http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150805/k10010178511000.html


新たな捜査手法として、いわゆる司法取引を導入することなどを柱とした、刑事司法制度改革の関連法案を巡って、自民・公明両党と民主党、維新の党は、司法取引をする際に弁護士が関わることを義務づける修正を加えることなどで合意し、修正案は衆議院を通過する見通しとなりました。
(本日付配信のNHKニュースウェブから一部用)。



今回成立する司法取引の詳細な規定についてはよく知らないのですが,共犯事件において,自分の罪責を軽くするために行う虚偽供述は,共犯者の引っ張り込みの問題として,古くから問題とされ,多くの事例が蓄積されています。



今回の立法は,弁護士(弁護人)が関与することで,その供述の信用性を担保しようということなのでしょうが,弁護士の立場からすれば,自分の依頼人である被疑者(被告人)が,司法取引に同意してくれと言われたら,内容が「ちょっとおしかしいな」と思っても,断り切れないと思いますし,(言葉は悪いかもしれませんが)弁護人にとっては自分の依頼人である被疑者(被告人)が助かりさえすればよいので,司法取引に対してNOという動機もあまりありません。




そもそも,公式には否定されているものの(有利な処分を持ちかけて供述を迫ることは違法な取調べ方法として許されないことから),今でも事実上の司法取引のようなものは行われていると思うのですが,正面切って司法取引を認めるということになると,共犯者の引っ張り込みの危険性は以前にもまして高まるように思いますし,そもそも,弁護人が事案全体について,何が正しいのかについて判断するような立場にないのであり,弁護人の同意を条件とすることはその正当性を欠くように思われます。




もっとも,司法取引が行われた事案ということになると,結局のところ,その後の(引っ張り込まれた方)の共犯者の刑事裁判において否認された以上は,その供述が正しいのかということが問題となりますが,これまで蓄積された共犯者供述の信用性の判断基準においても虚偽供述をするメリットの有無ということが重要な一つの基準となっているので,司法取引をして自分の罪責を軽くしてもらったということをどう評価するかということが問題となりそうです。




そうすると,そうなることが予想されるような事案では,検察官としては,わざわざ正面から証拠が残るような司法取引などせず,証拠には残らないような形で,有利な処分を持ちかけて供述させる,又は,司法取引をしようとしたが失敗したという体を取った上で,司法取引などしていないのに任意に供述しましたということで,供述の信用性を確保しようとしてくることなどが考えられるのではないかと疑ってしまいます。






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