判例タイムズ1412号で紹介された事例です(東京地裁平成25年6月20日判決)。



生命保険,がん保険などでは責任開始日から一定の「待期間」が設定されていることがほとんどであり,契約を締結して保険による保障が開始されたとしても,その期間無いに発生した事故については,保障されないことになります。



本件で問題となったのは生命保険の特約で「責任開始日から90日以内に乳房の悪性新生物にり患し,医師による診断確定されたとき」は,保険金等の支払いがされないとなっていたところ,原告女性は,保険の責任開始日から90日後に乳がんにり患しているとの確定診断がされたため,「90日以内に・・・医師による確定診断された」とはいえないとして,保険金の支払い等を求めたというものです。




保険会社側は,「90日以内に」というのは,「乳房の悪性新生物にり患し」のみにかかり,「医師による確定診断」が90日より後であった場合は含まないと反論しました。



裁判所の判断は,

・「90日以内に」の後に読点なく「乳房の悪性新生物にり患し」と続いているが,「医師による診断確定されたとき」の前には「,」(読点)で区切られていること

・契約のしおりには,「責任開始から90日以内にり患した乳がんには,お支払いしません」と記載があり,これは契約の解釈をする際の重要な指針となること

・90日条項の趣旨は,自分で乳がんであることを見越した契約者が保険金請求目当てに契約すること(逆選択)を防止することにあるので,医師の確定診断を意図的に遅らせて保険金を受け取ることがないようにする必要がある

などの理由から,保険会社側の解釈を是認しました。




そのうえで,本件で90日以内に乳がんにり患していたものと認められるなどから,原告女性による保険金請求は棄却されました。



本件は確定しているということです。




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