ぶりに
上映されて評判となった『ベルリン、僕らの革命』は、
『グッバイ、レーニン!』に主演していたダニエル・ブリュール
(どことなく、故リバー・フェニックスの面影と
ナイーブさを彷彿とさせるカワイさがある…!)、
さらに同作で西側に亡命した父親役を演じていた
ブルクハルト・クラウスナーもまた
カギとなる役で出演している。

ドイツは、第2次大戦の敗北から経済的に復活した経緯や、
それを支えた勤勉でマジメな国民性、
それに伴って生じたヒズミとも言うべき
社会的な「本音」と「建前」の抑圧感、
さらに現在直面している社会保障・年金問題など、
先進国の中にあって最も日本と類似点の多い国といわれている。

一方、冷徹で浮かれたところのない落ち着いたイメージもある。
実際、ドイツ映画が映し出す画面のトーンは、
どんより暗いところが日本映画とソックリだ。
確かに表層的には似ている部分も多い。
しかし、そこに至る思考回路は、まるで違う。

日本が戦争のことなどすっかり忘れてバブル景気に浮かれていた頃、
ドイツはまだベルリンの壁で東西二つの国に分裂していた。だから、
日本以上に過去の忌まわしい記憶が身近なものとして存在している。






タイトル: グッバイ、レーニン!



『グッバイ、レーニン!』の物語も、あまりにその問題が
身近にあったがために派生する類のコメディだ。
過去の歴史が今を生きる人々に及ぼしている影響なしには語れない。

世代間闘争や極右勢力の台頭などのドイツが抱えている問題は、
(そもそもナチスの誕生さえ)彼らが真摯に考えているなかで
自然発生した思想的な理論とその結果に他ならない。

それに比べると、日本は過去に対して(一部の人を除いて)、
「能天気」としか言いようがない。
戦争へ突き進んでいった理由にしても、
何ら確固たる理論的バックボーンがない。

事実、日本人が戦争を振り返る時、それは感情的な思いとしてのみ
語られてしまい、「二度と繰り返さない」を連呼するだけで、
思想的に昇華されていない。そこにあるのは、いつも
右へならえの「流行」とキャッチーな「お題目」だけだ。
そこにすべて収斂させてしまうから、考えることをしない。

これは中国についても言える。
飽きもせず年中行事のように引き合いに出される靖国参拝問題も、
思想的な理論構築が極めて希薄で、単に「お題目化」している。
しかも、政治的な感情煽動の道具としての利用価値が「本音」と
思われるフシもあるため、そうなると仮に靖国参拝が中止されて
「建前」上の解決が図られたところで、なんら意味をなさない。
非常に無味乾燥な「問題」としか思えないのは、そのためだ。

ドイツの抱える「本音」と「建前」は、それとは少し次元が違う。
『べルリン、僕らの革命』にもそのことがよく出ている。

そこにある問題意識は、過去の忌まわしい記憶をさまざまな形で
清算してきた当事者に近い世代と、当事者ではないのに過去から
の清算の抑圧を否応なく今も将来も受けざるを得ない若者世代の
思想的闘争という形になって顕れる。

ある意味、共有する思想の「本音」の部分を若者の行動が顕して
いるのに対し、資本家の行動はすべて「建前」を象徴している、
というふうに見ることもできる。

「エデュケーターズ」(教育者=『ベルリン、僕らの革命』の原題)
を名乗る若者二人は、金持ちの豪邸に押し入って何も盗まず、
家の中のレイアウトをメチャクチャにして「贅沢は終わりだ!」
とメッセージを残す、という詩的・思想的なお遊びに興じている。
しかも、その行為に使命感さえもっている。

そのことで有名になったエデュケーターズが実は自分の彼氏と
その友達(ダニエル・ブリュール)であることを知った女は、
「自分をクビにした金持ちの家に押し入りたい」と
彼氏の友達(主人公)をそそのかし、
運悪くそこに帰ってきた金持ちと鉢合わせ。
顔を見られてしまったため、彼を山奥の山荘に拉致監禁する
という事件にまで発展してしまう。

