判例時報2288号などで紹介された事例です(仙台高裁平成26年11月28日決定)。


離婚や養育費などの問題を話し合う家事調停事件の管轄は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か双方が合意で定める家庭裁判所に管轄権があるとされています(家事事件手続法245条1項)。


当事者双方が同じ地域に住んだままであれば特に問題はないのですが、男女関係の問題であれば、関係解消後に当事者の一方が田舎に帰ったりして双方の住所地が遠くになってしまった場合などにはどこの家裁で申し立てるのか困ったりすることがあります。
当事者双方で管轄の家裁を合意することもでき、この場合、当事者双方の住んでいるところが沖縄と北海道であるが、双方の代理人が東京であるということで東京家裁を合意管轄とするということもあり得ることになります。


本件は、仙台で生活していた男女の関係が破たんし、男性がさいたまに転居し、女性が認知等を求めて仙台家裁に調停を申し立てたところ、男性側が管轄はさいたまの家裁にあると主張したというものです。


仙台家裁では、原則通りに、家事調停の管轄は相手方(この場合は男性)の住所地を管轄するさいたま家裁に移送する(さいたま家裁で調停をする)という決定をしたのですが、高裁では、そのまま仙台家裁で調停をすべきだと判断しました。


実は、本件では、先に男性側が男女関係解消の家事調停を仙台家裁に申し立てており、その第一回調停期日には男女双方とも出席し、その際に女性側が認知や出産費用の負担を求めたのに対し、男性側がDNA鑑定を求めるなどしたという事情がありました。


普通に考えて男性が申し立てた男女関係解消の調停と女性側が申し立てた認知などを求める調停は同じ裁判所で行うのが合理的で、このような考え方から、高裁では、もともと仙台で生活していたという事情、女性側が調停を申し立てるに至った経緯や男性側が埼玉でないと出頭できないという理由には合理性がないことなども踏まえて、女性側が申し立てた調停も仙台家裁で調停すべきだと
結論付けました。


なお、管轄がない場合であっても特に必要な場合には「自庁処理」といって、自ら処理することができるものとされており(家事事件手続法9条1項但書)、自庁処理するかどうかは基本的には裁判所の裁量であるものの本件では裁量を逸脱乱用したものであると評価されました。



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