http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150823/k10010199771000.html



大阪・寝屋川市の中学1年生の男女が遺体で見つかった事件で、逮捕された男が、2人が死亡したとみられる日の翌日、知人の男性に「やばいことをしてしまった」などと電話で話していたことが、関係者への取材で分かりました。警察は男の事件前後の行動について捜査を進めています。男は逮捕容疑の女子生徒の遺体の遺棄について、否認しているということです。(本日付NHKニュースウェブから一部引用)。



記事の信ぴょう性はさておき,記事にある知人が,被告人から「やばいことをしてしまった。」と聞いたというのは,被告人が否認している状況においては,被告人の犯人性について積極方向に働き得る重要な間接事実の一つとなりそうですから,場合によっては検察官自ら事情を聴き,検察官による調書が取られるということになりそうです。



仮に公判請求となり,知人が被告人から聞いたという「やばいことをしてしまった」という発言の有無が争点の一つとなれば,その信用性が問われ,知人が公判で証人として証言するということになります。




知人が聞いたという被告人の発言も,「被告人がやばいことをしたかどうか」という内容が真実であるかどうかということを問題とするのではあれば,伝聞供述となりますが,被告人の供述を内容とする伝聞供述については,刑訴法324条に規定があります。



第324条  被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第322条の規定を準用する。
○2  被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第321条第1項第3号の規定を準用する。


本件において,知人が被告人が「やばいことをした」と聞いたという点についても,被告人にとっても不利益な事実の承認と言えそうですから,仮に知人がこのように証言した場合,単に被告人がそのように発言したということだけではなく,「(何か)やばいことをした」という事実自体の認定に利用されてしまう恐れがあることになります。


刑訴法324条は,刑訴法322条を準用しており,その内容が被告人にとって不利益な事実の承認を内容とするものであるときは証拠とすることができるものとされています。分かりやすく言うと,自白調書の類については,被告人にとって不利益な事実の承認となるものであることから,いくに被告人がやっていないと言っても証拠とすることができるということになります。これは,人は,自分に不利益なことは言わないだろう,サインしたりしないだろうという経験則に基づくものとされていますが,こと,厳しい取調べの過程において,このような経験則自体が疑わしいものであるとは言われているところです。

もっとも,自白の信用性が否定され無罪などになったケースはいくらでもあるところですので,この規定によっても,あくまでも「証拠とすることができる」というだけですから,証拠として信用できるものかどうかという信用性の問題はまた別の問題です。



刑訴法第322条
 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。


この規定を利用して,自白調書が一通も取れないような案件では,取調室で自白したということを被告人から聞いたということで,取調官が証人として申請されるというようなこともなかにはあるようです。


しかし,これでは,取調官がいかようにも好き放題に述べれば全部証拠として採用されてしまうということで問題性が指摘されており,ストレートに立証十分とはされないようです。



・・・・というのは,裁判員裁判制度実施前に刑訴法を勉強した私のような古い知識を持つ弁護士のうんちくで,最近の裁判員裁判の実務,また,取調べの可視化が進んできてはいる現状においては(本件においては,警察の取り調べにおいても可視化がなされるべき案件ではないかと思います),また,最近は伝聞例外に基づいて証拠を取るということもあまりしていないのでしょうから,昔とは色々と変わってきているものと思います。




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