判例時報2260号で紹介された最高裁決定です(平成27年4月15日)。



本件は,柔道整復師の資格をもち予備校校長の立場にあった被告人が,女子生徒に対しわいせつな行為をしたという準強制わいせつの事案ですが,被告人は公訴事実を否認しました。




第2回公判期日で,検察側証人として被害者とされる女子生徒の証人尋問が行われ,概ね,検察官の主張に沿う証言がされたようです。




検察側立証は終了し,その後の弁護側立証としては,被告人質問のほか,犯行場所の使用状況等に関して被害者とされる女子生徒の証言の信用性を弾劾するため,当該予備校の元生徒1名の証人尋問を請求するという方針が示されました。



このような状況で,第2回公判後,保釈請求したところ,審理を担当する一審裁判所は,保釈金300万円で保釈を認めました。罪証隠滅のする虞があると認められる相当の理由があるなど一定の事由が無ければ必ず保釈を認めなければならない権利保釈(刑訴法89条)ではなく,あくまでも裁量保釈(刑訴法90条)に基づき,保釈を認めたようです。



これに対し,検察官が抗告したところ,高裁では,予備校理事長の職にあった被告人が元生徒らに対し働きかけて罪証を隠滅することは容易で,実効性も高いと指摘し,保釈許可を取り消しました。



弁護側が特別抗告し,実際に審理を担当している一審裁判所が,被告人の罪証隠滅の恐れがそれほど高度のものではないと判断した以上,その裁量を尊重すべきでねその判断は不合理とは言えないとして,高裁の決定を取り消して,一審裁判所の判断とおり保釈を認めました。



最初に判断をした裁判所(裁判官)の判断の裁量を尊重すべきだという最近の流れに沿った判断を示したものだと思います。これだけ,このような判断が続くと,被告人に不利な方向で高裁が判断を覆すというのはし難くなるように思います。

●保釈を認めなかった,勾留請求を認めた高裁のそれぞれの決定が最高裁で覆された事例

http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12012886782.html




なお,本件では一審裁判所(福井地裁)が保釈の決定をしたのが平成27年3月27日,高裁(名古屋高裁金沢支部)の決定が4月1日で,最高裁の決定が4月15日となっています。最高裁に特別抗告されれば記録も最高裁に移るのでそれだけ時間もかかりますし(メールで書類をスキャンして送るとかそういうことはしていないのです),その間,被告人の身柄は拘束されたままですし,最終的に保釈されたのはよかったけれども,被告人にとってもいい迷惑ということになります。





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