http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015081000605&g=soc



大阪府南部でドメスティックバイオレンス(DV)の被害者を一時的に保護する民間シェルターの所在地を府警が加害者に漏らしたため移転せざるを得なくなったとして、運営するNPO法人代表の女性(70)が10日、謝罪や移転支援を求めて大阪簡裁に調停を申し立てた。
 女性の代理人によると、シェルターは5月、夫から逃れた女性を子供とともに保護した。大阪地裁堺支部が6月、保護命令を出し、府南部の署で警察官が夫に説明した際に書類を置いたまま席を外した。夫は書類を指さして「妻はここにいるのだな」と尋ねたという。連絡を受けた女性は別の避難施設に移った。
 シェルターは1998年に代表の女性が開設し、所在地などを公表せずに活動してきた。女性側は、今後の受け入れは危険だとして中止し、移転が必要としている。(本日
付配信の時事ドットコムから一部用)。


自治体職員などがDV加害者に対して被害者の住所を漏らしてしまい,引っ越し費用などの補償を求めるということはこれまでにもあったと思うのですが,シェルター自体の住所が漏えいしてしまい,シェルターが損害賠償を求めるというのはあまり聞いたことがなく珍しいように思います。




そもそも情報漏えいの経緯が明らかではないことも多かろうと思いますし,多くの場合,密室で起こったことをいいことに警察に知らぬ存ぜぬされてしまえばそれまでということもあると思うのですが,本件の場合,加害者が情報の取得経緯を認めていてそれ以外に考えられないのですから,情報流出元が警察の凡ミス(過失ありと言えるでしょう)ということは明らかですから,あとは,シェルター自体がその場所で運営できなくなることとの因果関係の有無ということになろうかと思います。




シェルターの住所を誰も知らないわけではなく,加害者はともかく,利用者である女性や元利用者である女性などから情報が出る可能性だってあるのだから,加害者が現実的に住所をネットなどで公開していない以上,因果関係はないという反論もあるかもしれませんし(情報漏らされたシェルター側からしたら腹立たしいでしょうが,国など相手とした訴訟では割と平気でこういった主張が展開されます。「もともと,割に合わなくてやめるつもりだったのかもしれないから,決算書などを提示しろ」とか。),加害者側に情報が流出してしまったのは被害者側の女性が住所を把握していることとは決定的に異なるという考え方もできるでしょう。





本件は民事調停ということなので,あくまでも話し合いによる解決を探るということですが,単に白黒つけるお金の問題ではなく,移転の支援(適した場所を探してもらう,今後の情報官吏の在り方を話し合うなど)といったソフト面での協力を求めているということも影響しているのでしょう。或いは,裁判所を通さない話し合いということでは警察側(メンツを大事にする組織なので)も応じられないので,形だけ,調停という形式(裁判所からの調停案提示)を取ってくれということなのかもしれません。

もっとも,府警側が,前記のようにがちんこで因果関係などを争い,責任を認めない態度に出た場合には調停では話し合いがつかず,残された道としては,訴訟ということになります。




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