判例タイムズ1425号で紹介されてた最高裁の判例です(平成28年3月4日判決)。

 

 

株主総会でなされた決議は、招集の方法が法令や定款に違反しているときなど一定事由がある場合には、決議から3か月以内に限り、取消の請求を裁判所に求めることができるものとされています(会社法831条1項)。

 

取消請求できる総会決議の中に議案を否認した決議も含まれるのかというのが本件の争点です。

 

 

本件は、ある株式会社(発行済み株式総数300株)の株主A(150株保有)兼取締役が、他の株主兼取締役2人B、C(各75株保有)に知らせずに、2人の取締役解任のための臨時株主総会を開催しましたが、議案は否決されました(Aは過半数の株式すら保有していないのにどうやってこの決議を通そうとしたのかは不明です)。

 

 

その後、Aは、B、Cの取締役解任の訴えを提起しましたが、そのための要件としては「総会において解任の決議が否決されたこと」が必要となるところ(会社法854条)、B、Cは、先になされた総会における解任の否決決議は、招集することを事前に知らされないという手続き的な違反があるもので総会の取消を請求し、Aが提起した取締役の解任の訴えの要件を欠くものだとして争いました。

 

 

文言上は特に限定がないので、否決決議であったも取消の対象となると考えてもよさそうな気もしますが、総会の取消訴訟を出訴期間を3か月に限定しているのは、総会決議により議案が認められた場合には第三者に対する関係でも効果が発生し、以降、法律関係が積み上げられていくことになるので、なるべく早期に法律関係を安定させるという趣旨があるところ、否決決議ではそのような関係が発生することはなく、それまでの状態が継続するに過ぎないので、取消の訴えの利益を認める必要はないとして判断されました。

 

 

なお、取締役解任の訴えを提起されたB、Cとしては、その訴訟の中で個別的に総会決議の効力を争うことは可能と考えられており、B、Cにとって特に不利益はないとされています。

 

 

 

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