判例タイムズ1415号で紹介された事例です(東京地裁平成26年7月8日判決)。



海外では共同預金(ジョイントアカウント)という口座を開くことができることがあり,日本の預貯金ではないものです。これは,複数の名義で預金をいわば共有するというもので,全員そろわないと預金の引き出しなどの手続が出来ないというもので,海外では一般的なもののようですが,日本では馴染みのないもので,たまに,安易に海外でジョイントアカウントを開設してしまった後に,他の預金名義人との間でトラブルになってしまい困ったという相談が寄せられることがあります。



本件は,夫婦がハワイでジョイントアカウントを開設し,その後,夫が,不動産は妻に相続させるが,預金や金融資産は前妻の子らに対して相続させるという内容の遺言をしたのち死亡したというものです。



ハワイ州法でジョイントアカウントは相続財産とはならず,共同名義人が死亡した場合には当然に生存名義人に移転するものとされていましたが,前妻の子は相続すべき預金の中には本件ジョイントアカウントも含まれるとして,生存名義人に対して,支払を求めて訴訟となったというものです。



本件はハワイ州法に基づくジョイントアカウントの法的性質をめぐる紛争であったため,相続財産性を判断するにあたり,どの国の法律を適用すべきかが問題となりましたが,裁判所は,ハワイ州法が適用されるものとして,ハワイ州法では前記のとおり,ジョイントアカウントの共同名義人が死亡した場合生存名義人に当然に権利が移転するとされている以上,本件ジョイントアカウントは遺言に記載された預金には該当しないとして,前妻の子からの請求を棄却しました。




本件は最高裁まで争われたが,一審の結論で決着しているということです。




資産家による資産の海外移転ということが流行っているという現在において,今後,このような争点の訴訟というのも増加してくるものと思われます。




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