ところが、この金持ち(ブルクハルト・クラウスナー)が
話してみると意外にいいオッサンで、
「かつては思想的な革命活動を通じてフリーセックスにも
興じていた。君ら3人もそうなんだろ?」
などと話を始める。

それが融和のための「本音」なのか、逃げるための「建前」なのか、
判断に迷うところだ。ただし、彼氏に内緒でヤッてしまった二人には
効果てきめんで、三人の関係には微妙な緊張感が生まれる。と同時に、
世代間の融和が図られていくような話の展開になる……かのよう思えた。

ここからが本当にこの映画の凄いところなんだけど、
ネタバレしているので、結末を知りたくない人は、
ご自分の目でジビアな現実を確認してみてほしい……!


4人の行動だけを表層的に見ると、結末は極めてシビアで、
「やっぱり大人は信じられない!」という話になっていることに
唖然としてしまう。しかも、「お前ら金持ちは変わらない!」
というメッセージまで残して……。しかし、その最後の最後の
シーンの本音と建前の取り方によって意味合いは随分と違う。
多分、「分裂と断絶の継続」という悲しい終わり方には
なっていないように感じられると思う。

むしろ、何らかの思いが4人の心に刻み込まれ、
その証拠に若者3人は彼に感化されたかのように
関係性を保ち続けて終わる。そこに分裂はなく、
決して無力感による結合でもない。そして、
エンドロールの主題歌は「ハレルヤ」を繰り返し奏でている。


つまり、世代間融和の交流があったという思いが
3人の関係性を継続させているという、
ほのかな形のハッピーエンドになっているように感じられるのは、
自分だけじゃないと思う。

実際、そんな感情の機微が爽やかで温かい印象を残す映画だ。
決して思想的な話には陥っていない。
理論的思想の国、ドイツの心に触れられる映画なんだよね。
難しい話し方をしてしまったけど、うまく伝えられたかな?

総合評価★★★★

東京での劇場公開はル・シネマ(渋谷東急文化村)で6月24日まで
だそうなので、まだ間に合う!

ちなみに、主演のダニエル・ブリュールが
マギー・スミス、ジュディ・デンチという大ベテラン二人と共演している
イギリス映画『ラヴェンダーの咲く庭で』も同じル・シネマで公開中。

Bunkamuraル・シネマ
蝋人形の館ポスター先週までトップ10内にいたんだけど、
今週は13位まで落っこちゃいましたね…。

ホラー専門映画製作会社ダークキャッスルの最新作
(第5弾になるのかな?)『蝋人形の館』が現在、
全米公開中です。

タイトルを聞いただけでも、
ダークキャッスルらしい風情があるよね。

予告編だけ見たけど、とてもオモシロそうだった。
くだらなそうだったけどね。
で、全米での評価は……やっぱりメチャクチャ悪い。

大富豪の娘パリス・ヒルトンの出演が、
その評価に輪をかけて花を添えているようです。

そういえば彼女、
同じ名前のギリシャの海運王の御曹司と婚約したんだって?
かつての大統領夫人の再婚相手も、
そんな肩書だったような……

彼女は4番目のクレジットで主人公ではありませんが、
このお騒がせセレブ以外に知ってるキャストはいません。
今回は「低予算B級ホラー」の風情を狙ったのかな?

でも、日本公開が楽しみです!!(公開日未定、夏以降?)
なんか、ちょっと売れそうな感じもするし。

ちなみに、全米興収はトータル3000万ドルの小ヒット。
でも、日本で興収30億円以上っていったら
相当のヒット作になるんだけどね。


「3」という数字が並んだついでに、
『スター・ウォーズ エピソード3』も興収3億ドルを
突破しました。もちろん、公開18日目の突破は
史上最速記録!……なんだけど、
実は今週に入ってかなりペースダウン。
過去のスピード記録『シュレック2』のペースよりも
落ち方が激しいようで、4億ドル突破(歴代7位)も
微妙になってきたみたい。
『タイタニック』のような、
ぶり返しの追い上げがあることを期待しましょう!
コックリさん都会から田舎の女子高に引っ越してきたイジメられっ子が、
友達3人と夜の教室でコックリさんを呼び出す巻頭シーン。

「ぶんしんさば、ぶんしんさば、おいでくださいませ…」

なんと、その呪文には日本語らしきものがたくさん混じっている!!

