判例時報2257号で紹介された事例です(東京地裁平成27年1月19日判決)。



エレベータの保守点検を行う会社A社が,エレベータの保守事業の組合員に対して保険のあっせんをしていた個人Bとの間で顧問契約を締結し,顧問料を支払うとともに,Bは,A社の具体的な紛争(A社がエレベータの保守管理に伴う顧客との間の紛争)に際しても内容証明の文案を作ったり,司法書士への相談に同行して相談に立ち会ったり,A社が顧客に対して申し立てた支払督促の手続やその後の訴訟手続についても指導をしたりしていました。




A社からBに対し,締結した顧問契約は,弁護士ではないBが法律事務を業として行う内容のものであり,弁護士法72条本文に違反するものであり公序良俗違反として無効であると主張し,支払済みの顧問料など約482万円の返還を求めたというのが本件です(訴訟手続中にBは死亡し相続人である妻が訴訟承継)。





もともと,A社がBと知り合ったのは,顧客との紛争が発生し,エレベータ保守管理の事業の組合員から紹介されたという経緯でした。

Bは,A社に対し,別の件でのトラブルを解決した実績があるといい顧問契約の締結を提案しましたが,その際のPR文書として・・・

・(実績例として)「証拠主義と法律解釈論が弁護士では不可能」な為,Bでなければ解決不可能な事例です(←意味が不明ですね・・)

・当方顧問企業は,郵便局とのトラブルの際にその顧問弁護士から内容証明を送付されました。郵便局の顧問弁護士は,我が国最高レベルの弁護士(最高裁判事,最高検検事など)で,一般弁護士とは別格の存在です。その弁護士が,当方の主張に対し一切反論できなかったことが勝因です。

などと記載されていました。なお,PR文書には,弁解のためなのか,「弁護士法上の非弁ではない」ということも記載されていました。




本件顧問契約の利用料金は,

・顧問料金・・・年間31万5000円 但し不時間を超える面談は1時間5000円など

・顧問としての対外折衝(A社代表者不動席でのB単独での折衝はしない)

電話による対外折衝 ・・・1万円以上

相手方面談折衝・・・1回あたり5万円 但し,折衝相手が弁護士などの場合には7万5000円から10万円

・交通費 新幹線グリーン車相当などの交通費のほか日当

・文書作成料 1通あたり1万5000円から5万円

・折衝により利益を得た場合には相当のパーセンテージによる顧問料付加金




A社がBに対し支払ったお金としては,10か月程度の間に,顧問料のほか,相談料,対外折衝料,司法書士事務所への出張料,内容証明作成料,警察署への同行料,司法書士への指導助言料,簡裁への答弁書作成料,簡裁書記官との打ち合わせ費用,簡裁抗告申立書作成料などの名目で,合計約482万円に及びました。

こんなことでいちいちお金を取っていれば,私など今頃億万長者になっているかもしれません??



裁判所は,紛争を抱えて困惑しているA社に対し,弁護士以上の法的可決能力を有しているかのように振る舞って顧問契約を締結させ,弁護士報酬にも匹敵するような高額の金員を支払わせたもので,Bが行った行為は,弁護士法に規定する,弁護士でなければ取り扱うことが許されないとされている法律事務であって,Bが業として行っていたことも明らかであるとし,A社がBに対し支払った金員はすべて,公序良俗違反として無効になるとし,全額の返還を認めました。




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