判例時報2270号で紹介された事例です(東京地裁平成27年1月29日判決)。



両親の間で子どもの面会交流などをめぐって争いとなった場合,直接的には,子どもの引き渡しや面会交流を求める調停や審判の手続が取られることになりますが,面会交流が出来なかったことを損害としてとらえて慰謝料請求するといった争われ方がなされるケースも増えているようです。



面会交流に関し誠実交渉義務違反があったとして監護者と代理人弁護士の責任追及がされた事例

http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12072537861.html



本件は,離婚前の別居中の父母による争いですが,もともと面会交流自体は3~4泊の頻度でそれぞれ交替で面倒を見るという形で円滑になされていたのですが,父親が,実家のある新潟に戻ったことから,3~4泊では短いので1週間交替にしようという提案をしたところ,母親もおおむねこれに同意したのですが,その後,さらに父親が2~3週間の交替での監護を提案したことなどをきっかけとして母親がこれまで通り1週間か3~4泊とすることやきちんと子どもを返すことの誓約書の作成などを求めて態度を硬化させ,うまく進まなくなってしまいました。




さらに,父親と子どもの顔に傷があったことから説明を求めたところ,父親が自分の傷について説明しなかったことから,母親は監護を任せることに不安を感じ,次の父親の交替監護の際に子どもを引き渡すのを拒否するなどしました。




判決では,1週間での交替監護という約束(合意)自体はなされたものとしましたが,その法的な効果としては,子ども福祉の観点から,その合意がよほどのことがない限りは変更が許されないというような性質のものではなく,子の福祉に反しない方向で柔軟に変更されることが許されるものだとしました。



そして,本件で,1週間の交替監護となった経緯としては,父親が新潟に戻ったことがあるところ,それは親権をめぐっての思惑(父親としては実家のある新潟に戻れば生活の面倒を見やすいということで親権獲得に有利になる)があったと解され,子どもがこれに振り回されるというのは子の福祉の観点から望ましくないし(1週間の交替監護というのが子どものためというよりは父親の利益のために設定された面があるということ),母親が父親に子どもを引き渡さなかったのも傷についての説明を受けられなかったという事情があったことなども鑑みると,1週間の交替監護が果たされなかったり母親が子どもを引き渡さなかったりしたことについて,違法ということまではいえないとされました。








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