判例時報2270号等で紹介された最高裁の決定です(平成27年5月19日決定)。



裁判所に訴訟提起する際には,決められた額の手数料を,納めなければなりません。



手数料の額は原告が請求する経済的利益によって決まりますので,請求金額が大きければ大きいほど納める手数料も多額になります。



ただ,民訴法9条に規定がありますが,元金に加えて請求する遅延損害金や違約金のように,主請求に付帯するものについては,主従の関係にあるということで,ダブルカウントしないことになっています(主請求分のみの手数料を納めればよい)。このことから,例えば,建物明渡と未払賃料を請求するという場合,建物明渡が主請求で,賃料は建物から発生する果実という扱いになるので,未払賃料の部分の手数料は納めなくて良いことになっています。



民事訴訟法第九条  一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。
 果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。



そして,賃金等の未払を請求する場合,未払賃金等に加えて,労基法114条によって付加金という一種の制裁金のようのものを併せて請求することができます。通常,請求を求める賃金等と同額の付加金請求をしますので,この付加金の請求額も手数料算定に当たってカウントされるとすれば,その手数料金額も増えるということになります。




本件では,地位確認とともに,未払の休業手当と同額の付加金を請求したものですが,原告が,裁判所の見解に従って,一旦は,付加金の部分の手数料を納付した後(そうしないと審理に入ってもらえず場合により却下ということになってしまって,権利の時効消滅といったことが危惧されるため),後に,課題納付した付加金部分の手数料の還付請求をしたというものです。




地裁,高裁とも,原告の還付請求を認めませんでしたが,最高裁は抗告を許可したうえで,付加金部分は,手数料算定のための価額には含まれないとして,還付決定をしました。



理由としては,民訴法9条2項の趣旨としては,その当否の審理判断がその請求権の発生の基礎となる主請求の審理判断と同一の手続においてこれに付随して行われることにあるところ,付加金の場合にもその趣旨が該当するというものです。



付加金については,未払賃金などの金額によっては大きな金額となってしまうこともあり,これが手数料の基礎となるかどうかは原告(労働者)側としては大きな問題となるため,最高裁で労働者側に有利な方向で決着がついて良かったというところです。





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