判例時報2273号で紹介された事例です(仙台家裁平成27年8月7日審判)。



本件では,子どもの親権者を母親と定めて離婚後,父親が,母親に対して子ども(7歳)の面会交流を求めたという事案ですが,父母の紛争状態が長期にわたって,高い緊張状態が続いており,相互の不信感,嫌悪感は相当深刻であって容易に解消できないこと,それまでにもさまざまな関係者の関与があったものの実効的な意味を持たなかったことからすると,適切な第三者や機関の関与があったとしても円滑な面会交流は到底期待できない,母親が父親において面会交流のルールを順守しないのではないかという疑いを抱いたとしても不自然不合理とはいえず,父親が母親や子どもの心身の状況や生活に配慮した適切な面会交流を期待することも困難であり,このような状況で面会交流を認めると,両親の板挟みになった子どもの心情の安定を害することになるとして,父親からの面会交流の申立を却下したという事案です。




子どもとの面会交流は原則として認められるべきところ,子ども福祉を害するような特段の事情がある場合には面会交流が制限されることもあるとされているところ,本件では,次のような経緯や父親が言動が問題とされて,特段の事情があるものとされました。




・結婚して同居していた際,父親は,母親に対し暴力をふるい,右眼窩底骨折や打撲などの障害を負わせていた

・母親が子どもを連れて別居し,裁判所から父親に対する接近禁止の保護命令の発令を得たが父親は命令にたびたび違反した

・母親に対し「異常者」「虐待」などと記載したメールを送信した

・母親の意に反してその実家を訪ねて面会を求めた

・母親の代理人弁護士の事務所をアポなしで訪問してインターホン越しに強い口調で面会交流について問いただす,子どもを待ち伏せる予告をする書面を送付するなどした

・面会交流についての本件調停や審判の手続においても,「虐待をやめろ」「児童虐待者●様」など記載した書面を提出したりした




父親にも代理人弁護士が付いていた時期もあったようですが,解任により代理人が付かない状態となり,ますます言動がエスカレートしたという面もあったようです。




保護命令は無視する,代理人弁護士のコントロールも聞かない・・・このような当事者というのは家事事件においては一定程度おり(保護命令まで無視するというのは相当ですが),ときどき,いきなり弁護士事務所を訪ねてくる,家裁の調停室などから怒鳴り声が聞こえてきたりすることもあるなど,弁護士としても裁判所としても対応に苦慮するところですが,弁護士としては,毅然として,時として弁護士会の業務妨害対策委員会や警察などにも相談するなどして対応するということになります。





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