http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160719/k10010601351000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_012

3年前、東京都内の小学校に通う2年生の児童が、面識のない4年生に行動を注意されたうえ、9階建てのマンションの屋上から飛び降りるよう強要され、植え込みに転落して大けがをしました。
被害者の児童と両親が賠償を求める訴えを起こしたのに対して、加害者の親は、「子どもの行動は予測できなかった」などと主張しました。
19日の判決で東京地方裁判所の小野瀬厚裁判長は、「加害者の親は、子どもが問題行動を起こしたときに注意するなど相当の努力を払ってきた」と認めました。その一方で、「子どもには自分の思いどおりに他人が動かないと強い怒りを抱く傾向があったにもかかわらず、その傾向を踏まえて専門家に相談するなど十分な対応を取っていたとは言えない」と指摘し、加害者の親に対して1000万円余りを支払うよう命じました。
(7月19日付NHKニュースウェブから一部引用)。

 

民法714条1項では、未成年者などで責任無能力者(行為の善悪の区別がつけるだけの判断能力がない者)がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う、とされ、ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない、とされています。
 
 
未成年者に責任能力が認められるかどうかはケースバイケースであるものの、小学校4年生程度(10歳くらい)であれば責任無能力と判断されることが多いものと考えられます。
 
 
本件でも加害者の子どもについて責任無能力者と判断されたものと思われますが、その場合、民法714条1項本文により、その親権者(民法820条)は法定監督義務者として、原則として損害賠償責任を負うこととなっています。最近話題となった認知症の踏切立ち入り事故で問題となった成年後見人などとはことなり、親権者が法定監督義務者であることには争いがありません。
 
 
民法714条1項但書により、監督義務者は監督義務を果たしたことを立証すれば責任を免れることになっていますが、従来、この立証が認められることはほとんどないものと考えられていました。
未成年者(子ども)の日常生活のありとあらゆる場面を想定して監督しなければならないと考えられていて、少し注意していたくらいでは監督義務を果たしたことにはならないされていたのです。
 
 
ただ、最近、最高裁で判決が出て(サッカーボール事件 平成27年4月9日判決)、「親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は,ある程度一般的なものとならざるを得ないから,通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は,当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り,子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。」と判示され、このケースでは子供が放課後に校庭でフリーキックをして遊ぶことは通常危険性があるとは言えない行為であるから、日頃から危険な行為はしないようにしつけていたという両親の注意程度でも監督義務は果たされていたと判断されました。
 
 
本件においては、9階建てのマンションの屋上から飛び降りるよう強要したというもので、その行為自体が危険性のあるものですので、従来からの考え方通り、容易には親権者の監督義務が果たされていたとは認めないという判断となったものと思われます。

 

 

ところで、こういったケースで、親権者が個人賠償保険(契約者や同居の親族が過失により第三者に対し損害を与えた場合の保険)に加入していたような場合、保険金が下りるかどうかということですが、素直に考えれば、親権者がその過失(監督義務の不履行)によって被害者に対し損害を与えたのですから、保険約款に定められた保険金はおりるものと考えられます。

 

 

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