http://www.asahi.com/articles/ASH7R43J8H7RUTIL00S.html?iref=comtop_6_05



化粧品を買う契約をしたあと、クーリングオフをして解約したはずが、高額な代金の支払いを要求される――。若い女性らが被告となるこうした裁判が東京地裁で相次いでいる。原告は化粧品販売会社から代金支払いを求める権利(債権)を買い取ったとする金融会社。女性らの弁護団は「クーリングオフを免れる悪質で巧妙な仕組みの契約になっている」と指摘する。(本日

付配信の朝日新聞デジタルから一部用)。

記事中で指摘されているものと同じと思われる平成26年10月の東京地裁の判決が判例タイムズ1413号で紹介されています(東京地裁平成26年10月3日判決)。




事案としては,A社が,顧客に対して,化粧品やアクセサリーなどを割賦で販売し,その際の契約書には「A社が第三者に対して売買代金の債権を譲渡することを予め異議なく承諾する」との一項が入っており,これに基づいて,A社が
X社に対し,売買代金債権を譲渡し,X社が顧客らを被告として譲り受けた売買代金の支払いを求めたという訴訟です。




「異議を留めない承諾」というのは,民法の勉強をしていると必ず出てくる重要論点なのですが,民法468条1項に規定があります。



民法第468条  債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。


債権譲渡に際して,債務者(本件であれば代金を支払わなければならない顧客ら)が,異議をとどめずにその債権譲渡を承諾すると,本来であれば,債権譲渡前の債権者(本件でいえばA社)に対して主張できた抗弁が,債権譲渡を受けた新しい債権者に対して主張することが出来なくなってしまうという規定です。



民法でこの規定を勉強すると,「異議をとどめず承諾すると怖いことになるぞ」と脅かされるので,無条件で債権譲渡を承諾することはしないように気を付けるということになります(たまに,弁護士相手に「異議なき承諾書」というような書面を送りつけてきてサインを求めてくるようなお間抜けな業者もいます。一般消費者は当然こんな規定やその意味は知らないので簡単にサインしてしまうことになります,というか,私も仕事ではなく消費者の立場だったら深く読まずにサインしてしまうと思います)。




本件では,顧客らは,A社に対して主張することができた筈の特定商取引法上のクーリングオフをX社に対しても主張し,X社は,「異議なき承諾」がなされているとして,争いました。なお,顧客らは,予めなされているような異議なき承諾の意思表示は無効であるということも主張しましたが,裁判所によって,このような形での意思表示も有効であるとものとされています。




条文には明記されていませんが,「異議なき承諾」がされたとしても,債権を譲り受けた者(本件であればX社)が,当該債権に債務者の抗弁(本件であればクーリングオフすることができること)が付いていることを知っていた場合には,その債権者を保護する必要はないので,その抗弁を譲受債権者に対しても

引き続き主張することができるというのが判例です。




本件では,A社との間の契約書上,法定された記載を欠いていた契約書を取り交わしていた顧客については,そのような契約書を確認した以上は,X社は,顧客らがクーリングオフできることを知っていたとされ,そのような顧客については,引き続きクーリングオフという抗弁をX社に対しても主張することができるとされましたが,A社との間での「いつでもクーリングオフできる」という口約束に留まり契約書上分らない状態の顧客については,X社はその顧客かがクーリングオフできるということは知らなかったのだから,原則通り「異議なき承諾」をしたものとして,X社の請求を認めています。




本件は控訴されているということです。






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