http://www.yomiuri.co.jp/national/20161102-OYT1T50129.html?from=yartcl_blist

 

受信契約義務を定めた放送法64条1項について初の憲法判断を示すほか、受信契約はどのような場合に成立するかについても初判断を示す見通し。判断によっては、契約対象世帯の約2割に上る未契約者からの受信料徴収に影響を及ぼす可能性がある。(11月2日読売新聞オンラインから一部引用)

 

放送法64条1項本文では、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と規定されていますが、法律を学んだものの常識としては、「契約」というのは当事者双方(この場合で言えばNHKとテレビ設置者)の合意があつて初めて成立するものであり、契約するかしないかは当事者の自由であるというのが一般常識であり(契約自由の原則)、拒否する自由がなく、締結を義務付けられているものは、そもそも「契約」ではないといえると思います。
似たような話で、電気やガスのようなライフラインなどについては(これらに限られず、一般消費者が企業からサービスを受けようとする場合は交渉の余地なく決められた内容の条項を押し付けられているという意味ではどれも似たようなものですが)、あらかじめ約款などが定められており、これを受け入れなければサービスを受けられないということになっていますが、あくまでも契約するかどうかは自由なので、一応、契約自由の原則が守られているという建前となっています。

 

 

この点で、NHKとの「契約」自体を義務付けている放送法の規定は、法律の一般原則からみると、とても特異なものということができます。

端的に「テレビ設置者は設置の時からNHKに対し受信料を支払わなければならない」と規定すればわかりやすいのですが、あくまでも公権力(国)から独立した一事業者であるNHKが受信料を受け取るものである以上、「契約」という用語を持ち込まざるを得なかったものと思われます。

 

 

また、「契約しなければならない」という書きぶりからすると、契約するまでのブランクの期間があるわけですから、契約するまでの間は受信料の支払い義務は発生しないように読めますが、負担の公平性という点からするとそれでよいのかという問題もあり(この観点から、下級審においては即時に支払い義務ありとしたり、2週間経過したら契約したことになって支払い義務が発生するとしたりするものがあるなど混乱が生じています)、いつから受信料の支払い義務が発生するのかという点についても重要な論点ということになります。

 

 

私としては、企業からの広告収入に頼らず、国民から広く受信料を募り、公平公正に放送を行うNHKの存在は大切だと思いますが、法律の規定の仕方と齟齬が生じているように思いますし、この点について、法律解釈の権威である最高裁がどのような判断を示すのか興味があるところです。