判例タイムズ1429号で紹介された事例です(東京地裁平成28年3月28日判決)。

 

 

本件は経営コンサルティングなどを営んでいるという原告が、病院を経営している法人との間で医師・人材採用業務委託基本契約を締結し、あっせんした医師が被告に内定したとして約145万円の報酬請求をしたというものですが、原告は、職業安定法に規定する有料職業紹介事業についての厚生労働大臣からの許可を得ていませんでした。

 

 

被告側から、刑事罰もある無許可による有料職業紹介事業は許されるものではなく、その対価としての報酬請求は公序良俗に反するという抗弁が出たところ、裁判所においては、本件の原告による医師のあっせんは有料職業事業に当たるとして被告側の主張を認めて原告の報酬請求を棄却しました。

原告からは、原告が行っているのは単なる医師のあせっんではなくさまざまな分野に及ぶ経営コンサルティングであり、報酬はその他いいかであるという反論もなされたものの、認められませんでした。

 

 

判決文に現れた本件の経緯をみると、原告と被告との関係は途中までは良好であったようですが、医師のあっせんが決まり支払いの段になって被告からなかなか支払いがされず、本件の提訴に至ったようで、原告の気持ちもわからないわけではありませんが、有料での医師の紹介を行うにあたり必要な許可も得ていないというのでは、それで専門の経営コンサルティングと言われてもな・・・という感じです。

 

 

行政上の許認可を得ていなかったことを理由として報酬請求を拒むということは時折みられる紛争の類型ですが、そのことのみをもってて直ちに公序良俗違反となるということではなく、立法趣旨や一般社会に及ぼす悪影響の程度などを総合的に考慮して判断されるべきものとされています。