社会福祉士の団体であるぱあとなあ東京の研修に講師として招かれ,講演を行ってきました。



テーマは任意後見に関することでした。ざっくりいうと,任意後見というのは,法定後見と異なり,後見人を予め指定しておくことができるというものです。法律的な性質としては,あくまでも「委任契約」の一種であり,法定後見とは色々異なっているところもありますので(後見人の取消権がないなど),個人的には,「後見」という呼び名ではなく「委任契約」「代理人」という呼び名とした方が間違いがないのではないかと思っています。






講演の冒頭でもお話したのですが,私自身は任意後見監督人としては数件の経験があるものの,任意後見契約を締結したり任意後見人としての活動をしたことはないので,果たして私が講師として適格だったのかについては忸怩たる思いはありますが,任意後見の相談から公証役場での契約締結,財産管理契約,監督人の選任申立てから終了までの流れに沿って,簡単にお話しました。




親族ではなく,第三者の社会福祉士などを任意後見人に指定して任意後見を利用したいというわけですので,身寄りがいないとかいても交流がないなどいろいろと複雑な事情を抱えている方もいらっしゃるでしょうし,きめ細かな相談を重ねる中で任意後見契約を締結するに至るという過程は,弁護士などよりは,福祉のエキスパートである社会福祉士に向いている業務ではないかと思います。




任意後見制度の問題点の一つとして語られているのが,任意後見契約を締結して発行するまでの間,財産管理契約を締結して財産管理を行うものの,本人の判断能力が衰えてもそのままの状態で財産管理を継続してしまい,任意後見監督人選任の申立までに至るケースが少ないのではないかということがあり,この点について,「いつ監督人選任の申立をしたらよいのか」という質問はいつも寄せられることの一つです。




本人の意向なども絡むデリケートな問題ですが,本人の判断能力が衰えたら監督人の選任申立てをするという合意をして契約している以上,やはり,本人の判断能力レベルがある程度落ちた段階で,監督人選任を申し立てるべき義務があるというべきではないかと思います。




監督人選任の申立時期になって,本人との関係が悪化してしまい又は本人の認知症レベルの悪化に伴い良好な関係が作れなくなってしまうといったケースにおいては,これ以上進められないということで任意後見契約を解除するというのも一つの方法ですが,それでは本人の保護に欠けるということであれば,任意後見契約受任者として法定後見等を申し立てる(任意後見契約法10条2項)というのも一つの方法かもしれません。




また,任意後見と法定後見の関係について,原則として任意後見が優先し,法定後見は本人にとって特に利益があるときに限り開始されるとされているものの(任意後見契約法10条1項),最近は,特に親族間紛争において,イニシアティブをとるために,任意後見契約が利用されることも多く(例えば遺言と同時に任意後見契約をしておくことにより,後の相続紛争において,任意後見人を委ねるほど特定の相続人などを信頼していたということを主張するために任意後見契約を締結するなど),対立する別の親族が法定後見を申し立てるというケースも増えてきているように思います。




・・・というようなことをつらつらととお話して講演を終えました。






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