http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160803/k10010620121000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_022

 

沖縄で20歳の女性を殺害した罪などに問われているアメリカ軍の軍属が「公平な裁判を受けられない」として東京で裁判員裁判を開くよう求めたことについて、最高裁判所は「適正な裁判が保障されている」として退ける決定を出し、沖縄で裁判が開かれることになりました。
被告側は「県民が予断を持っていて公平な裁判を受けられない」として、裁判員裁判の審理を那覇地方裁判所から東京地方裁判所に移すよう求めていました。
これについて最高裁判所第2小法廷の小貫芳信裁判長は「裁判員制度では公平性を確保できるように配慮された手続きで裁判員が選ばれるため適正な裁判が保障されている」として、3日までに申し立てを退ける決定を出しました。また千葉勝美裁判官は「沖縄県の特殊事情や県民のさまざまな思いがあったとしても、裁判員として公正な裁判の実現を目指すことは十分に信頼できる」という意見を述べました。
(8月3日付NHKニュースウェブから一部引用)。

 

民事事件においては、裁判所の管轄ということはよく問題となり、遠方の裁判所に訴訟提起されたような場合には、移送の請求を出したりして、訴訟を担当すべき管轄裁判所がどこであるべきかというところから争ったりします(ただ、最近は電話会議やテレビ会議のシステムが発達しているため、遠方であるというだけでは移送の申立の理由としてはやや理由づけとして弱くなってきているように思います)。

 

 

他方、刑事事件においては、管轄や移送に関する規定はあるものの、それらについて争うということは滅多にありません。

 

 

今回の問題でいうと、刑訴法17条1項2号に規定があります。

 

刑事訴訟法第17条  検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
 管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
 地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
○2  前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。
 

 

沖縄の基地問題、それに付随する米軍兵士らによる犯罪の問題は政治問題化しており、県民集会も開催されるなどして感情的にも昂ぶっているものがあるとして、沖縄での裁判は冷静になされない恐れがあるという被告人側の主張も頷けるようにも思います。

 

 

最高裁の言っていることはやや理想論のような気がしないでもないですが(もっとも、そういう状況であるからこそ、逆に「公平な裁判となるように心がけよう」と留意するようにも思われます)、弁護側としては、裁判員の選任にあたっての予断偏見がありそうな候補者を排除するなど可能な限りの一定の防御はすることができそうです。

 

 

今回の事案というのは刑訴法17条1項2号に規定されている要件によくあてはまりそうな気もしますが、この件で管轄移送が認められないということであれば、今後、この規定に基づいて移送請求が認められるというケースはほぼありえないのではないかと思います。

 

 

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