判例時報2306号で紹介されている事例です(東京高裁平成27年9月24日判決)。

 

 

外国で取得した判決について我が国においても効力を認められるためには,民訴法118条に規定する要件を満たしている必要があり,外国判決に基づいて強制執行しようとする者はまず日本の裁判所から外国判決に基づいて強制執行することを許す旨の承認判決をもらわなければなりません。

 

(外国裁判所の確定判決の効力)
民事訴訟法第118条  外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。
 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
 相互の保証があること。

 

民訴法118条1号,2号は手続き的な要件,3号,4号がないように関する要件となり,本件では2号の要件が問題となりました。

 

 

すなわち,本件は,カリフォルニア州に留学し語学を学びながら現地の印刷工場で働いていた日本人が,一緒に働いていたアメリカ人を業務中の過失でケガをさせたとして,アメリカ人がカリフォルニア州裁判所に提訴し,勝訴判決を得たというものですが,その際の裁判所からの呼出状等に日本語訳が添付されていなかったことから,敗訴した被告である日本人が「必要な呼出」を受けたといえるのかどうかが問題とされました。

 

 

訳文の添付という点に限らず,諸外国において訴訟の開始を告げる呼出状の送付については,送達についてやかましい日本の裁判所とは異なって,普通郵便で送付していたりわりとルーズになされていることがあり問題となることが多くあります。

 

 

この点に関する平成10年の最高裁判決では,必ずしも我が国の送達の規定に従ったものである必要はないが,被告が現実に訴訟の開始を知ることができ,かつ,その防御権の行為に支障がないものでなければならないと判示避けています。

 

 

本件一審では,日本人被告の語学力などの点から,民訴法118条2号の要件を欠いていたとして,アメリカ人原告の敗訴と判断しましたが(すなわち,カリフォルニア州裁判所の判決に基づいては強制執行することができない),控訴審においては,日本人被告が語学学校に通いながら就労し,音楽活動をするなど英語によるコミュニケーション能力があったものとされ,送られてきた書類が事故に関する訴訟の書類であったと認識できたはずであると,一審とは逆の判断がされています。