http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161117/k10010772891000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_027

 

 

今月、山形地方裁判所鶴岡支部で開かれた裁判で、監禁などの罪に問われている被告の男が、証人として出廷した被害者の女性の首を絞めるなどして、けがをさせたとして傷害の疑いで逮捕されました。裁判所は、証人が被告から被害を受けたことは大変遺憾だとして、再発防止に努めるとコメントしています。(11月17日NHKニュースウェブから引用)

 

刑事裁判の中でも特に性犯罪に関しては,被害者保護の措置として,法廷での証言の際に遮蔽措置(ついたて)が置かれて,被告人,傍聴人から被害者(とされる)として証言する証人が目に触れないようにする措置が取られることが一般的です。刑事訴訟法157条の3に規定があります。

 

刑事訴訟法第157条の3 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
○2  裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

 

法廷というのはわりと狭いもので,被告人が座っている位置にもよりますが,被告人が一気に駆け出して刑務官の制止が間に合わなかったとするとアッという間に証人のところまで達してしまうと思いますが,それにしても被告人に証人のところまで行かれてしまい首を絞めるという行為まで許してしまった刑務官側の責任は大というほかはないでしょう。

 

 

なお,前記の条項ですが,例によって規定が長くて分かりにくいですが,「被告人とその証人との間で」(1項)とされていますので,遮蔽されるのはあくまでも証人と被告人であって,証人が証言する姿を確認するために,弁護人と証人との間に遮蔽措置が取られることは許されないということになります。

このため,遮蔽のためのついたてを設置する際には,弁護人から証人のことが見えるかどうかなどを確認しながら位置や角度などを調節することになります。

 

 

弁護人が証人の証言する姿を確認するためといいましたが,証人尋問というのは単に証言ということばだけが大切なのではなく,証言する証人の挙動その他の様子を観察してその信用性を,弁護人だけではなく検察官や裁判官も,これを確かめるという作業である・・・と思っています。

しかし,私が経験したとある性犯罪の証人尋問では,被害者とされる女性がマスクをして証言しようとしたので,私はマスクを外すように裁判官に求めましたが「問題ない」といって認められませんでした。

今更ながら口惜しいことですが,マスクで顔を覆い隠しながら証言することを許した裁判官に対して大変な不信感を持ったものです。