財産目録の提出期限の伸長

テーマ:

成年後見人に就任した後,財産目録を作成する義務がありますが,実務上は,選任から1か月半程度後に期限を定められ,家裁に財産目録を提出すべきものとされています。



民法第853条  後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。



初回の財産目録に限らず,その後の定期報告などについても,家裁から期限を定められることがほとんどですが,昔は,少なくとも弁護士などの専門職後見人については,多少の期限の遅れについてはそれほどうるさく言われることはなく,かつては,東京家裁の後見センターでは,報告等が遅れた場合,一旦は催告をしてそれでも報告がない場合に次のステップ(監督人の選任や審問期日の呼出しなど)に移っていたのが,昨今の後見人不祥事とそれを受けての家裁による監督の強化の流れを受けて(当然のことだと思います。以前から私は特別のことがない限り報告期限に遅れたということはありません。),最近では報告懈怠があると問答無用に監督人を付けたりする運用となっています。



ところで,条文にある初回の財産目録の提出期限については,家裁において期限を延長することができるものとされています(民法853条但書き)。




この点についてもむかしはあまり煩くは言われず,延長されたい旨の電話やファクスを入れておけば大抵認められていたものでしたが,やはり,最近では,財産の把握が難しいなど複雑困難な事情があるとかそれなりの理由がないと裁判所もなかなか納得しないのではないかと思われます。




もっとも,期限延長の方法自体については,いまでも,電話やファクスといった事実上,裁判所に連絡を入れておけばこと足りるケースが多いのではないかと思いますが,厳密にいうと,初回財産目録の作成期限の延長については,家事事件手続法上の審判事項になりますので(家事事件手続法第39条,別表1の9号),きちんと申立書を作って印紙を貼って裁判官の判断をえる事項ということになります。親族対立などもなく,単純に財産の把握が困難といったようなケースにおいては,そこまでの手続を取ることなく,事実上黙認という形で済まされています。




親族間の対立が激しく,対立親族が後見人の選任自体を快く思っておらず,後見人の解任請求までもしかねないようなケースにおいては,きちんと初回目録の提出期限を延長したという形を取っておかないと,期限徒過ということを突かれて解任請求の理由の一つとされてしまいかねませんので,きちんと手続きをして期限の延長を申請することになります。




■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村



■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。