http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161015/k10010730571000.html

虐待などを理由にした子どもの「一時保護」について、判断を家庭裁判所に委ねる方向で検討が進められていますが、厚生労働省の調査で、回答のあった全国の児童相談所のほぼ半数が「家庭裁判所の関与は必要ない」と考えていることがわかりました。子どもの虐待の問題では、児童相談所が子どもを保護者から引き離す「一時保護」をためらうことで、虐待が深刻化するおそれが指摘され、厚生労働省の検討会で、判断を家庭裁判所に委ねる方向で議論が進められています。
この問題をめぐり、厚生労働省が全国の児童相談所を対象に、その必要性を聞いたところ、回答のあったほぼ半数にあたる92か所が「家庭裁判所の関与は必要ない」と回答しました。
理由として、「現在の態勢で新たな制度に対応できるかわからない」とか、「司法の手続きに時間がかかり、対応が遅れるのでないか」などの懸念が出されたということです。
(10月15日付NHKニュースウェブから一部引用)。

 

現在のところ、児童虐待が疑われ児童を監護者から引き離すなどの措置(一時保護措置)をとる場合には、特に家庭裁判所の関与はなく、児童相談所長の判断において行うものとされています。

高齢者虐待防止法における高齢者虐待のケースで保護の措置を取る際も同様です。

 

 

これはいちいち裁判所に申し立てをしていると、それだけ時間がかかりますし、緊急を要する場合には取り返しのつかないことになることも想定されるため、行政の判断で迅速に行うようにするためです。

今回の調査において、家裁の関与を不要とする児童相談所の多くの理由としても挙げられているようです。

 

 

ではなぜ厚労省が家裁の関与を検討しているかといえば、児童相談所が一時保護に二の足を踏み、適切に一時保護がなされておらず児童の生命身体の安全の確保がなされていないという問題意識があることから、児童相談所の判断にお墨付きを与えるために家裁に関与してもらったらどうかということなのだろうと思います。

 

 

しかし、やはり、仕組みの建て付けとしては、一時保護を発動する際には児童相談所(行政)のみの判断でできることとして、その後の、一時保護の措置に対する不服申し立てや措置の延長、解除に関しては、家裁の関与を認めるというのが良いのではなかろうかと思います。

この点については高齢者虐待における措置についても同様で、措置を取った後にどのように解除(再統合)するのかしないのかということについては悩ましいところですが、現在のところ、この点について家裁が関与しているわけではないので、措置を取られた不服のある側(監護者)としては納得のゆかないところもあろうかと思われます。

 

 

もっとも、一時保護について行政の判断を尊重するという現状の仕組みを維持するのであれば、問題とされている一時保護を躊躇しているのではないかという点についてきちんと改善がなされるべきであろうと思われます。

 

 

そして、仮に、事後的に家裁の関与を認めたとしても、家裁としては、行政の判断を単に尊重するというのではなく、調査官の活用、児童等に国費で代理人をつけることができるようにしたり、当事者に対する丁寧な指導や仮に措置を解除するとしても諸種の条件を付するなどしたうえで決定するなど、今後虐待が起こらないようにするため柔軟で実質的な手続きを行うことが期待され、法改正する場合にもそのようなことが可能となるような規定を盛り込むべきであるものと考えられます。

 

 

 

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