判例時報2293号で紹介された事例です(大阪地裁平成27年9月17日判決)。

 

 

本件は、訪問介護サービス付きの高齢者専用の賃貸住宅を利用していた高齢者が、夕食時に誤嚥を起こして死亡し、相続人が施設事業者に対し損害賠償請求を求めたという事案です。

このタイプの施設は、基本的には賃貸借契約であって自立度の高い方が利用するもので、契約内容にもよりますが、訪問介護サービスというのも、見守りというものに近いものであることも多いものです。

 

 

本件の高齢者も、契約当時は、判断能力がひどく衰えているということはなく、契約自体が判断能力がない状態でなされたものであるという主張は退けられています。

 

 

死亡の約半年前からそれまでよりも少し状態が悪化したようで、要介護度が3から4に上がり、また、医師からも嚥下に関して見守りが必要という意見が出され、サービス実施記録にも「誤嚥が心配」という記載がされるまでになっていました。

 

 

しかし、介護計画の策定自体は、本件事業者が建てたものではなく別の事業者が立てたもので、本人も自分で好きなものを買って食べていたという状況であったこと、誤嚥に関しても前記の記載以外に本人や親族などからその危険性を訴える申し出がされたことは記録上見当たらないこと、契約上、夕食時間帯は訪問時間とはされていなかったことなどから、本件で高齢者が誤嚥を起こして死亡したことについて施設事業者に責任はないものとされています。

 

 

これが要介護度が高く、誤嚥について注意を払わなければならないことが認識されていたようなケースであれば具体的事情によっては判断はまた別のものとなっていたものと思います。

 

 

なお、本件の施設では、預り金の処理が不明朗であるとして、自治体からの立ち入り調査などを受けており、使途不明の預り金の件に関して4万円分のみ損害賠償請求が認められています。

 

 

 

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