判例時報2300号で紹介された事例です(大阪高裁平成27年12月11日判決)。

 

 

本件は,生コンクリート製造販売会社の事業を製造部門と販売部門とに分けるという会社分割が行われたところ,会社と対立していた労働組合に属する従業員のみが分割会社に残され,その後,当該分割会社は事業閉鎖とされ当該従業員たちが会社分割を行った代表者のほか,それに共謀したとして司法書士を訴えたという事案です。

会社分割の手続きは複雑ですが,ことに,労働者(従業員)の扱いについては別途法律が定められており,新たに設立される会社(新設会社)の事業に主として従事している従業員については分割計画書に移籍する者として記載されいれば移籍となるが従業員が異議を出すと元の会社(分割会社)に残ることとなり,新設会社の事業に主として従事している以外の従業員については計画書に記載されれば移籍となるもが,記載がなければ何の手当もなく分割会社に残る状態となることとされています。本件では,新設会社の事業は生コンの販売事業とされ,分割会社の事業は輸送事業とされ,輸送事業に従事していた組合所属の従業員は分割計画書に記載されず,そのまま分割会社に残留という扱いとなった後に事業閉鎖をしたということになります。

 

 

一審は,会社代表者については,組合所属の従業員の排除を目的とした会社分割を行ったとして損害賠償を命じましたが,司法書士については,共謀したと認められないとして請求棄却としました。

 

 

しかし,控訴審においては,会社分割に当たって,司法書士が組合とのトラブルがあることをや分割後会社に残るのは組合所属の従業員であることを聞かされていたことや,会社分割の無効の訴えが起こせる期間制限について代表者から質問されて回答していることについて,従業員排除を目的としていたからこそそのような質問がなされたと考えるのが自然であると評価できるとしたこと(このあたりの評価は一審とは異なる判断となっています),従業員排除を目的とした会社分割(先ほどの説明をすぐに理解できる人はそうはいないはずです)などという方法を発案できる者は代表者の周りには当該司法書士しかいないことなどから,司法書士の共謀を認定し,司法書士に対しても損害賠償を命じました。

 

 

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