判例時報2271号等で紹介され最高裁の決定です(平成26年4月14日)。



本件は,父母が子どもの親権者を母と定めて離婚した後,実母が再婚し,その養父と子どもとの間で養子縁組を締結したことで,実母と養父の共同親権に服していた子どもについて,養父がしつけと称して体罰を繰り返すなどしていたことから,実父が家庭裁判所に対し親権者変更の申立をしたところ,親権者を父親に変更するとの審判が出されたというものです。




監督的には至極当然のことという気持ちもしますが,親権者変更に関する民法819条との関係で,そもそも,このような親権者変更が許されるのかということが問題となりました。




民法第819条  父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。


というのも,民法819条をみれば明らかなとおり,この規定は父母が離婚した後にどちらかの単独親権に服することになる子どもに関しての規定であって

,本件のように,実母と養父の共同親権に服している場合の規定ではないからです。



学説と裁判例の大勢では本件のような場合には親権者変更の規定は適用されないと解されていたところ,最高裁でも同様の判断となりました。




それでは子どもに福祉に反するではないかというところですが,法律的には,ひとまず養父の親権を喪失させて実母の単独親権となった後に親権者変更の申立をするとか児童福祉法上の措置を取るなどの方策を考えていくことになろうかと思います。




そうすると,本件で実父を親権者として定めた家裁の審判は法令に反する違法なものということになりますが,本件では,その旨を役所に届けようとした実父が,戸籍担当者から審判の法令違反を理由として受理されなかったことから,戸籍の届出を受理するように自治体首長を訴えたというものです。




最高裁は,戸籍の担当者が届出内容を審査する権限があるといっても,単なる記載上の謝りのようなものから裁判所がどのような解釈わ取るかといった点に踏み込んでようやく法令違反という結論になるものまで様々なのだから,その審査の範囲は審判の無効をもたらすような重大な法令違反の有無に限られるべきものと判断しました。




本件では,結果としてはそのような審判は無効ということになりましたが,裁判所がそのような解釈を取ることが直ちに無効とはいえないのだから,戸籍担当者としては受理すべきものとされました。

これにより実父が親権者という戸籍が反映されることになります。





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