判例タイムズ1424号で紹介された事例です(東京家裁平成27年6月17日審判)。

 

婚姻費用や養育費の金額を決める際に、住宅ローンをどのように考慮すべきかというのは実務上よく問題となることです。

いろいろなパターンがありますが、本件では、夫が暮らしていた自宅(夫が住宅ローンを負担)を出る形で別居が開始され、妻と子供たちは別居後2年間はその自宅で生活していたというもので、その期間の婚姻費用を算定するにあたり、夫が支払っていた住宅ローンをどのように考慮すべきか否かということが問題となりました。

 

 

このような場合、大きく2つの考え方があり、一つは、住宅ローンの支払額を特別経費として義務者の収入から差し引いてしまうという考え方があります。住宅ローンの支払額は大きな金額であることが多いので、この場合、義務者の負担すべき金額が小さくなることが多い一方で、住宅ローンを支払うことにより不動産という資産を有することになるので、そのバランスが悪いのではないかということが指摘されています。

 

 

もうひとつの考え方としては、権利者・義務者双方の収入や子供の数・年齢をあてはめる婚姻費用・養育費算定表によって割り出された権利者の金額の中から、住居費相当額については、実際には権利者は住居費の支払をしていないのだから(義務者が住宅ローンを支払っているので)、その分を差し引くという考え方です。

 

 

本件では、後者の考え方に立脚し、問題となった上記の期間(夫が住宅ローンを支払っている自宅に妻らが居住していた期間)の標準婚姻費用としては月額14万円となるところ、算定の基礎となったこの中に含まれる住居関係費(家計調査年報 もっともこの資料自体が平成10年から14年のものであり資料として古いという指摘もなされているところですが)が約3万円弱であることから、この分は控除したうえで月額11万円が妻が得られる婚姻費用であると算定されています。

 

関連テーマとして子どもが私立に通っている場合の婚姻費用・養育費の負担の在り方というものも同様の問題があります。

http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12087442700.html

 

 

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