判例時報2279号で紹介されていた事例です(東京地裁平成27年5月25日判決)。



任官任検して数年経過した裁判官(判事補)や検察官が,職務経験に関する法律に基づいて,弁護士として活動するということがあります。キャリアシステムによる人事異動によりその世界しか知らないということにならないように,裁判官や検察官に在野である弁護士としての活動もしてもらって,より一層社会経験や市民感覚を陶冶してその後のキャリアに役立ててもらいましょうということですが,弁護士が一人,二人でやっているような昔ながらの典型的な法律事務所で弁護士になるということは(たぶん)なく,たいていが,上場企業の企業法務をやっているような大きな法律事務所であることが多いものです。

給料はその事務所が出すことになっていて(公務員様の研修なので修習生の給費と違って国が出してもよいようにも思うのですけれどね。),任官任検した同期と同程度の収入が保証されるようになっていたり,共済年金なども不利にならないように,地裁事務官や法務省職員としての身分を保持したまま弁護士となることなど配慮されていたりして,至れり尽くせりのようです。



本件は,職務経験として弁護士となっていた裁判官(判事補)が,株主総会の決議取消訴訟で会社側代理人の一人として関与し,その際に会社側から提出された証拠に虚偽があった,そのような訴訟活動を代理人として行ったことは,公務員である裁判官としての活動なのであるから国家賠償請求の対象となるとして国に対して国賠請求,また当該裁判官に対しては個人として不法行為に基づく損害賠償請求がされたというものです。



この論点について,裁判所の判断としては,あくまでも弁護士としての業務であった公権力の行使には当たらないとして国賠請求は成り立たないこと,また,本件において提出された会社側の証拠には一部事実と異なる反訳がされている部分が認められるものの,弁護士(裁判官)が意図的にそのような証拠を提出したとはいえないことなどから弁護士(裁判官)個人に対する不法行為に基づく請求についても棄却しました。






■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村



■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。