判例時報2300号で紹介された裁判例です(東京地裁平成27年10月27日判決)。

 

営業トークに乗せられて複合機やソフトなどの長期のリース組んだところ,不要なものであることが分かったことから解約したいということはよくあります。

 

その際に問題となることがあるのは,当該契約が「営業」のためにしたものであるかどうかということです。営業,すなわち,事業活動のために行った契約であれば,個人である消費者保護を目的とした法律の規定(クーリングオフなど)は適用されないとされていることがあります。

 

 

例えば,本件で問題となった特定商取引法は,訪問販売などの際のクーリングオフを規定していますが,営業のために契約がなされた時は適用除外とされています(特定商取引法26条1項1号)。

 

 

特定商取引に関する法律
第26条  前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
 売買契約又は役務提供契約で、第二条第一項から第三項までに規定する売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供

 

本件は,家族と住む2階建ての建物の1階で先代から数えて創業50年に亘り喫茶店を営んでいた個人が,訪問営業に訪れた営業マンとの間で,それぞれ,電話機とファクスについてリース契約したものの,その後,クーリングオフを主張したという事案ですが,リース会社側は,営業のためになされたものだとして争いました。

 

 

契約書自体は,喫茶店の屋号を契約者として記入していましたが,裁判所は,「営業のため」かどうかは,形式的な記載ではなく,実質的に判断すべきだとしたうえで,本件において,喫茶店は店主と妻が稼働しており,喫茶店の客は近隣住民の固定客がほとんどであり,仮に出前の注文があったとしてもリースした電話機ではなく店主の携帯電話に直接されることが通常で,ファクスも子供のクラブ活動の連絡で使用され業務に使用されていることはないことなどから,「営業のため」なされた契約とはいえないとして,クーリングオフを認めました。

なお,電話番号は地元の飲食マップに記載されており,リース料金は喫茶店の経費として計上されていましたが,これらの点は結論に影響ないとされていますす。

 

 

なお,本件ではリース契約してからずいぶん時間が経過してからクーリングオフがされていますが,クーリングオフは法定書面が交付されてからその期間を計算するため,法定書面が交付されていない本件においてはなおクーリングオフ可能とされたものです。

 

 

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