判例タイムズ1423号で紹介された事例です(札幌高裁平成27年7月28日決定)。

 

本件は遺産分割に当たり、寄与分が認められるかどうかが争点の一つとなった事案です。

 

寄与分というのは、民法904条に規定があるもので、被相続人の財産の維持増加に特別の寄与があった相続人に対して、その相当する分を優先的に相続させるという制度です。

 

 

遺産分割の協議や調停等においてはよく出てくる主張ではありますが、主張したとしても、認められるためには結構ハードルが高く、多くの場合、「言いっ放し」で終わっていることも多いものです。

 

 

なぜかというと、寄与分が認められるためには、「財産の維持増加」に寄与したということが必要であるところ、ほとんどの場合に寄与分として主張されていることの多くは、被相続人の生前に同居して面倒を見たとか、苦労したかと、そのようなレベル苦労話であることが多く、「財産の維持増加」という効果につながりにくいものが多いためです。

 

 

また、寄与分の主張に限ったことではないのですが、特に寄与分の主張をするのかどうするのかはっきりさせておかないと審理が長引き、混乱するということもあるため、寄与分の主張については期間制限を求めることができることとされています(家事事件手続法)。

 

民法第904条の2  共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
(3項以下略)
 
家事事件手続法第193条  家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。
 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。
(3項以下略)

 

本件は、相続人の一人が、被相続人が営んでいた簡易郵便局を手伝うことで、その財産の維持増加が図られたとして寄与分の主張をしたというもので、原審はその主張を認めましたが(遺産の3割相当額である約3000万円が認められているので大きな金額です)、抗告を受けた高裁では、事業を手伝う対価として相応の対価を得ていたことや家賃や水道光熱費などの負担は同居していた被相続人が負担していたことなどから、特別な寄与があったまではいえないとして、寄与分の主張を退けるという決定をしています。

 

 

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