http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160109/k10010365911000.html



警察によりますと、生徒たちは6日から3泊4日の予定でスキー合宿に来ていましたが、学校では生徒の貴重品をまとめてホテルに預けていて、ホテルの担当者が8日昼前に保管していた場所を確認したところ無くなっていたということです。警察は盗まれたとみて詳しく調べています。
このホテルでは、去年8月にも東京の学習塾の合宿で訪れていた中学生340人の財布や携帯電話などが盗まれる事件が起きていて警察は関連を調べています。
(1月9日付NHKニュースウェブから一部引用)。



昨年8月にも学習塾の合宿で同じような窃盗被害があったということは私も何となく覚えていて,同じホテルでまた似たような事件ということなので,ホテルとしても頭を抱えていることでしょう。

去年の件では荷物をホテルに預けていたのかどうだったか,よく覚えていないのですが,今回は,荷物をホテルに預けていたということなので,ホテル側に責任が発生する可能性があると思います。



ホテル,旅館が客から荷物を預かった場合の責任については商法594条や595条が規定しています。





商法第594条  旅店、飲食店、浴場其他客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物品ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因リタルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 客カ特ニ寄託セサル物品ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物品カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス
○3 客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス

第595条  貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物品ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス

ホテルが客から預かった荷物については,不可抗力以外はホテルの責任とされているので(商法594条1項),荷物を預かった以上はまず免責されることはないということになります。


ホテルに預けずに客室内に置いたままにしてあった荷物が盗まれたりした場合については,原則として客が責任をもって管理すべきものですので,不可抗力だけではなく,ホテル側に過失(不注意)が無かった場合にはホテルは免責されることになります(商法594条2項)。ホテルの従業員がマスターキーを使って客室に入って盗んだり,又は,マスターキーの管理ががずさんでそれを使用されて客室に入って盗難されたりといった場合にはホテル側の責任が発生するということになります。

客室ではあまり見かけませんが,温泉の浴場などでは,「盗難については一切責任を負いません」という告示をしてあることがありますが,そのような告示をしていたとしても,ホテル側に不注意があれば責任を免れることはできません(商法594条3項)。




客がホテルに荷物を預けたとしても,それが貴重品でありホテルとしても管理できないものであれば預かることはできないとして断ったり,預かるとしてもその管理により慎重を期すということが考えられるため,客がお金などの貴重品を預ける場合にその種類や金額などをホテル側に伝えていなかった場合には,ホテル側ではその責任を免れるということになっています(商法595条)。




もっとも,客としては貴重品であることを告げなかっただけで,ホテル側は荷物を預かっている以上,その荷物が盗まれたりした場合には,商法594条1項の原則に戻って,不可抗力以外の滅失等については責任を負うことになります。

ただ,貴重品であることやその内容を告げなかった以上は,賠償額の減額などがされることになります。



本件の場合,貴重品をまとめてホテル側に預けていたというものの,その金額などについてまでは告げていなかった可能性が高いとは思いますが,預かったホテル側としては少なくとも預かったのが財布などの貴重品であることについてまでは知っていたのではないかと思われ,いずれにしても,このような場合に備えて加入していると思われる損保会社とも相談しながら今後の対応をすることになるのでしょう。





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