判例タイムズ1423号で紹介された最高裁判決です(平成28年1月12日判決)。

 

 

反社会勢力の排除ということが叫ばれていますが、政府が反社会勢力との取引の遮断を指針として定めたのが平成19年のことで、これを受けて金融庁が監督指針として反社会勢力との関係を挙げたのが平成20年3月です。

 

 

現在では、契約書などにも「反社会的勢力ではないこと」が契約の条件であることが明記がされ、公共工事の受注からや金融機関での口座開設から融資、賃貸借契約、ホテルやゴルフ場の利用契約などありとあらゆる場面で反社会勢力の関与が排除されるようになっていますが、これらは結構最近のことで、それまでは、反社会勢力であるかどうかということは頓着されてこなかったわけです。

 

 

この点で、金融実務において問題となっていたのは、金融機関からの融資に際して、信用保証協会が信用保証した後で、主債務者が反社会勢力であったことが判明した場合に、信用保証協会は保証の実行を拒否できるのかという点でした。なお、以前の契約書では金融機関と信用保証協会との間の契約書にその点について明記がないことが多く、トラブルのもととなっていました。

 

 

今回の最高裁の判決では、契約書に明記がない以上、「主債務者が反社会勢力でないこと」

が契約の重要な要素とまでなっていたとはいえないとして、錯誤があったとして信用保証契約が無効になるということまでにはならないと判断されました。

 

 

ただ、論旨には続きがあり、契約が無効になることはないとしても、金融機関にも信用保証協会にも主債務者が反社会勢力ではないかどうかについてきちんと調査すべき義務はあり、金融機関が調査義務を怠っていたと言えるようなときには、「保証契約に違反した」として信用保証協会は保証の履行を拒めるとしました。

 

 

錯誤による契約無効というのは、いわば、0か100かという極端な列論しか導けませんが、調査義務に違反したかどうかというのは様々な事情を考慮して柔軟に判断することができるというメリットがあるように思います。

 

 

 

 

■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ にほんブログ村

■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)

 

■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。