判例タイムズ1423号などで紹介されている事例です(東京家裁平成27年4月14日審判)。

 

親権者から子どもに対する虐待などに対応するら制度として、従来から親権喪失という制度がありましたが(民法834条)、平成23年の民法改正により、その要件や効果を軽くする形で親権停止という制度が設けられています(民法834条の2)。

イメージとしては、親権を長期的に奪ってしまう親権喪失に対し、親権停止は一時的に停止させるという違いがあります。

 

民法第834条  父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

 

第834条の2  父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
 

 

本件は、生まれたばかりの月齢の赤ちゃんがおう吐などを繰り返すようになったので、病院で診てもらったところ、手術が必要ということになったものの、親が宗教上の理由から輸血を拒否したという事案で、児童相談所長の申立により親権停止の審判と保全処分が申し立てられ、保全処分が認められたという事案です。保全処分というのは、審判を待っていたのでは時間がないという緊急性がある場合に申し立てるというものです。

 

 

本件では病院はなるべく無輸血で手術を実施するものの、手術中に輸血が必要となった場合に備えて、当然、親に対して説得はしたようですが、前記のように親は、輸血の必要性は認めたものの、宗教上の理由から、輸血について同意することはなく、ただ、手術中に輸血の必要が生じた場合に親権が一時的にない状態にしておいてくれれば致し方ない(自分たちが判断したことではないので宗教上の問題は生じないという理屈でしょうか。キリスト教信者の武士が自殺に当たる切腹はできないので斬首してほしいというのと同じようなロジック)という意向を示したこともあり、本件申し立てに至ったようです。

 

 

本件では親権の停止とともに、児童相談所長が職務執行者(停止期間中に親権を代わりに行使する)として選任されています。

 

 

■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ にほんブログ村

■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)

 

■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。