判例タイムズ1418号などで紹介された最高裁の判決です(平成27年9月15日)。



本件は,平成14年6月に,簡易裁判所の特定調停において,債務者が業者との間で約44万円の債務の支払い義務があることを認めて以降23回の分割払いとすること,債務者と業者の間にこのほかには何ら債権債務がないことを確認すること(清算条項といいます)などを認めた調停が成立し,その後,債務者は約束した分割払いをしたものの,実際には,調停成立した時点できちんと計算していれば約230万円余の過払い金が発生しており,その後の分割払いも必要がなかったものであったとして,既発生の過払金に加えて支払済みの分割金の分も加えて返還請求したというものです。



本件では,調停内容が,本来支払う必要のないものをの支払い義務を認めさせ,利息制限法という法律に反する内容であり,公序良俗に反し無効であるかとどうかが争われ,高裁判決では,調停内容全体が公序良俗違反であり無効とされ,業者に対して全額の支払いが命じられました。



しかし,最高裁では,特定調停が債務者が業者に対して負っている債務の整理を目的とするものであるということから,調停の目的としてはあくまでも債務の清算に限られ,債務者が業者に対して有している過払い金(債権)についてまでは調停の目的ではないということから,「債権債務がないことを確認する」という清算条項の文言について,債務に関する合意としては有効であるが,過払金(債権)についてまでは合意がされていないという限定的な解釈を行い,調停内容自体は公序良俗に反しないとしました。



結果として,調停の時点で既に発生していた過払い金約230万余つにいては清算を合意していない以上なお支払い義務があるとする一方で,調停成立以降に支払った部分については有効な調停条項に基づいて支払っているので無効な弁済とはならず返還請求できないとしました。



本件調停がなされた平成14年当時,業者から必ずしも完全な取引履歴の送付がなされていたわけではなかったことなどの事情も踏まえてのものということのようですが,業者側の不誠実で払う必要のないものを払わされたのにその分については取り戻せないというのも釈然としない思いもします。





【清算条項に関する他の記事】

「本件に関し」

http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-11092737714.html


患者と医師の間で締結された合意書の清算条項の効力が問題となった事例

http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-11584178429.html





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