まず、そこに興味を持たない日本人はいないだろう。
「コックリさん」のオリジナルは日本なのか、という疑問だ。

最後の「おいでくださいませ」は、明らかに日本語。
(「ませ」が入っていたかどうかは、ビデオで要確認。
東京での劇場公開は終わっているみたいですので……
でも、地方ではまだ公開しているところもあるようです
……紹介が遅れてホントすみません)

しかし、「ぶんしんさば」というのも、「分身様」が訛ったようなもの
にも聞こえる。

韓流ホラーの最新作『コックリさん』の公式ページを調べてみると、

●Bunshin→分身(呪文を唱える自分の肉体から、魂が分離するという意味)
●Sabaha→インドの古代語。「望みよ、叶いたまえ」という意味。

で、「さば」は「さま」とも言う、、、と書いてある。
やはり、コックリさんのオリジナルは日本なのか?

とか、思っていると、目を見開いた女子高生が横からヌッと出てくる。

この写真を見てたら、また怖くなってきた……。
「クローズアップでまばたきしない瞳は、観客に緊張を強いる
(から恐怖を増幅する)」と語っていたのは、『ボイス』で
韓国ホラーの旗手として躍り出たアン・ビョンギ監督。

また、「してやられた」と思った。

韓国ホラーは、日本のホラーのようにヌメっと湿っているだけではなく、
ハリッウド的な音響による「ビビリ」も、うまく活用している。
ここでも、日本映画は韓国映画に遅れを取っている感じだ。


コックリさんは、韓国でも昔からよく知られていて、
今でも若いコたちはよくやってるらしい。
日本では70年代に一大ブームとなった「コックリさん」だが、
日本の場合は、キツネとの関連性、10円玉を用いる、
といった、やり方などがちょっと違うだけで、大差はない。

同じ文化圏なので、言葉も似てくるし、
オリジナルがどっちなのか判別するのは難しいことかもしれない。
(答えを知っている人は教えてください!!)
でも、さらにまた韓国に親近感を覚えたことは間違いない。

この「ブンシンサバ」登場から呪いの殺人事件が多発し、
その惨劇の元が30年前の怨恨に遡るということがわかってくる、
という話の展開も東洋のホラー映画の典型的パターンで、
最初は「自殺か? 他殺か?」みたいな話がだんだん怖くなってくる。

意外と評論家筋の評判はよろしくないようだが、十分怖さを楽しめる。
総合評価★★★

しかし、呪いの主である目の悪い女子高生の顔と、
最後の方に出てくる彼女の子供時代の顔があまりに違うのは、
ご愛嬌?

もちろん、演出なんだろうけど、この子役、
『ボイス』で一躍有名になった、例の怖い顔の女の子。
いくら怖い演出したいからって、また『ボイス』の顔を
無理やり『コックリさん』にまで登場させなくたって……

などと、余計なケチをつけたくなるのも、評論家筋に評判悪い原因?

確かに怖さは『ボイス』の方が上。『ボイス』は『ボイス』で、
ちょっとハリウッド的な味付けが過剰と思われるキライもあるし、
『リング』の影響をモロに受けてるなあ、という部分もあるけど、
それでも恐怖のテンションがなかなか落ちない演出とサービスに
拍手を送りたい。

少なくとも日本のホラーのように、ただ暗いだけじゃない。
観客を楽しませよう、という暖かい意図がとてもよく見える。
冒頭のディズニーのシンボルマーク(シンデレラ城)が、
恐怖の館みたいになっているところからして、
「ディズニーはオーケー出したの? 大丈夫?」
と、不安にさせるほど、楽しませてくれる。

実際のところ、『ボイス』はディズニーが初めて外国のホラーに
(全米での配給権を含む)出資を行った映画であるらしい。
そのサービス精神に、総合評価★★★★をあげよう。





タイトル: ボイス