判例時報2264号で紹介された事例です(京都地裁平成26年8月7日判決)。



最近報道などでもよく話題となっている,検索サイトの表示結果に関する訴訟の一つです。

本件では,ヤフーの検索で,原告の迷惑防止条例での逮捕歴が検索結果として表示されてしまうということについて,名誉棄損,プライバシー侵害を理由として,検索しないようにすることなどをヤフーに対して求めたという事例です。




裁判所(一審)は,検索結果で表示されるのは,原告の氏名が含まれているウェブサイトが複数存在していることと,その所在(URL),また,当該サイトの記載内容が一部表示される(スペニット 記載内容が自動的かつ機械的に抜粋されたもの)に留まり,スペニット部分を含めて,逮捕事実自体を適示したとはいえないとし,原告の名誉を棄損したとはいえないと判断しました。 また,仮に,名誉棄損があったとしても,本件逮捕事実について社会的な関心が高く,逮捕から1年半しか経過していないことからすると,公共の利害に関する事実であり,検索結果の表示の目的の公益性,摘示事実の真実性も認められるとして,名誉棄損についての違法性が阻却されるとしています。

プライバシー侵害については,原告のプライバシーよりも事実を摘示することによる社会的な利益の方が大きいものとしてこちらについても認めませんでした。




判例時報の解説によると本件は控訴され結果としては控訴棄却となったようですが,特に,スペニットの点については,一審とは異なる判断がされ,スペニットで表示された事実についてはヤフーが摘示したものではないとしても,広く一般公衆の閲覧に供したものであるから原告の社会的評価を低下させる事実として,原則として名誉毀損となるものとしています。しかし,本件において,控訴審の審理終了時点で逮捕から2年経過しているという点を考慮しても,なお,違法性を阻却するものではないと判断されています。

また,プライバシー侵害の点については,スペニットで表示された事実は他人に知られたくない事実としてプライバシーに属する情報であると正面から認めたうえで,本件では,原告のプライバシーよりもなお事実を公表する利益の方が優越するものであると判断されているということです。




検索サイトの検索結果にまつわる,いわゆる「忘れられる権利」については議論が始まったところであり,またで判断要素が固まっていないところもあるようですが,どのような表示がされているのか(本件はスペニットというより具体的に事実が表示される機能についてのものですが,関連語が表示されるサジェスト機能をめぐって争われた件も報道などでは周知のところです)という点と時の経過という点は一つの判断材料になっているようです。





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