判例時報2260号で紹介された事例です(神戸地裁尼崎支部平成26年12月16日)。



相続放棄したとしても,それとはかかわりなく,指定された受取人は死亡保険金を受け取ることができるものとされています(判例)。従って,被相続人につき債務超過で相続を放棄したとしても,死亡保険金については受け取ることができ,受け取ったとしても,相続債務の支払いを求められるということはありません。なお,民法と税法は別で,一定額以上の保険金については相続税の課税対象にはなります。



また,保険金受取人を「法定相続人」と定めておくこともできるものとされており,この場合,被相続人(保険契約者)の死亡時点の法定相続人が複数いた場合には,その相続分に応じて保険金を受け取ることができるものとされています(判例)。




本件では,死亡保険金の受取人を「法定相続人」と定めていたところ,保険契約者が死亡し相続が発生しました。




しかし,相続人3名のうち2名が相続放棄したため,残った相続人一人が,保険金はすべて自分のものとなったとして,保険会社に対し請求したというものたです。

また,保険会社が,相続放棄した相続人に対して,保険金請求するように促したところ,保険金請求をしないという拒絶の意思も示されていたということです。




何となくそうかなとも思われますが(似たような状況として,共有しているという場合に共有者の一人が権利を放棄したり相続人がいなかった場合には他の共有者のものになるという規定があります 民法255条),裁判所は,次のような理屈で,請求全額は認めず,当該原告の相続分についてのみ請求を認めました。

・保険契約者の意思として,相続放棄した者を受取人である「法定相続人」から除外する意思であったとは,特段の事情がない限りは,言えない。

・保険金請求権は相続放棄とは関係なく,指定された法定相続人が,その相続分に応じて,「確定的に」取得するものである(この点で,さきほどの共有の規定との関係でいえば,そもそも保険金請求権は共有状態ということではないということになります)。したがって,保険金を受け取るかどうかは,それぞれの相続人(保険金受取人)の自由意思である。したがって,自己の保険金請求権を,他の相続人に対し譲渡するというのではなく,敢えて,請求しないという意思表示をしたのであれば,それも一つの自由な意思に基づく処分ということができる。




本件は控訴されているということです。





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