http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150925/k10010247351000.html








25日の判決で、東京地方裁判所の安藤範樹裁判官は、「投資の勧誘のため被害者を銀行本店の応接室に招き入れるなど、銀行幹部の地位や信用を巧みに利用した悪質な犯行だ」と指摘しました。そのうえで、「身の丈を超える生活と銀行内での地位を保つために借金を重ね、架空の投資話で資金を集めるようになった。配当という名目で返した額を差し引いても、損害は1億4000万円余りと高額で、経緯や動機にくむべき点はない」として及川元審査役に懲役7年を言い渡しました。(本日付NHKニュースウェブから一部引用)。














刑事事件としては一審判決が出たとのことですが,被害者としては,騙取されたお金を取り戻すことが重要になりますので,こちらについては民事事件ということになります。


もっとも,張本人の被告人には資力がないと思われますので,被害者としては,被害者が勤務先のみずほ銀行の名前を利用していたということで,銀行を相手取って訴えることが考えられます(既に交渉なり訴えているなりしているのかもしれませんが)。






事件の特徴として,被害者を銀行本店の応接室に招き入れるなどしているということですが,似たような事件で,数年前に,大手商社丸紅を舞台とした詐欺事件というものがありました。






丸紅の事件では,嘱託社員が架空の出資金話を持ち掛けて約11億円を詐取したというものでしたが,この件でも,丸紅本社1階の喫茶室で面談するなどして被害者を信用させるという手口が使われています。






丸紅に対する民法715条1項の使用者責任の追及がされましたが,使用者責任は,被用者が行った不法行為についてなんでもかんでも使用者に責任が発生するということではなく,あくまでも「事業の執行につき」なされた不法行為についてのみ責任を負うというものです。


「事業の執行につき」なされた行為であるかどうかは,被用者の職務執行行為そのものには属しないが,その行為の外形から観察して,あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含するものと解されており,被用者が取引行為の形でする加害行為においては,使用者の事業の設備,機構及び事業運営の実情と被用者の当該行為の内容・手段等を相関的に斟酌し,当該行為が,①被用者の分掌する職務と相当の関連性を有し,かつ,②被用者が使用者の名で権限外にこれを行うことが客観的に容易である状態に置かれている場合には,被害者の保護を目的とする民法715条の法意にかんがみ,外形上の職務行為に該当するものと解されています(判例)。








分かり難い表現ですが,取引行為における使用者責任が認められるためには,単に「みずほ(丸紅)の看板」を信用したというような会社自体を信用したということだけでは不足で,当該被用者(社員)が行った権限が会社によって与えられている正当なものであると信用したことまでが必要であり,そのためには,被用者が元来有している権限に伴ってなされた場合には限らないものの,元来の権限と権限外で行った行為とが関連性を有しており(元来の権限は名刺などで確認できるはずなので,それと外れていることをしていたのであればおかしいと思うべきである),使用者としてもそのような権限外の行為を行うことが容易な状態に置いているというような状況(代表印を自由に使用させているような状況であれば権限外の行為を被用者が行うことについて被害者としても信用してしまう。会社の会議室を利用しているという事情はこの基準に関わってくるものと考えられますが,それのみでは弱いようにも思われます。)が必要ということになります。








丸紅の事件では,当該嘱託社員が所属していた部署(ライフケア事業部)が出資金を募集するような資金調達の業務は行っていなかったことや,定められていた職務権限規程によれば当該嘱託社員には出資金を集めるような権限は付与されていなかったこと,また,使用された印鑑が丸紅のような大企業で使用されるようなものではなく個人印のような印影であったことなどから,当該嘱託社員が丸紅の名で本件不法行為を行うことが客観的に容易な状況に置かれていたとはいえないとされ,丸紅に使用者責任は生じないものと判断されています(東京地裁平成22年1月27日判決)。








本件みずほ銀行事件でも,仮に訴訟となれば,確立された判例の基準に沿って,事情が当てはめられていくものと思われます。












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