http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160205/k10010398471000.html


三重県名張市の特別養護老人ホームの嘱託の医師が、日付を入れていない死亡診断書をあらかじめ作って施設側に渡し、死亡確認をせずに遺族に交付したとして、警察はこの医師など3人を医師法違反の疑いで書類送検しました。
(2月5日付NHKニュースウェブから一部引用)。


医師法違反ということで調べてみると,どうやら,検案を自らしないで検案書を交付したという医師法20条違反(50万円以下の罰金)に問われる可能性がありそうです。



医師法第20条  医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。



文書偽造の罪ではないかという点については,偽造というのは,本当はBが書いた(作成した)ものであるのに,Aが書いた文書であるとすることをいうので,本件の場合,当該医師が自ら書いた書類であるということについてはウソをついているわけではないので偽造罪は成立しないということになります。



文書の作成者についてウソをついていなくても,その書いてある中身がウソである場合,作成者が公務員であれば罪(虚偽公文書作成罪)に問われますが,私人であれば原則として罪に問われません。



しかし,本件では,そもそもウソの日付を補充する目的で日付空欄の書類を作っていたわけではなく,死亡日付自体は後から看護師が正しいものを記入していたようですし,内容が虚偽(ウソの日付)の文書を作成したという訳でもはなさそうなので,医師が公務員であったとしても虚偽公文書作成罪は成立しないものと考えられます。もっとも,死亡日付自体は合っていたとしても,医師自ら検案しないで死因についてはどのように記載していたのか,内容虚偽の書類が作成されるかもしれないことを承知で書類を作っていたのであればどうなのだろうかということは問題となりそうです。



さきほど,私人であれば,内容が虚偽の文書を作成したとしても罪に問われないと書きましたが,公務員ではない私人たる医師が,公務所に提出するべき診断書や検案書等について虚偽の内容を記載した場合には,特別に,犯罪が成立することになっています(刑法160条)。



刑法第160条  医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、三年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。




なお,医師が公務員である場合には,虚偽診断書等作成罪ではなく,虚偽公文書作成罪が成立し,より一層重く処罰されることとなると解釈されています。



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