判例時報2265号で紹介された事例です(東京高裁平成27年5月27日判決)。

 

 

本件は、交通事故の被害者側が、損害賠償請求権の元金に対し発生した利息も元金に組み入れられたと主張して元利金を請求したという事案です。

 

よく資産運用の世界で、複利効果はすごいんだなどと言われることがありますが、元金据え置きでその元金に対して利息が付けられる単利ではなく、発生する利息が元金に組み入れられていくと、増額された元金に対して金利が付く(複利)ことになりますので、それだけ有利になるわけです。

 

 

法律的には、当然に複利になるということはなく、特約で決めておくか、又は、民法405条により、利息の支払いが1年以上延滞して場合に、催告しても支払いがない場合に元金に組み入れすることができるとされています。

 

(利息の元本への組入れ)

民法第405条  利息の支払が一年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。

 

本件では、交通事故の被害者が、事故から3年以上経過した後に、内容証明郵便により損害賠償金と利息を支払うように催告し、支払いがなかったということで、利息の元金組み入れを主張しました(請求した元金が約690万円、元金組み入れ後の元金として約750万円超)。なお、交通事故の不法行為に基づく損害賠償請求において、遅延損害金(年5パーセント)は事故発生日から発生するとされています。

 

 

判決では、民法405条の法定重利の規定は、いつまで経っても利息を支払わない債務者に対して債権者を保護するための規定であるところ、不法行為の損害賠償請求については不法行為があった時(交通事故であれば事故日)から遅延損害金がはせっいするとされていてすでに債権者(被害者)保護が図られていること、また、不法行為の場合には賠償すべき損害額がはっきりしないことが多いこと、本件で被害者が自分の計算で請求した損害額は裁判所で認められた金額の3.6倍にも上る過大なものであったこと、また、事前交渉の段階で加害者側から提示を求められた実収入額の資料の提示も拒否していたこと(加害者側で計算したうえで利息も含めて支払うということができない)などから、本件では民法405条により法定重利を認めることはできないとされました。

 

 

 

■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ にほんブログ村

■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)

 

■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。